集中力は次の3つの要素から生まれると考えています。
- 速さ 作業のスピードを極限まで速くすること。
- 分量 とにかく圧倒的な作業量をこなすこと
- 没入感 周囲の雑音が入らないほど夢中になること
佐藤雅彦さんが、人間がある状況において、いきいきと熱中している幸せな状態のことを「ステュディオス(studious)」と表現しています。没入感とは、まさにこの「ステュディオス」な状態のことを指しています。
何でもいいから、夢中になってのめり込めるような楽しいこと ステュディオス状態になれる対象を持っている人は、自分の人生を充実させる方法を知っている人かもしれません。
勉強や仕事で集中力を発揮するには、この「自分と対象の距離をゼロにして没入する」ということが前提条件になります。
大切なのは、ルーティンやインフラなど、ありとあらゆる手を使って、「瞬間的に集中する習慣」を身につけることです。脳の中に回路ができてしまえば占めたもの、あとは、身体が勝手に動いてくれます。
これからの時代、大切なのは「物事を記憶すること」ではなく、記憶した知識をどのように使うかだと思うからです。
今は、勉強したいという気持ちがあるなら、大学へ行く必要などありません、そのくらい膨大な知識が、インターネット上にはあるのです。
日本人は気がついているように思えないのですが、今文明力において、アメリカとの差が大変に開いています。・・明治維新の時のヨーロッパと日本くらい、差がついてしまっているという印象です。・・日本では文系・理系という区分をします。これはナンセンスな話だと思いませんか。たった4年間の勉強だけで人間を二種類に分類し、それで一生を定義付けてしまうのです。勉強とは、自らを分類するためのものではないはずです。勉強とは、自分という存在を輝かせるものであり、人生における次のステージに登るためのものなのです。
ドーパミンが放出されるのは、「やさしすぎず、難しすぎない」課題や問題に取り組んでいる瞬間です。・・難易度の基準は一定ではなく、同じ人でもその時々の体調や状況によって常に変わります。脳に最適な不可をかけるには自分の体や脳がどんな状態にあるかを的確に把握し、それに合わせて難易度を調節する必要があるのです。
弱点を努力で克服しようとするとき、人は極めて高いモチベーションを発揮します。そして、だんだんできるようになるに連れて大きな嬉しさを感じるようになり、更にドーパミンも多く出て、脳の強化学習がより進んでいくのです。
自分の欠点や弱点、ミスを直視できるか、そしてその原因を自分自身で論理的に突き詰め修正できるかということなのです。
その後の人生を変えてしまう出来事を経験すること、これを一回性といいます。脳には、いつ、どこで訪れるかわからない一回生の体験を、大切に刻印し整理していく働きが備わっています。この機能こそが僕達の人生を豊かに作っていくのです。
トリニティ・カレッジの雰囲気から伝わってくる思想は、変人であることの自由です。・・何かの行動に対してドーパミンが大量に放出され、それによって、強化学習が成立する。このサイクルが暴走してしまい、人とは違う方向にどんどん尖ってしまう。これが変人の変人たる理由なのです。・・日本にはお世辞にも変人を許容する文化があるとは言いがたい。逆に他の人と一緒でなくてはいけないという無言の圧力があります。・・ピアプレッシャーといいます。
人間の本当の魅力は、その人の内面的な輝きによってもたらされるうものだと思っています。・・人生の大きな岐路に立たされたときになんとしても助言を受けたいと思われるような人。そんな人が、本当の人間的魅力を備えた人だと思います。その魅力を支えるのは・・知的な魅力ではないでしょうか。
プラトン
「オリンピック競技の優勝者には商品が与えられるのに、哲学者には商品が与えられないのはなぜか。」
「商品とは、その人の功績と比較して、より価値のあるものでないと意味が無い。しかし、知恵を得る異常に価値があるものなど、この世には存在しない。だから、知恵を得た人には、あげるべき賞品が無いのだ」
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