Depot

つれづれなるままに、日暮し、PCにむかひて、心にうつりゆくよしなしごとをそかはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

Curriculum Vitae

Yamanatan Kac

日本科学技術大学理学部物理学科(上田次郎ゼミ)

帝都大学大学院理工学部物理学科(湯川学ゼミ)

Ph.D.

專門:システム科学

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About #stars

  • ☆ (must read)
  • ☆☆☆ (nice read)
  • ☆☆☆ (partly interesting)
  • ☆☆ (a bit interesting)
  • ☆ (oops!)

Favorite Food

  • Chocolate-mint ice cream
  • Gōngbǎo Jīdīng(宮保鶏丁)

What I don't like

  • 手段と目的が一致しないこと
  • 本質的でないこと
  • 無知なのに傲慢な人
  • 自己愛性パーソナリティ障害な方々

Favorite Drama

Favorite Movie

Favorite Anime

Todo

帝都大学の有名人について

  • 僕の指導教官でもある湯川学帝都大学物理学助教授(准教授)
  • 理工学部の名物教授といえば、渡来角之進教授。何言ってるかわからない講義で有名
  • 附属病院の下村教授。奥さんと娘さんが美人揃いであることでも有名。
  • UCLA元教授の国立笙一郎さんはうちの医学部出身。
  • 学生時代に文学部を主席で卒業され、現在は文学部で心理学を教えている秋山教授。よく一緒にいる女の人は奥様?
  • 同じく心理学専攻で帝都大学史上最年少で教授になった葛城リョウ先生。秋山さんと葛城さんは学生時代にライバルだったとかいう噂も・・・。
  • 今は刑事になったらしいですが、昔は動物生態学分野で有名だった都島さん。
  • 講義しに来ている推理作家の高村耕司さん。
  • 直森賞、菊川賞、国際文学芸術賞大賞受賞作家の宇佐見さんはうちの法学部OB。

ギャンブルで勝ち続ける科学者たち: 完全無欠の賭け

  • ケンブリッジ大学の数あるカレッジのうち、ゴンヴィル・アンド・キーズは、四番目に古く、三番目に裕福で、二番目に多くのノーベル賞受賞者を輩出している。また、 毎晩三コースのフォーマルディナーが出されるわずかなカレッジの一つでもあり、それはつまり、学生のほとんどにとって、このカレッジのネオゴシック様式の大食堂と、その独特のステンドグラスの窓がすっかりお馴染みであることを意味する。
  • 窓の一つにはぐるぐるとねじれたDNAの二重らせんが描かれ、かつてこのカレッジのフェロー〔特別研究員」だったフランシス・クリックを称えている。別の窓には三つの円が重なり合うベン図が描かれている。これは論理学者ジョン・ベンへの敬意の印だ。さらに別の窓にはチェッカーボードも収まり、マス目が見たところランダムに色分けされている。現代統計学創始者の一人であるロナルド・フィッシャーを記念するものだ。

 

  • 五二枚のカードから成るデッキについて、それとわかるようなパターンをいっさ残さないためには、ディーラーは少なくとも六回はカードをシャッフルするべきことが、数学者によって証明されている。ところがベンターは、それほど入念なカジノはほとんどないことに気づいた。デッキを二、三度シャッフルするディーラーもいれば、一度で十分だと考えているらしいディーラーもいた。
  • 一九八〇年代初期には、プレイヤーたちは隠し持ったコンピューターを使って、すでに出てきたカードを記録し始めた。スイッチを押して情報を入力すれば、コンピューターは状況が有利になると、振動で知らせてくれた。切り混ぜられたカードの記録をつけられるのならば、カジノが複数のデッキを使うかどうかは問題ではなかった。
  • これはまた、プレイヤーがカジノのセキュリティ要員にはっきり見咎められずに済むためにも役立った。次の勝負で良いカードが出る可能性が高いとコンピューターが教えてくれるなら、プレイヤーは賭け金を大きく積み増さなくても、利益をあげられるからだ。ギャンブラーにはあいにくなことに、この利点はもはや存在しない。コンピューターの力を借りた賭けは、一九八六年以降、アメリカのカジノでは違法とされているためだ。

 

  • カール・ピアソンはモンテカルロのルーレットホイール〔回転盤)に関する研究を
    行なった二年後、フランシス・ゴールトンという名の紳士と出会った。チャールズ・ダーウィンのいとこであるゴールトンは、科学や冒険、そしてもみあげに対する一族の情熱をダーウィンと共有していた。だがピアソンはほどなく、二人にはいくつか違いがあることに気づいた。
  • ダーウィンは進化論を練り上げるにあたって、この新分野を整然とまとめることに時間を費やし、骨組みや方向性を幅広く示したので、彼の足跡は今なおはっきりと見て取れる。このようにダーウィンが建築家だとすれば、ゴールトンは探検家だった。ポアンカレとよく似て、ゴールトンも新奇なアイデアを世に公表するだけで満足し、すぐに次のアイデアの探求に向かうのだった。「彼はけっして、誰が後に続いてくるのかを見届けようとはしなかった」とピアソンは語った。「彼は生物学者や人類学者、心理学者、気象学者、経済学者らに新天地を指し示したが、彼らが後に続こうが続くまいが、お構いなしだった」

 

  • シンジケートが、賭けの予測を検証するために、モデルを調整する際に使用したデータと照らし合わせたならば、これと同じ問題が生じる。実際、一見したところ完璧と思われるモデルを構築するのは容易だろう。それぞれのレース結果に対して、シンジケートは一着になる馬を示唆する要因をモデルに投入できる。次に、そうして加えた複数の要因を微調整すれば、各レースで実際に勝った馬に完璧に一致させることが可能だろう。こうして得たモデルは、非の打ち所がないように思われるが、じつのところ、実際の結果を予測に見せかけたにすぎないのだ。
  • ある戦略が今後どれだけ役立つのかを知りたければ、その戦略が新たな事象をどれだけ的確に予測できるのかを見極める必要がある。そのため、過去のレースに関する情報を収集する際、シンジケートは相当量のレース結果をモデル作成には使わずに取り置く。次に、残りのデータを使って、モデルに組み込む要因を評価する。それが終了したら、取り置いてあったレース結果の情報群と比較して、その予測を検証するのだ。こうした手順を踏めば、シンジケートは自分たちのモデルが実戦でどれほどの成果をあげられるのか確認できる。
  • 新たなデータと比較して戦略を検証すれば、そのモデルが「オッカムの剃刀」として知られる科学的原理を満たしていることを確認する上でも役立つ。「オッカムの刺刀」とは、観察されたある事象に対する説明が複数あり、そのなかの一つを選ばなければならないときは、最も単純なものを選ぶのが最も良いとする法則だ。言い換えれば、現実に存在するあるプロセスのモデルを構築しようとするなら、正当性を認められない要素は削ぎ落とすべきであるということだ。
  • 新たなデータと予測を比較することには、ベッティングシンジケートが一つのモデルに多くの要因を詰め込み過ぎるのに歯止めをかける効果はあるが、それでもやはり、 そのモデルが実際にどれだけ役立つのかを評価する必要は残る。

 

  • ウラムは多くの数学者が好んでしていたように、何時間もかけてこつこつと問題を解くのは好きではなかった。ある同僚は、ウラムが黒板で二次方程式を解いていたときのことを思い出して言った。「彼は眉間に皺を寄せながら、小さな文字で一心不乱に式を走り書きしていました。そしてとうとう解が求まると、振り向いてほっとしたように言ったのです。『これで一日分の仕事をやり終えたような気分だ』と」
  • ウラムは新しいアイデアを生み出すことに専念するほうが好きだった。技術的な詳細を詰めるのは、他の人々に任せておけばいいというわけだ。彼が独創的な発想で取り組んだのは、数学の謎ばかりではなかった。一九四三年の冬、ウィスコンシン大学で牧練を執っていたとき、ふと気づくと、同僚数人が職場に姿を見せなくなっていた。
  • その後はどなく、ウラムはニューメキシコ州でのプロジェクトへの参加を誘う手紙を受け取った。その手紙では、プロジェクトの内容については触れられていなかった。

 

  • 二〇世紀初期にカードシャッフルに興味を抱いた学者は、ポアンカレとボレル以外にもいた。ロシアの数学者アンドレイ・マルコフもその一人で、彼は途方もない才能と途方もない短気で知られていた。若いときには「荒れ狂うアンドレイ」というあだ名までつけられる始末だった。
  • 一九〇七年、マルコフは記憶も取り込まれたランダムな事象についての論文を公表した。そうした事象の一例がカードシャッフルだった。数十年後にソープも気づくのだが、一度シャッフルした後のカードの順序は、直前の順序に依存している。さらに、その記憶は長続きしない。次のシャッフルの結果を予測するために必要なのは、現在の順序だけだ。数回前のシャッフル時のカードの配列に関する情報を加えたところで、まったく意味がない。マルコフの研究にちなんで、この一段階限りの記憶は「マルコフ性」として知られることになった。このランダムな事象が数回繰り返される場合、それは「マルコフ連鎖」と呼ばれる。マルコフ連鎖は、カードシャッフルや、すごろくなどの偶然性が支配するゲームで広く見られる。また、隠された情報を探るときにも役立つ。

 

  • ディクソンとコールズは、サッカーの試合をポアソン過程としてモデル化することを選択した(したがって、一試合を通して、ゴールは一定のペースで決まるという前提に立った)が、どのようなペースでゴールが決まるのかを突き止める必要が残されていた。一試合の得点数はおそらく、プレイしている選手次第で異なるだろう。では、各チームの得点をどう見積もればいいのだろうか?
  • ディクソンとコールズは一九九七年の論文の最初のほうで、サッカーリーグのモデルを構築しようと思えば誰もが従うべき手順を踏んでいる。まずは各チームの能力をどうにかして査定する必要がある。そのためには、何らかのランキング制度を利用するのも一つの手だ。各試合結果に応じて一定のポイントをチームに与え、所定の期間に獲得したポイント数を総計するのもいいだろう。たとえば、どこのサッカーリーグでもたいてい、チームは勝つと三点、引き分けると一点を与えられ、負けると一点ももらえない。一種類の数字で各チームの能力を示せば、どのチームが好成績を収めているかはわかるかもしれないが、その順位をもとに正確な予測ができるとはかぎらない。クリストフ・ライトナーとウィーン大学経済・経営学部の同僚による二〇〇九年の研究は、この問題を浮き彫りにした。彼らは二〇〇八年のサッカー欧州選手権について、世界のサッカーを統括する団体である国際サッカー連盟 [FIFA]の公表するランキングをもとに予想したが、ブックメーカーの予測のほうがはるかに正確であることが判明したのだ。サッカーの賭けで儲けるには、各チームの能力を測る値が一つでは足りないらしい。
  • ディクソンとコールズは、チームの能力を二つの要因、すなわち攻撃力とディフェンス力に分けることを提案した。チームの攻撃力は得点をあげる能力を反映し、ディフェンスの弱さは相手の得点を防ぐ能力が低いことを示す。特定の攻撃力を備えたホームチームと特定のディフェンスの弱さを持つアウェーチームが対戦した場合にホームチームがあげる予想得点数は、三つの要因を掛け合わせて求められるとディクソンとコールズは考えた。
  • ホームチームの攻撃力 ×アウェーチームのディフェンスの弱さ× ホームアドヴァンテージとなる要因
  • この「ホームアドヴァンテージとなる要因」とは、本拠地で戦うチームが多くの場合に得られる後押しを指す。同じように、アウェーチームの予想得点数は、チームの攻撃力にホームチームのディフェンスの弱さを掛けたものに等しいとされた(アウェーチームは特別なアドヴァンテージは何も得られない)。

 

  • もっとも、どんなモデルもそうであるように、この研究にもいくつか弱点がある。「あれは完璧に磨き上げられた作品というわけではありません」とコールズも認めてい る。問題の一つは、チームの攻撃力やディフェンス力を示す値が一試合を通して変わらない点にある。実際には、試合中に選手が疲れたり、より攻撃的になったりする時間帯がある。さらに、現実の試合結果は、ポアソン過程で予測されるよりも引き分けが多いという問題もある。これは、リードしているチームが試合展開に満足しているのに対し、負けているチームの選手のほうが、なんとか同点に追いつこうと懸命にプレイするからだと説明できるかもしれない。だが、アンドレーアス・ホイヤーとオリヴァー・ルブナーというミュンスター大学の二人の研究者によると、その背後には別の事情もあるという。引き分けの試合が多いのは、同点のまま試合が終盤に入ると、どちらのチームもリスクを冒したがらなくなる(したがって、得点の可能性が低下する)傾向があるせいだと二人は考えた。そして、ドイツの一部リーグであるブンデスリーガの一九六八年から二〇一一年までの試合を調べた結果、同点のときには得点の入る比率が下がることがわかった。これは、「安楽な引き分け」をよしとしがちな選手心理から、スコアが○対○のときにはとりわけ顕著だった。
  • 試合中のいくつかの時点で、とくに引き分けになりやすい状況が生じることも判明した。ホイヤーとルブナーの分析によると、試合開始から八〇分間は、ブンデスリーガの得点数はポアソン過程に沿う傾向にあり、各チームともほぼ一定のペースでゴールネットを揺らしていた。ポアソン過程を逸脱するのは試合が終盤に入ってからで、その傾向がとくに強いのは、残り時間わずかでアウェーチームが一、二点リードしているときだった。

  • ケントの科学的な手法のおかげで、コンピューターグループの予測はラスヴェガスブックメーカーの予想よりも常に優れていた。この成功は一方で、招かざる関心も引いた。一九八〇年代を通して、FBIはグループが違法な活動をしているのではないかとの疑いを抱き続け、度重なる捜査が行なわれた。この背景には、グループが巨額の利益をあげていることに対する当惑もあった。ところが、何年にもわたって綿密な調査がなされ にもかかわらず、何一つ成果があがらなかった。FBIは強制捜査を行なったり、グループのメンバー数名を起訴したりしたが、最終的には全員が無罪放免となった。
  • コンピューターグループは一九八〇年から八五年までに、一億三五○○万ドル以上
    を賭け、一四〇〇万ドル近くを稼いだと見られる。損失を出した年は一年もなかった。グループは結局、八七年に解散したが、ケントはその後も二〇年にわたってスポーツベッティングを続けた。ケントによると、分業体制にはほとんど変わりがなかったという。彼が予想を立て、ウォルターズが賭けを実行した。ケントは自分の予測が奏功した大きな理由として、コンピューターモデルに細心の注意を払っていた点を挙げる。「モデルの構築こそが重要なんです」と彼は言った。「まずはモデルを構築する方法を理解する必要があります。そして、そのモデルを常に更新し続けなくてはならないのです」

 

「やめたくてもやめられない」ナッシュ均衡とは何か

  • 一九六九年、アメリカの連邦議会がタバコのテレビ広告を禁止する法案を提出したとき、人々は国内のタバコ会社が激怒するだろうと予想した。なにしろこれは、前年に自らの製品の販売促進のために三億ドル以上を注ぎ込んだ業界だ。これほどの金額が絡んでいるのだから、そのような断固たる法案を成立させようとすれば、タバコ業界が強烈な圧力をかけてくることは確実に思えた。企業は弁護士を雇い、議員たちに異議を申し立て、禁煙運動の活動家と戦うだろう。投票は一九七〇年一二月に予定されていたので、タバコ業界には手を打つ時間が一年半あった。では、彼らはどうすることにしただろう? なんと、おおむね手をこまぬいていたのだ。
  • じつはテレビ広告の禁止措置は、タバコ会社の利益を損ねるどころか、彼らに有利に働いた。各社は長年、馬鹿げた駆け引きから抜け出せずにいた。テレビ広告は、人々が喫煙するかどうかにはほとんど影響がなかったから、理論上はお金の無駄遣いだった。全社が申し合わせて一斉に広告をやめれば、利益が増すことはほぼ間違いなかった。ところが、人々がどのブランドを吸うかには、広告は確かに影響を及ぼす。だから、各社が広告をやめた後、一社が再開すれば、その企業は他のすべての企業の顧客を奪い取れる。
  • 競争相手が何をしようと、企業にとっては、広告をするのが最善だった。そうすることで、製品を広告しない企業から市場占有率を奪ったり、広告する企業に顧客を持っていかれるのを避けたりできた。全企業が協力すれば資金を節約できるにもかかわらず、個々の企業は常に広告から恩恵が得られた。つまり、全企業がどうしても同じ立場に立たされ、広告を出して互いに足を引っ張り合う羽目になったわけだ。経済学者はそのような状況(誰もが、他のプレイヤーが戦略を変えないと仮定し、可能なかぎりで 最善の決定を下している状況)を「ナッシュ均衡」と呼ぶ。出費がかさむこのゲームが中断するまで、あるいは誰かが無理やりそれを止めるまで、費用はどんどん増え続ける。
  • 一九七一年、連邦議会はついにテレビでのタバコ広告を禁止した。一年後には、タバコの広告に費やされる金額の合計は二五パーセント以上減っていた。それにもかかわらず、タバコ会社の収益は安定していた。政府のおかげで、ナッシュ均衡を打破することができたのだ。

 

  • ノイマンミニマックス問題に挑むのに使った手法は、およそ単純とは言いがたかった。それは長く手が込んでおり、数学的離れ業と評されてきた。だが、誰もが感心したわけではない。フランスの数学者モーリス・フレシェは、ノイマンミニマックス研究の背後にある数学的手法は、すでにでき上がっていたと主張した(ただし、イマンはどうやらそれを知らなかったようだが)。ノイマンはこの手法をゲーム理論に応用することで、「開かれていたドアから中に入っただけ」だとフレシェは言った。
  • フレシェが言っていた手法は、彼の同僚であるエミール・ボレルの創案で、ボレルはそれをノイマンより数年前に考え出したのだった。一九五〇年代初期にボレルの論文がようやく英語で刊行されたとき、フレシェは序言を書き、ゲーム理論の発明をボレルの功績とした。ノイマンは激怒し、二人は経済誌『エコノメトリカ』で辛辣な言葉を交わした。
  • この論争から、数学を実社会の課題に応用することにまつわる二つの重要な問題点が浮かび上がった。第一に、ある理論の創始者を特定するのは困難になりうること。功績は、レンガ (数学的構成要素)を巧みに造り出した研究者のものとするべきか、それとも、そうしたレンガを積み上げて役に立つ建物を構築した人に帰するべきなのか? 明らかにフレシェは、レンガ製造者のボレルが栄誉を受けて当然と考えていたが、歴史を振り返ると、数学を使ってゲームに関する理論を構築したノイマンの手柄ということになっている。
  • 第二に、この論争は、重要な結果は元々のフォーマットでは真価が理解されるとはかぎらないことも明らかにしてくれた。フレシェはボレルの業績を擁護したとはいえ、ミニマックス研究はそれほど特別のものだとは思っていなかった。数学者たちは、違う形でではあったものの、その考え方についてすでに知っていたからだ。だがその価値がようやく明らかになったのは、ノイマンミニマックスの概念をゲームに応用したときだった。ファーガソンゲーム理論をポーカーに応用したときに発見したように、学者には平凡に思える考え方も、別の文脈で使うときわめて有用になりうるのだ。
  • ノイマンとフレシェが議論の火花を散らしていたころ、ジョン・ナッシュプリンストン大学で博士号取得を目指してせっせと研究していた。彼はナッシュ均衡という概念を確立することによってノイマンの研究を拡張してのけ、より多くの状況に応用できるようにした。ノイマンが二人のプレイヤーによるゼロサムゲームに着目したのに対して、ナッシュは複数のプレイヤーがいて報酬が一様でなくても最適戦略が存在することを示した。だが、完璧な攻略法が存在するのを知ることは、ポーカープレイヤーにとってほんの手始めにすぎない。次の問題は、そのような戦略を見つける方法を解明することだ。

 

  • スタニスワフ・ウラム、ニコラス・メトロポリスジョン・フォン・ノイマンらは、第二次世界大戦中にロスアラモスで働いていたころ、深夜までポーカーに興じることがよくあった。むきになって争っていたわけではなく、わずかなお金を賭けて、気軽なおしゃべりをしながらの勝負だった。ウラムはそれを、「ロスアラモスの存在理由であるきわめて真剣かつ重大な任務の合間の気分転換に、たわいもない遊びに浸る場」と評した。あるゲームの最中、メトロポリスノイマンから一○ドルを勝ち取った。ゲーム理論に関する本をまる一冊書いた相手を負かしたことにメトロポリスは大喜びだった。勝ったお金の半分でノイマンの著書『ゲーム理論と経済行動』を買い、残りの五ドルを勝利の記念としてその表紙の裏側に貼りつけた。

 

  • ゲーム理論によると、もしじゃんけんの最適戦略に従って、三つの選択肢のなかから一つをランダムに選んでいれば、引き分けに終わるはずだ。ところが、ことじゃんけんに関しては、人間は最適の行動を採るのはあまり得意ではないらしい。二〇一四年、中国の浙江大学ジージャン・ワンルは、人はじゃんけんをするとき、ある行動パターンに従う傾向にあることを発表した。ワンらは三六〇人の学生を集めてグループに分け、それぞれのグループ内で一対一で一人三〇〇回のじゃんけんをさせた。勝負の間、ワンらは多くの学生が採用する戦略があることに気づき、それを「ウィン =ステイ・ルーズ = シフト〔勝った人は変えない、負けた人は変える]」戦略と名づけた。一回勝った人はしばしば、次の勝負でも同じものを出したが、負けた人は、自分が負けた相手が出していた手に替えて出す傾向があった。たとえば、グーで負けた後でパーを出したり、チョキで負けた後でグーを出したりといった具合だ。回数を多く重ねると、学生たちはたいてい、グー、チョキ、パーの三つの選択肢をそれぞれ同じぐらい出していたが、ランダムに出しているのではないことは明らかだった。

 

  • 統計学の世界では「相関関係は因果関係にあらず」と呪文のようにたびたび言われる。ケンブリッジ大学のワインの経費を見てみよう。二〇一二年から二〇一三年にかけての学年度に同大学の各カレッジがワインに使った金額は、同じ期間の学生の試験結果と正の相関関係があった。ワインにかける費用が多いカレッジほど、概して学生の成績が良かった(カール・ピアソンやアラン・チューリングがかつて在籍していたキングズ・カレッジは、ワイン経費が三三万八五五九ポンドで、学生一人につき約八五○ポンドとなり、リストのトップを飾った)。
  • 同様に興味深いことが他の場所でも起こっている。チョコレートを多く消費する
    国々のほうがより多くのノーベル賞を受賞している。ニューヨーク市でアイスクリームの売上が伸びると、殺人事件の発生率が増す。もちろん、アイスクリームを買うと人を殺したくなるわけではないし、チョコレートを食べるとノーベル賞級の研究者になれたり、ワインを飲むと試験で良い点が取れたりするわけでもない。
  • これらのケースのそれぞれに、パターンを説明できる根源的な要因が別にあるのだろう。ケンブリッジ大学の要因は富かもしれない。豊かさはワインの消費と試験結果の両方に影響するだろうから。あるいは、より複雑な理由がいくつも、この観察結果の陰に潜んでいることもありうる。だからビル・ベンターは自分の競馬モデルで非常に重要に思える要因がある理由を説明しようとはしない。馬が走ったレースの数は、馬の成績に直接影響を及ぼす別の(隠れた)要因と関係しているのかもしれない。あるいは、出走数と他の要因(馬体重や騎手の経験など)の間には込み入ったバランス関係が存在することも考えられ、それを「AがBの原因となる」というすっきりした結論にまとめ上げることはベンターには望むべくもなかっただろう。だがベンターは的確な予測をするためなら、簡潔さや説明など喜んで犠牲にする。自分が着目する要因が直感に反していたり、正当化できなかったりしてもかまわない。モデルの目的は特定の馬の勝算を見積もることであり、なぜその馬が勝つのかを説明することではないのだ。

 

  • 研究者はスポーツの理論モデルを開発するとき、現実を抽象へと変換する。彼らは細部を取り除き、重要な特色にもっぱら注意を向ける。まさにそれと同じことをしたので有名なのがパブロ・ピカソだ。ピカソは一九四五年の冬に「牡牛」のリトグラフを制作したとき、牡牛の写実的な描写から始めた。当時それを見ていた助手は、次のように語っている。「堂々とした、肉付きの良い牡牛でした。これででき上がりだと心のなかで思いました」。だが、ピカソにとってそれは完成ではなかった。最初の版画ができると、彼は二番目へ、さらに三番目へと進んだ。ピカソが新しい版画を作るたび牡牛が変わるのを助手は目の当たりにした。「だんだん小さくなり、痩せ細っていきました。ピカソは描き加えていくのではなく取り去っていったのです」と彼は言った。ピカソは新たな版画を作るたびに牡牛の肉を削ぎ落とし、重要な輪郭だけを残し、結局は一一番目まで行った。最後には細部がほとんど消え去り、ほんの少しの線以外は何もなくなった。だがその形を見れば、依然として牡牛だとわかった。ピカソはそれらの数本の線で牡牛の本質を捉えていた。抽象的ではあるが、けっして曖昧でははない画像ができ上がっていた。アルバート・アインシュタインがかつて科学的モデルについて言ったように、「すべてのものは可能なかぎり単純にすべきだが、単純にし過ぎてはならない」のだ。

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“Pasadena, Norton Simon Museum, Picasso P. The Bull, 1946” by Vahe Martirosyan is licensed under CC BY – SA 2.0

スパイダー・ネットワーク 金融史に残る詐欺事件――LIBORスキャンダルの全内幕

  • 一九九一年、モルガン・スタンレーのロンドン支店に勤めるダグラス・キーナンという若手トレーダーがデリバティブに投資した。価値はLIBORの変動に基づいて算出されていた。そんなある日、市場が予測とは逆に動き、キーナンは疑いを抱いた。誰かがなんらかの方法で、自分のポジションに合わせて商品を操作しているのではないだろうか。キーナン はその話を同僚にしたが、何をいまさらと一笑に付された。各銀行が自らのポジションに合わせてLIBORに手を加えているのは、当時としては常識だった。キーナン以外の全員が事情を把握しているようだった。
  • 銀行がLIBORを押し上げる、あるいは引き下げる理由は複数あった。そのひとつが、各銀行が提出したデータは公開情報で、投資家はその情報を各行の財政の健全性を測る指標にしていたことだった。たとえばある銀行の借り入れコストが急増していた場合、それはその銀行が経営難に陥っている可能性を意味する。でなければ、他行が融資の手数料を増やす理由がないからだ。だから銀行は常に、特に市場が荒れている時期には、提出するデータの数字を低く抑える傾向があった。そしてもうひとつの理由が、各行のトレーダーがある瞬間に扱っている広範なデリバティブポートフォリオの価値を増やせることだ。各銀行の中では、さまざまなトレーダーがさまざまなポジションを取っているから、それがLIBORを上
    下動させる誘因になった。すべてはその直前に、行内のトレーダーがどのような売買をしているかで決まった。
  • シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の歴史は、南北戦争前のアメリカに遡る。そこはトウモロコシと家畜類を将来の決まった期日に、決まった値段で売買する契約を交わす取引の拠点で、役割に合わせて色分けした上着をまとう業者で賑わった。彼らは手振りで意思疎通を図った(それが可能だったのは、コミュニケーションを活発化するため、ピット"と呼ばれるすり鉢状のフロアのまわりに、スタジアムの座席に座るようにして集まっていたからだ)。一九六〇年代になると、"Merc"と業者から親しみを込めて呼ばれていたこの取引所は、豚バラなどの商品の先物取引も扱うようになり、それによって企業と農家は必需品の将来の値段をわかったうえで、長期的な投資や戦略的な判断ができるようになった。

 

  • タイからすると、ファーはまともな人物に見えたし、カジュアルな服装と気さくな態度は見せかけには思えなかった。それでも彼女はフィアンセのブローカーたちについて、基本的には不誠実なおべっか使いの集まりという印象を持っていた。一度、東京の外国人が集まるバーへ出かけたとき、ブローカーの集団から話しかけられたことがあったのだが、そのとき彼らは文字どおり列を成して、彼女に酒をおごり、表敬訪問する順番を辛抱強く待っていた。タイはマフィアのドンの妻になった気分がした。
  • ただ、そうした居心地の悪くなるような振る舞いも、ヘイズにときどきかかされる恥に比べればまだましだった。一度、ハーバート・スミス・フリーヒルズのパートナー弁護士であるタイの上司が、部下たちを集めて自分のアパートでバーベキューを主催したことがあった。タイとヘイズも、高級ワイン二本を土産にはせ参じた。ヘイズはそのワインを飲むのを楽しみにしていたのだが、上司は渡したワインをすでにボトルでいっぱいのワイン棚に収めてしまった。それからふたりを小さなバーカウンターへ連れていき、すでに栓の開いた別のワインを勧めた。結婚式に向け、ワインについて全力で情報収集を進めていたヘイズには、それが自分たちの買ってきたものよりずっと安物なのがわかった。ヘイズはタイの上司のすぐそばで、高級ワインをもらっておきながら安いのを出すのはおかしいとのたまった。恥ずかしくなったタイは口を閉じてとヘイズ に言った。そのあと、ヘイズは中庭をぶらつき、東京のアパートではめったに味わえない贅沢を楽しんだ。グリルで肉を焼いていたタイの上司が、本当に楽しいバーベキューになったと声をかけてきた。ヘイズはこう答えた。その気持ちはわかりますよ、安いワインと食べ物を出してチームの士気を上げられたんだから、今回のバーベキューはいい投資になったってことですよね。近くに立っていたタイはうめき声を漏らした。

 

  • ヘイズがUBSのチューリッヒ本店を訪れるのははじめてで、そしてそこに息づくまったく別の文化は衝撃だった。周囲の牧歌的な雰囲気もそうだし、昼食を取った豪華な内部食堂では、ウェイターがワイン付きのコース料理を提供していた。そこだけ時代がずれているかのように、ただでワインやブランデーが付いてくる本格料理をじっくり腰を落ち着けて堪能する会員制クラブめいた文化が深く根付いていた。 ランチといえばデスクで慌てて掻き込むのが当たり前で、そもそも食べないこともあるヘイズには驚きだった。しかも当時は金融危機の直後で、銀行が資金繰りに苦労していた時期だったのだ(しかもUBSは、ヘイズの東京の部屋代を払うのをやめようとしていたから、贅沢への不快感はいっそう強まった)。また、おそらくダクロットやダリンのチームとの関係が冷え切っていたことが原因で、チューリッヒのトレーダーからはさげすみの目で見られた。八月の終わりに東京へ戻ったヘイズは、スターじゃなくてのけ者扱いされているとタイにこぼし、それから数日間、ずっとUBSに尽くしてきたのに会社のほうは自分を尊重していないと文句を言い続けた。
  • 半年後(学問の世界ではかなり早いほうだ)、数え切れないほどの徹夜の日々と、焦るバジャーリからの厳しい突き上げを乗り越え、ふたりは論文の草稿を完成させた。三○ページで、文末には何ページ分かの図表も添付された論文のタイトルは「LIBORは銀行の借り入れコストを反映しているか」。ふたりはLIBORの操作の目的は低く見せることだという、『ウォール・ストリート・ジャーナル』からCFT
    Cまでに共通する意見を採り上げつつ、さらにこう綴った。自分たちの研究では「もっと根本的な理由、たとえば各銀行のポートフォリオLIBORの影響を受けやすいことなどが誘因となり、彼らが自分たちのポジションに応じてLIBORを動かしていることを指摘する」と。ところが専門的な表現を使っているせいで、論文は発見のインパクトをうまく伝えることができていなかった。
  • ふたりは論文をいくつもの学術誌に持ち込んだ。とりわけ権威ある『ジャーナル・オブ・ファイナンス』誌の編集者も、論文を不採用とした。「くだらない」と編集者は一蹴した。「仮にこれが真実だとして、いったい誰が気にするんだ?」
    採用する雑誌はひとつも現れなかった。

バリュエーションの教科書

PBR=ROE×PER

  • 企業は生き物であり、単なる資産の塊ではない。企業の社会的存在価値は、事業資産に人材、アイディア・ノウハウの蓄積、ブランド、信用などを吹き込み、有機体としての付加価値を創り出す活動に求められる。これらの無形資産は、まとめて「のれん」と呼ばれ、煎じ詰めると、企業価値創造とは、のれんの創造にほかならない。
  • のれんの創造力=PBR
  • 企業がどのような資産をどのような資金調達によって保有しているか、は貸借対照表(バランスシート、B/S) に表現される。のれんは企業の大切な資産だが、通常はB/Sの左側には表れない。一方でBISの右側の資本(純資産)は、株主からの出資と会社が蓄積した内部留保(利益剰余金)からなるが、上場会社であれば市場で株式時価総額という値段がつく。
  • B/Sは左と右が合計額で一致するようにできているので、価値を創造している会社では、純資産の時価と簿価の差分だけB/Sの左側にそれを埋める資産価値が存在することになる。
  • これが数値化されたのれん価値だ。したがって、企業ののれん価値創造力は純資産の時価と簿価の比率であるPBRで表現できることがわかる。
  • 「PBRが1を下回る会社は存続している価値がなく、解散したほうがマシ」と言われるゆえんもここにある。
  • 足元の効率性=ROE
  • 一方、利益を上げることが営利企業たる会社の本来のミッションで、会社はそのために出資を募って資金を集め、資産に投資する。その活動が効率的に行われているかは、「株式資本利益率 = ROE 指標」で表現できる。
  • 将来への期待とリスク=PER
  • 過去や足元の実績の事業パフォーマンスはROE指標で捉えられるとしても、それだけで企業の価値を測ると、短期的視点に流され、長期的な人材投資や研究開発が将来にもたらす利益が考慮されなくなりがちだろう。それは利益の将来に向けての成長期待と安定性・不確実性(リスク)として、PERという指標が表現している。
  • 以上から、「PBR = ROE×PER」の公式は、企業の存在価値の源泉であるのれん価値の創出力を足元の資本効率性と将来の成長期待の掛け算で数値化して表現できることを示していることがわかる。
  • さらに企業の将来期待の部分は、企業の将来の姿を描く力とそれが実現できるかのリスクを通じて数値化を試みる。これが、
  • 企業価値=企業が将来にわたって生み出すキャッシュフローの現在価値
  • という、ファイナンスの世界での企業価値のグローバル共通定義である。

解説:つまり、PBRが高いということは、PERが高い(成長期待が高い)かROEが高い(足元の利益率が高い)かその両方だということだ。PERの高さに支えられた高PBR銘柄への投資は、成長シナリオの変化に伴う大きな値下がりリスクに直面していることがわかる。逆に、高ROEに支えられた高PBR銘柄への投資は相対的に安定したパフォーマンスが期待できるとも言える。逆にPBRが低いということは、成長期待が低いか利益率が低いかその両方ということになる。日本にはPBR1倍割れ銘柄が多数あるが、そうした銘柄の多くは成長期待も利益率も低いということを意味している。

 

現代経営学創始者と呼ばれるピーター・ドラッカーは「株主価値を最大化するのが経営者の仕事だ」といった短絡的な言い方をしないので、日本でも共感者が多いが、そのドラッカーも1995年の『ハーバード・ビジネス・レビュー』の論考で「富の創出」について、次のように説いている。

Enterprise returns less to the economy than it devours in resources. It does not create wealth, it destroys it. (経済社会から受け取って使用している資源よりも少ないものしか経済社会に返していないとしたら、その企業は富を創造しているのではなく毀損しているのだ。[筆者訳])

ドラッカーの説く「経済社会から受け取って使用している資源」は、いろいろなものを含むが、そのうちの重要な1つは「資本」だろう。ここにはカネとしての資本だけでなく、ヒトという人的資本も含めて構わない。企業は多かれ少なかれ、社会に存在する資本という経営資源を使用して事業活動を行っているのだから、使用した資本以上の価値を社会にリターンしない限り、企業価値を創造しているのではなく破壊していることになる。

調達した資本の額を上回るだけの価値を生み出せていない企業は、極端な言い方をすれば、社会に存在している意義がない。その企業が社会からせしめている「資本」は、より創造力のある効率性の高いところに投資され、使われたほうが世のため人のためになる。

ドラッカーの言葉をこのように解釈すると、かなり厳しいことを言っているのがわかる。問題は投入された資源と、社会に返したリターンをどのようにして測ることができるか、だ。

とりあえずこのリターンを生み出す力を「超過収益力」と呼ぶ。その源泉は何にあるかというと、カネさえあれば誰でも買ってこられる最新鋭の工場設備のようなものではなく、優秀でモチベーションの高い人材、ブランド、信用、長年にわたり継承されてきたノウハウの蓄積、といった無形資産にある場合が多い。

そして、これらはまとめて「のれん価値」、英語では goodwill と呼ばれる。企業価値を「独自の超過収益力を生み出し、社会に還元する力」だと考えると、その本質がのれん価値にあることがわかってくる。

会計上のバランスシートに載っている資産は、通常買ってきたときの取得原価で記帳される。つまり、「カネさえあれば誰でも買える」たぐいの資産だ。事業活動とは、これらのカネで買える資産に人材、信用、ノウハウ、ブランドなどの「ソフトパワー」を注ぎ込んで、単なる資産の寄せ集め以上の価値ある存在にする活動にほかならない。

これは日本の良き経営者が、「企業価値とは、企業の社会的存在意義のことを指す」と言っているのと同じことで、世の東西を問わず企業価値の最も重要な部分は、のれん価値の形成にあるといえる。欧米的なアプローチとの違いは、そののれん価値を「すべてのステークホルダーのものでカネでは買えない価値であり、売買の対象にして株主の儲けのタネにするようなものではない」と言って数値化・定量化せずに置くか、それらを将来キャッシュフローを生み出す源泉として投資の対象、資金調達の手段として用いるか、の差である。

上場会社の場合、その株式は値段がついて売買の対象として不特定多数の株主の間を転々流通する。その仕組みを使って市場から資金調達している以上、「金銭売買の対象ではない」では済まされない。それが経営者の株主に対する説明責任(アカウンタビリティ)といわれるものだ。そして、オーナー一族やステークホルダーのみの出資によって成り立っている非上場会社の場合も、ゆくゆくはその株式が相続されて分散していったり、社員株主が定年退職したりして、株式を自由に譲渡できるようにしたいという要望が高まっていき、株式上場に向かっていくケースが多い。

資本主義という経済体制は、資本がのれん価値を創造する力のある企業に集まるのを良しとする仕組みだ。資本がのれん価値創造パワーにひきつけられて自由に移動する社会は、資本の配分を国家が一元的に管理し差配する経済体制より、ダイナミックでイノベーションが起こりやすい。そのことを20世紀の米国は体現してきたし、戦後の日本経済は、優秀な官僚による計画経済とともに、起業家精神を育む自由資本市場の仕組みを取り入れてホンダやソニーヤマト運輸のような企業を輩出して発展してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ROEの分解式=デュポン式

会計を学んだ人はほぼ確実に習ったことがあるであろう財務分析の基本公式が以下である。

財務レバレッジとは

日本の経営管理手法上、最後の「財務レバレッジ」という要素は歴史的にあまり注目されてこなかった。レバレッジとは梃子(テコ)を意味する。デュポン社が成長発展した頃の米国においては、野心的な起業家(アントレプレナー) がリスクマネーとして集めた出資金を元手に、それを梃子にして多くの借入を行い、巨額な設備投資資金を調達したのに対し、戦後日本においては政・官・財界(銀行)が一体となって産業資本の蓄積と集中配分を行ってきた。

メインバンクによる長期融資という形で資本調達が行われ、その結果、財務レバレッジの使い方については、メインバンクが会社の財務安定性の観点から判断するので、会社財務担当者および経営陣は、その分前の2つの要素により集中すればよい、という役割分担になっていた。

ROEという指標そのものが2000年以降に注目されるようになった理由も、メインバンク依存の資金調達体質から増資などの直接金融にシフトせざるをえなくなった時代の流れに沿っている。

ちなみに、財務レバレッジを駆使した株主価値向上策が投資ファンドの常套手段でそのメカニズムについては第8章で触れるが、「そういう財務テクニックで株価を上げようとするのは好きではない」という人は、この要素を取りあえず外して考えても構わない。「利益 ÷総資産」、これは総資産利益率(ROA:Return on Assets)というおなじみな指
標である。つまり、

ROE = ROA×財務レバレッジ
という関係にある。

業態に合わせたデュポン式の応用展開
分母と分子に別要素を入れて2つ、3つの指標の掛け算の形に分解する分析手法は、面白い発見につながる。経営管理指標としてこれまでバラバラに使っていた指標の相互のつながりが理解できるようになり、管理会計の世界でよく使われている KPI (Key Performance Index) をより立体的に、かつ企業価値や株主価値創造のドライバーとして意識づけられるようになる。

 

PERとDCF方式は同根

企業価値の算定の際には利益でなくキャッシュフローを用いることが多く、ファイナンス理論においても利益よりキャッシュフローで議論されるのが通常なので、ここまでキャッシュフロー(C) の現在価値という表現で進めてきたが、これを「税引後利益」(Earnings、略してE)と読み替えると、この公式はそのまま株価算定の指標となる(具体的なrやgの数値はキャッシュフローの場合とは異なりうる)。

先のたとえで言う「森林が生み出す果実」は、株主投資家にとっては「会社が生み出す税引後当期利益」となる。そうすると適正株価Pを算定する公式も同様に

  • P=E/(r-g)

となる。PERは株価 ÷利益=P/Eなのだがら、両辺をEで割ると、

PER =1/(r-g)

つまり、PERとは (r - g) の逆数であることがわかる。

通常PERは、会社の将来への期待を表す指標だといわれるが、まさに将来の成長性(g)と、その実現に伴うリスクを反映した資本コスト(r) の組合せとして表現されていて、「将来キャッシュフロー(利益)の現在価値」というDCFの定義とPERは根っこの部分でつながっていることが見えてきた。

ここにPERがグローバルな株価評価指標の定番であり、世界中の投資家や証券アナリストが、PER倍率によって「株価の適正さ=のれん価値の創出力」を評価しているゆえんがある。

それと同時に、株価が税引後利益の倍率で評価されるためには、第1章第3節で説明したとおり、税引後利益が株主のものだという共通認識が必要であり、「利益は株主だけのものではない」と言い出すと、株式投資家は何を頼りに値づけすべきものか、途方に暮れてしまうことも理解できるだろう。

(株主が実際に手にするキャッシュフローは配当金なので、利益の何パーセントを配当に回し残りを内部留保として再投資に回すかの「配当政策」が株価に影響するのは事実だ。その意味では、株価を決めるgは利益の成長率ではなく、配当の成長率を使うのが正しい。しかし、ここでは内部留保資金は、これまでと同じ利益率を生み続ける投資に回り、結果的に配当の成長率と税引後利益の成長率は同じになるとの前提で議論を進める)。

同じ業界にA社とB社の2社がいて、「将来の成長期待が高いA社はPERが25倍、将来見通しが暗いB社は10倍が適正だ」というとき、これは、現在価値を出すために、A社は4%(1-25 % 0.04)、B社は10%(1 - 10 = 0.1) が、それぞれ適正な割引率だと言っているのと同じことだ。両社の資本コストrは同じ業種なので同じ7%だとすると、

  • A社の成長率 g=7-4=3%
  • B社の成長率 g=7-10 =-3%

つまりA社は、毎年3%ずつ利益が伸びていく会社であり、B社は3%ずつ利益が縮小していくような会社だと市場が見ていると解釈できる。「永続的な成長率などわかるはずがない」と言いながらも、市場で価格がついて実際に売買が起こる限り、投資家はその数字を暗黙のうちに置いていることになる。

そして、なぜそのような価格形成がなされているのかを数字に分解して検討することによって、割安・割高な会社を見つけ、株式投資で儲けるチャンスを見出せることになる。

投資家が気にすべきは、フリーキャッシュフロー

株価算定の基準となる利益は、株主への配当可能利益である税引後利益だ。これに対応する、企業価値算定の基準となるべきキャッシュフローは、フリーキャッシュフロー(FCF) と言われているものだ。

「フリー」というのは文字どおり自由、つまり、株主がそれを配当として会社から抜き取ろうが、役員にご褒美として特別ボーナスとして支払おうが、内部留保して会社の新規事業投資に充てようが、既存の本業事業に影響を及ぼさない「使途が自由な」キャッシュフロー、という意味である。

FCFの定義も厳密に考えると、ややこしい議論に入り込むが、簡単に言うと、

FCF =営業キャッシュフロー-本業の維持更新のために必要な投資額

と計算される。

「営業キャッシュフロー」とは、税引後利益に

  1. 減価償却(無形固定資産の償却も含む)
  2. 会計処理上発生する評価性の損益や、持分法で取り込んだ少数株主持分損益
  3. 法人税として計上した費用と実際に支払う税額の差
  4. 運転資金の増減

などの調整を加えた、事業が実際に生み出すキャッシュの額で、投資のキャピタルゲインや損失は含まない数字である。

運転資金は事業を続けるうえで必要な資金で、成長している会社では通常、売上の伸びに応じて増えていく。それは売上拡大に応じて在庫や売掛金が増えて現金回収まで時間がかかる、かたや支払い側の買掛金の伸びは、通常はそれを下回るペースでしか増えていかないので、その間をつなぐための資金を会社が調達しなくてはならないからだ。

ちなみに、決算期末に向けて売掛金を増やして売上を大きく見せたり設備をフル稼働させて在庫を積み上げて原価を減らして利益を大きく見せるというのが、伝統的な決算のお化粧手法だが、これらは運転資金を増やす行為なので、営業キャッシュフローを見れば化粧分が剥がれ落ちた姿を確認できるはずだ。

運転資金の増加に既存事業の維持更新投資を加えた金額は、事業継続のために必要なキャッシュなので、それらを差し引いた残りが「自由に処分できる」キャッシュフローであり、投資家が受け取るリターンの源泉であり、企業価値算定の拠り所となる数値となる。

DCF方式で通常使われるFCFの計算方法は、財務諸表としてのキャッシュフロー計算書と異なり、以下のような簡易な体裁をとっている。

税引後営業利益 (NOPAT: Net Operating Profit After Tax)
+減価償却費 (Depreciation & Amortization)
△設備投資 (Capex:Capital Expenditure)
±運転資金変動分 (Change in Working Capital)
= FCF

これは多分に将来計画作成上の実務的な理由によるものだ。過去の事実を正確に記述する財務諸表と異なり、今後の実力ベースのキャッシュ創出力の見通しを立てる際には、

  • 本業以外の活動 (資産売却や合理化など特別要因によるもの)は企業価値算定上、別途取り扱ったほうがよい(第2章第1節の「ネット有利子負債」算定の留意点を参照)。
  • 営業利益にいきなり税率を掛けてNOPATを出すと税金を高めに算定しがちだが、上記要因の税効果や買収資金調達に伴う借入金支払利息金額は、買収後の資本・負債構成をどうするかにより変わる、つまり買い手の方針次第なので、別途検討したほうがよい。

といった諸点を考慮しつつ、大枠をざっくりつかまえることが肝要なのだ。

ならば、税引後利益倍率のPERではなくFCF倍率をいつも見ればよいではないか、と言いたくなるが、現実にはいくつか厄介な点がある。

まず第1にFCFは、財務諸表のキャッシュフロー計算書には出てこない数字である。営業キャッシュフローも投資キャッシュフローも計算書にあるのだが、投資キャッシュフローには既存事業の維持更新以外の新規投資も含まれており、これを峻別するのは実際には難しい。利息や配当金のような、投資に伴って生まれるカネは営業キャッシュフローに含めるか、投資キャッシュフローに含めるか、記載方法が事業により会社によりまちまちだったりする。

第2に、運転資金の増減も、年によってかなり差が出る。期末の売掛金や在庫残高が曜日の関係などでたまたま前年末より少なくなれば運転資金は大きく減り、その結果、営業キャッシュフローが実力以上に大きく見えることがある。

そして第3に、上記で定義されたFCFはすべて株主の自由になるカネではない。なぜならば、借入金の返済や社債の償還のために必要な資金があり、これは約定どおりに返さなければ、債務不履行になって倒産してしまうからだ。FCFには既存負債の弁済スケジュールが考慮されていない点は要注意だ。

M&Aによく登場する指標――EBITDA倍率とは

株主投資家にとっての会社の投資価値の源泉は利益、それに対して、債権者を含めた投資家が見るべき企業の実力を示す指標は、フリーキャッシュフロー(FCF)、そこから利益やキャッシュフローの何倍?という倍率指標が、株価や企業価値の算定に重要であることを説明してきた。

ところが、事業会社のM&A価格算定の実務において最も登場頻度の高い倍率指標は、PERでもFCF倍率でもなく、EBITDA倍率(またはEV/EBITDA倍率)という指標だ。この倍率指標は超重要で、私自身が事業会社の価格評価を頼まれたら、まず最初に見る指標なので、しっかり腹に落として理解しておくことをお薦めする。

EBITDAとはどういう数字か。イービットディーエーとかイビットダーと発音されるこの指標は、Earnings Before Interest, Tax,Depreciation & Amortizationの略で、文字どおり訳せば、利払い前税引前償却前利益、簡便には「償却前営業利益(営業利益に償却費を足し
戻したもの)」と計算される。

この指標は、企業が本業から経常的に生み出す実力ベースのキャッシュ創出力をつかまえようとしている。

本業が生み出す利益である営業利益に、会計上は費用だがキャッシュが実際に出ていくわけではない代表的項目である償却費を足し戻したものがEBITDAだ。なぜ営業キャッシュフローでもFCFでもなくEBITDAが良いのか?

一番の理由はおそらく、計算が簡単かつ安定的で他社と横並びにして比較しやすい、という実務的なものだろう。DCF方式での企業価値算定のもととなるFCFは、前述のとおり、財務諸表の数字から算出するにあたり、投資キャッシュフローの取扱いが難しいが、EBITDAは「会社四季報』程度の情報でみんな同じ計算ができる。

M&Aにおける買収価格算定において、まずつかまえるべきは、対象会社が本業からどれぐらいのキャッシュを生み出す力を持っているかだ。そして、M&A案件に買収資金を提供する銀行などがどこまで買収資金融資に応じるかの判断基準も同様だ。

すでに設備投資をしっかり行っている会社の企業価値は、旧式設備をだましだまし使い続けている会社より高くなるべきだが、償却費を足し戻すことで、この差が企業価値の差に反映される。

買収後の設備投資や運転資金管理、B/Sの右側にどれだけの借金を背負うか、およびそれらに伴う節税効果、は買い手の方針次第であり、買収価格評価には本来影響すべきでないという点は、前節 FCFの議論と同様だ。

必要投資や支払税金を差し引かれていないEBITDAではあるが、あくまで企業価値を倍率比較する際の分母、他社と相対比較して実力を測る指標として簡易に使いやすいという程度の話で、DCF方式にFCFの代わりに用いるべし、と言っているわけではない。

現経営陣に経営を任せてその利益配分に期待する一般株主投資家と異なり、自ら経営主体となるM&A当事者の目線から会社や事業の投資価値を評価・算定する際には、PERより EBITDA倍率が重視される背景は以上のとおりだ。

株価算定指標のM&Aバージョン
「PBR = PER×ROE」の基本公式を、

と読み替えて変換すると、M&Aやファンド投資実務の世界でおなじみの指標の組合せが登場する。M&Aにおける企業価値算定やファンドがどのようにして投資判断するかの解説は第8章のトピックなのだが、ここではその概要を先取りする。読んでもピンと来ない場合は、後半を読んでからここに戻っていただきたい。

一般株主投資家の視点とM&A・事業投資家のそれを対比した一覧が図表3-2だ。

用語の定義は一般的でないものもあるうえ、投資した時点と数年後に価値を創出した時点の2つの時間軸があるので正直ややこしい。順を追って、具体的数字を置きながら説明しよう。

まずPBRに相当するのは企業価値/総投資額、事業投資家が負債(借入)と株式(出資)の2つの形で資金調達して投資した総資本 (IC:Invested Capital) が数年後にのれん価値を生み出し、投資家に売却益というリターンをもたらす度合いだ。これをEVIC倍率=「企業価値
創出力」と呼んでおこう。1000億円で買収した会社が5年後に2000億円になれば、企業価値創出力は2倍だ。

PERにあたるのがEV/EBITDA (EBITDA倍率)、ここではEBITDAが100億円の会社をその10倍で買収、と想定する。ROEにあたるのがEBITDA/総投資額、EBITDAを投資家へのリターンと見なしたもので、よく使われている名称ROIC (Return on Invested Capital)とここでは定義しておく。足元100億円のEBITDAが買収後5年で250億円に増えると想定すると、ROICは10%から25%にアップする。すると、

EV/IC=EV/EBITDA*EBITDA/IC

という分解式ができる。

f:id:yamanatan:20220105003755p:plain

言葉にすると、

企業価値創出力=EBITDA倍率×ROIC

これがPBR分解式の企業価値バージョンである。

買収時点では、EV相当額を資金調達してM&Aの買収金額として支払うので、「EV = IC = 1000億円」だ。5年後にそれが2倍に増える構造は、
2000/1000=2000/250*250/1000=8倍+25%=2.0
と分解できる。5年でEBITDAを25倍に増やせれば、5年後のEBITDA倍率がその後の成長性鈍化を考慮して10倍から8倍に下がったとしても、企業価値を2倍にできる。やはりM&Aやファンド投資のリターンが倍率(=買収後の企業の成長性)と投資効率(買収後の企業の収益率改善効果)の掛け算で表現できる形になっている。

さらに総投資額は資金調達総額で、借入(D)と出資 (E) の合計なので、「IC = D + E」と表現すると、掛け算の最後の要素は、

ROIC=EBITDA/IC=EBITDA/D*D/(D+E)

と分解できる。EBITDA/Dの逆数は、借入がEBITDAの何倍あるかで、これはM&Aの資金調達の際に銀行がどこまで融資できるかを測る指標だ。

今回の例では1000億円の半分、足元EBITDA100億円の5倍を借りられたとすると、買収者自身は残り 500億円を出資すればよい。500億円の借入金は買収後の事業が生み出すEBITDAによって5年で完済できるので、500億円の出資金のリターンは、

EV/E=EV/EBITDA*EBITDA/D*D/E

2000/500=2000/250*250/500*500/500=8*0.5*1=4

と、出資額が5年で4倍になって返ってくるメカニズムが見えやすくなる。

式の後半部分は、総投資に占める有利子負債の割合、つまりレバレッジの掛け算だ。この分解式から、M&A・事業投資のリターンを極大化するには、足元EBITDAの何倍までを銀行から借りてレバレッジを利かせられるかが肝要なことがわかる。

また、企業価値を投資額の4倍にするとしても、それが3年で実現できるのか10年かかるのかによりM&A成功の評価は異なる。

その時間軸を考慮に入れた指標がIRR(内部収益率)だ。レバレッジを駆使し、投資回収スピードを上げるPEファンドのリターン極大化手法については、第8章で詳説する。

 

資本コストを「正確に」計算するには

欧米ビジネススクールファイナンスのクラスでみっちりと学ぶテーマの1つが、資本コストの算定だ。企業が必要資金を外部調達する際に資金提供者(融資してくれる銀行や出資に応じてくれる株式投資家)に支払うべきコストがいくらかを算定し、そうやって集めた資金を投資して生み出す収益が資本コストを上回るならばその投資は承認となり、下回るなら却下、という判断基準で、M&Aをはじめとするあらゆる投資の意思決定に用いられる。

そして、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く際の割引率には、資本コストとしてWACC (Weighted Average Cost of Capital、加重平均資本コスト)を用いるべし、と教わる。その公式は、言葉で表現すると以下のとおりだ。

  • WACC =借入金利(節税効果勘案後)と株主資本コストの加重平均
  • 株主資本コスト=無リスク金利+ B(ベータ) × 株式市場プレミアム

2番目がCapital Asset Pricing Model、略してCAPM (資本資産価格モデル)と呼ばれている有名な公式だ。企業価値算定や投資判断の場面で「ワック」「キャップエム」は日常用語として使われるので、この2つの意味はしっかり理解しておいたほうがよい。

 

PERが20倍だということは、益回り(r-g)が5%だということであり、それはr(株主資本コスト)が6%でgが1%なのか、r が5%でgはゼロなのか、はたまたリスクが高いのでr が高めの10%でその分gが5%と高いと考えるのか。いずれでも結論としての適正価格水準は
変わらない。その「物差し」さえ持っていれば、大きく判断を誤ることはないはずだ。

何もかもを「市場に聞くしかない」で済まされてしまっては困る、それでは企業価値算定実務で直面する問題の解決にならない、と思われる方も多くいるだろう。市場の声に従うだけでは、バブル価格の高値で企業買収し、その崩壊により大損することにつながってしまう。しかし、「倍率評価」というバリュエーションの物差しを持つということはそういった市場の過熱状態や過剰反応に流されず冷静な判断を下すために役立つはずだ。

会社の将来の命運がかかったM&Aの価格算定においても倍率「C/(r-g)」というざっくりした指標で値決めして構わない、という結論は以下の2つの点を除いて正しい。その2つとは、

  1. 過去から足元の収益状況、バランスシートの実態状況が正確に把握できている→Cの問題
  2. 自社が買収した後どのようにその会社・事業を経営してゆくつもりなのかの具体的な絵が描けている→gの問題

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  • いや、実を言えばそれだけではない。ペレグリーニは、その年の税金を支払うために必要以上の額をボーナスから天引きしてもらっていた。そのため、口座に振り込まれていた額は、実際のボーナスよりも少なかった。実のところポールソンは、2007年のペレグリーニの仕事に対し、およそ1億7500万ドルを支払っていたのだ。これでペレグリーニは、職の維持や職探しに神経を使う必要がなくなったばかりか、生活費の心配が一切なくなった。
  • 「ワオ」妻は静かにそう言うと、しばらくATMを見つめていた。やがて夫婦はその場を去り、手に手を組んで、近くのサン・バルテルミー島まで連れて行ってくれる貸し切りパートへと向かった。
  • 一方ポールソン自身もかなりの報酬を手にした。会社は、すべてのファンドの利益およそ150億ドルの20パーセントを取得できることになっていた。それにポールソン自身、クレジットファンドに多額の出資をしていた。その結果、2007年にポールソンが手にした額はおよそ40億ドルに達した。一年間に支払われた額としては金融史上最大である。

 

 

首都圏 2016-2021 地価上昇 アドレス TOP100

SUUMO新築マンション首都圏版 最新号:21/12/07号 (発売日2021年12月07日)より

行政区 1m2当たりの住宅地価(2021) 地価上昇率(2016対比)
東京港 2029000 +34.5%
さいたま市浦和区 352300 +32.3%
荒川区 505300 +31.0%
北区 527500 +29.7%
千葉県君津市 40200 +26.4%
豊島区 629300 +26.1%
文京区 993400 +25.9%
渋谷区 1306000 +23.9%
台東区 912700 +23.3%
新宿区 799600 +20.9%
中野区 595600 +19.7%
江東区 478600 +19.4%
足立区 314100 +18.8%
墨田区 436700 +18.6%