ネガティブ・マインド

  •  悲しい気分の時やネガティブな状況になった時、必ず自己に注意を向け、逆に楽しい気分の時やポジティブな状況では全く自分についてついて考えないようなパターンである。・・パターンが極端になると、悪いことが起こった時だけ自分に原因を求め、自分を悪く見てしまい、良いことが起こっったときに自分の良い点に気が付かないことにもなりかねない。・・うつ的自己注目の特徴の一つは、このようなネガティブな状況の後に自己に注目し、ポジティブな状況のあとで自己注目を避けるのが極端に走ったパターンなのである。
  • 自己志向的完全主義の中で問題となるのは、自分の行動に漠然と疑いを持つ傾向や、ミスや失敗を過度に気にする傾向である。・・たとえ目指した通りの結果が得られなかったとしても、これまで「よくやった」とか「失敗したけれど、この失敗から得た教訓も多い」というように、積み重ねた努力や目標追求の過程で身についたことに目を向け、自分に「プラス」されたことを評価すれば、ひどく落ち込むことはない。しかし逆に、「目標を満たすことンが出来なかった」という「マイナス」面にとらわれてしまうと落ち込む。このような考え方が極端になると、九九の積み重ねもたった一つの不足で全てキャンセルされてしまう。ミスや失敗を過度に気にする傾向が強い人は、満たされている状況や失敗なき状況が基準であって、そこからできなかったことを「マイナス」して自分を評価していないだろうか。もしそうだとしたら、せっかく努力したのに、達成できたところを積極的に評価しないため、引き算されるマイナス面ばかりが目立ち、自分に自信が持てないままで終わってしまう。
  • 「自分に自信が持てないからこそ頑張る」という面も確かにあるだろうし、ストイックに「完璧」を追い求める姿勢も時には必要かもしれない。しかし、このような考えが上手く機能するとしたら、能力があり、状況が運よく味方するような場合であろう。完全主義的な思考は、一度歯車が狂いだすと、うつへのアクセルとなりうる。また、「完璧にできなければ、成功とは言えない」という考えのために、自分にプレッシャーがかかり、円滑な行動が阻害され、結果的に失敗につながってしまうこともある。完全主義的な思考をしやすい人は、「失敗したら・・・」と心配して二の足を踏んだり、失敗に囚われたりするのではなく、努力によりプラスされてきた面を評価し、自信を持って臨むことが大切なのである。
  • 悲観主義をネガティブたらしめるプロセスには、望ましい状況を基準として、そこに到達できないことを気にするという「引き算」思考も関係している。対処的悲観主義のように、「最悪の状況を想像し、そこから少しでも良くするように考え行動する」という『足し算』思考は行動を動機づける。また、・・失敗したという結果自体を過度に気にすることも苦しみのもとである。長期的に見ると、結果に至る過程や、結果から得る教訓が大事であって、結果その者にいつまでとらわれていても生産的ではない。
  • 「どうせダメだからやらない」という考えから、「ダメで元々、何かしらを得れば儲けもの」という考えに展開したいものである。
  • 思考抑制の研究によると、ある思考内容を考えないように言われると、かえってその考えが活性化し意識に浮かんでくるらしい。したがって、落ち込みや不安に関連する思考から注意をそらすためには、思考抑制よりも、明確な対象を持って注意をそらす気晴らしのほうが効果的なのである。
  • 「活動的な気晴らし」・・・運動は特に鬱の回復に効果的であることがわかっており・・・
  • 気晴らしを行う状況やタイミングも大切である。ストレス状況では『この問題を解決できなければ無能だと思われる』というように、物事を単純化して「全か無かの思考」をすることもある。こうなったら既に精神的に追い込まれている。心身の機能を正常に戻すためにも気晴らしをしたほうがいい。逆に気晴らしが早すぎ、問題解決を遅らせる場合もある。・・良い気晴らしになるdかどうかを判断するためには、ストレスの質と量だけでなく、その問題を解決するために自分が利用できるリソース、そのときの体調、気晴らしのタイミングなどを考慮する必要がることがわかる。
  • 身体の病気や怪我でも、どこがおかしいのか知らなければ治しようがない。機能型の自己注目への第一歩、それは、落ち込んだ状況で自分がどのような考え方をしているのかを知ることである。認知の仕方について認知するので、これを「メタ認知」と呼ぶ。認知の後に生じ、認知したことについて認知するので「メタ認知」という。うつや不安の状態のままで考え続けると、うつや不安を増強させるような思考が現れ、更にうつや不安が強くなっていく。そうならないように、うつや不安を経験したとき自分の考えについて考える。すなわち、メタ認知するように心がけたい。
ネガティブ・マインド―なぜ「うつ」になる、どう予防する (中公新書)