図解ポケット メタバースがよくわかる本

The Sandbox

NFT ゲームとして人気を集めるメタバースの中でも、一番著名な The Sandbox をご紹介します。

クリエイターが楽しめるゲームプラットフォーム

The Sandbox (サンドボックス)は、イーサリアムブロックチェーン技術を基盤としたユーザー主導のゲームプラットフォームです。 The Sandbox 内では LAND (仮想土地のNFT)を売買賃貸したり、オリジナルのキャラクターやアイテム、3Dゲームを作り、収益化することも徐々にできるようになっています。 The Sandbox では、ボクセルベースの NFT を作成できる VoxEdit や、プログラミングの知識がなくとも3Dゲームを作ることができるGame Maker を提供しています。 今後、 The Sandbox を通じて多くのクリエイターが誕生しそうです!

多くの大手企業が参入

The Sandbox は、 「ウォーキング・デッド (The Walking Dead)」、「スヌープ・ドッグ (Snoop Dogg)」、 「アディダス(Adidas)」など、多くのパートナーと提携しています。さらに、2022年3月、スクウェア・エニックスやエイベックスが、 The Sandbox で新たな取り組みを行うと発表しました。 これまでに4,000万ダウンロード、 月間アクティブユーザー数が最大 100万人を超えた実績もある The Sandbox には、2006年ごろにSecond Life が注目されていたように、 多くの企業が注目しています。今後、新たなビジネスが続々と生まれていくでしょう!

 

Decentraland

NFTゲームとして人気を集めるメタバースの中で、 The Sandbox とともに著名なDecentraland をご紹介します。

LAND で様々なビジネスを展開

Decentraland (ディセントラランド) も The Sandbox と同じく、イーサリアムブロックチェーン技術を基盤としたユーザー主導のゲームプラットフォームです。 DecentralandもLAND を活用して経済活動ができるメタバースとなっています。 LAND にアート作品の並ぶギャラリーを建てたり、ゲーム施設を提供したりして入場料を得るなど、LAND 上でビジネスを展開して継続的な利益を得る人が増えていきそうです。

ちなみに、 Decentraland は DAO が運営しています。

有名企業も続々と進出

The Sandbox と同じく、 Decentraland にも有名企業が続々と進出しています。 例えば、世界的な金融グループのJPモルガンは、ラウンジ(仮想店舗) 「Onyx by J.P.Morgan」 を開設しています。(原宿にインスパイアされたエリア 「Metajuku」 にあります。) このラウンジの開設は、JPモルガンメタバース調査の一環として行われているようです。

また、サムスン電子アメリカもバーチャルストア 「Samsung837X」をオープンしています。 「Samsung 837X」内で展開されているクエストをクリアし、 NFTのバッジを獲得すると、限定のNFT ウェアラブルコレクションやライブダンスパーティー参加権の抽選に参加できるなどの特典がありました。

さらに、カリブ海の島国バルバドスは、Decentralandに大使館を設立することを計画しているようです。

 

Cryptovoxels

VR でも楽しめるメタバース

Cryptovoxels (クリプトボクセルズ) でも、 The SandboxやDecentraland と同じく、 仮想土地を購入することができます。その仮想土地では、建物や仮想のお店、 音楽スタジオなどを建築したり、保有している NFT を展示したりできます。

他ユーザーとチャットでコミュニケーションを図ったり、ユーザ一同士でコミュニティを形成したりすることもできます。

また、Cryptovoxels はVRにも対応しています。 VRに対応していない他のブロックチェーンベースのメタバースと比べて、高い没入感を得ることができますね。

ゲーム内の独自通貨はなし

The Sandbox は SAND、 Decentraland は MANA というゲーム内の独自通貨を持ちますが、 Cryptovoxels は ETH(イーサリアム上で使われる通貨) のみを利用しています。

SAND や MANAはそれぞれのゲームの注目度が高まることで大きく価格を上げました。 初期ユーザーには、金銭的リターンも多かったでしょう。

一方、ETHは様々な用途に使われているため、Cryptovoxels の動きに価格が強く左右されることはないと思われます。SANDやMANAよりも安定感はあると言えるでしょう。

 

Upland

地球のメタバース

Upland (アップランド)は、The Sandbox や Decentraland、Cryptovoxels と比べるとまだ知名度は高くありませんが、着実に機能を拡張しているメタバース系のゲームです。 地球のメタバースとなっており、馴染みのある世界地図がゲームの舞台となっています。現在はアメリカの一部地域のみで土地が買えるようになっていますが、今後はさらに様々な地域の土地を購入して、ビジネスを展開できるようになることが期待されています。 また、 購入した土地に建物を建てることもできます。 Upland の日本人向けDiscord(主にゲーム用のコミュニケーションツール) は日々盛況で、 日本人街作りに励んでいる人もいます。

数百円で仮想土地が買える

The Sandboxなど著名なメタバース系ゲームの仮想土地は、日本円で数十万円以上することも多く、多くの人はなかなか手を出しづらいです。しかし、 Uplandの土地は安いと数百円で買えるので、あなたが 「メタバースで仮想土地を買ってみたい」と思う場合、Upland から始めるといいかもしれません。 Upland で土地を持っていれば、日々ゲーム内通貨 UPX が付与されます。 ある程度の収入を得るには、 Upland上で多くの土地を持つか、高価な土地を持つ必要がありますが、ちょっとした不労所得にはなりますね!

 

火星が舞台のメタバース

火星が舞台のメタバースをいくつかご紹介します。

1 火星が舞台の様々なメタバース
火星の移住は人類の大きな夢の1つですが、 メタバースであれば火星への移住を疑似体験できそうです!

火星が舞台のメタバースの1つである Mars4は、 NASA の火星データをもとにした空間となっており、地形が詳細な3Dマップで表示されています。 Mars4では Mars Land NFT と呼ばれる土地を所有すると、それだけで収入が得られるようになります。さらに、土地を貸したりゲームをしたりしても報酬を得られるようです。また、Everdome (工バードーム)という火星が舞台のメタバースもあります。 Everdome は 「Unreal Engine (アンリアルエンジン)」と呼ばれる 3D ゲームエンジンを用いて非常にリアルな質感で描かれており、特にリアリティの高い 「超リアル メタバース」 として期待されています。

2 毎日暗号資産がもらえるアプリ

他には、The Mars もあります。このプロジェクトでは、 MRSTというゲーム内通貨(暗号資産)をマイニングできるアプリ (無料)がリリースされています。 このMRSTは2022年中に上場する予定になっているため、その前に無料で MRST を獲得しておくと、後々リターンがあるかもしれません!(上場予定は変わる可能性もあります)

 

VRChat

バーチャル SNS、ソーシャルVRとして世界的に人気なVRChat をご紹介します。

ザ・メタバースといった感じの空間

「VRChat」はバーチャル SNSやソーシャルVRと呼ばれるメタバースの代表格となります。2017年にリリースされましたが、メタバースという言葉がよく知られるにつれて、利用者を大きく増しています! VRChat は、 VR空間内にアバターでログインし、多人数でコミュニケーションできるサービスです。 VRChat 内には、ユーザーが手がけた 「ワールド」 と呼ばれるVR空間があります。ユーザーは多種多様なワールドから好きなワールドを選び、他のユーザーとの交流を楽しめるのです! 周囲にいるプレイヤーとは、ボイスチャットだけでなく、自分の身体の動きをアバターに反映させたボディーランゲージによるコミュニケーションも可能です。 ボディーランゲージができると、 実際に会っている感覚が強まりますね! 多くの人は、 VR を利用しない The Sandbox や Upland よりも、VRChat の方がメタバースと言われてしっくりくるでしょう。

2 様々なイベントを開催

VRChat はただ会話を楽しめる空間ではなく、 ビジネス用途でも利用されています。 後述の「企業のメタバース活用事例」でご紹介する 「バーチャルマーケット (VIRTUAL MARKET、Vケット)」という世界最大の VR イベントは、特に注目を集めています!

 

cluster

日本発のバーチャルSNS、ソーシャルVRとして人気なcluster をご紹介します。

1 cluster とは?
「cluster (クラスター)」は、スマートフォンやPC、VR機器など様々な環境からバーチャル空間に集って遊べる、バーチャルSNS、 ソーシャル VR です。 基本的にはVRChat と同じように楽しめます。

VR空間内にアバターでログインし、公開されているワールドを散策したり、イベントや音楽ライブに参加したりできます。

もちろん、VRヘッドセットで入場すると、より高い臨場感を味わえるのですが、スマホアプリで手軽に楽しめるのも cluster の特徴です!

2 仮想の街の散策から有料コンサートの開催まで

cluster も個人及び企業に様々な用途で活用されています。例えば、「バーチャル渋谷」や「バーチャル丸の内」など、実際の街を仮想空間で再現しており、イベントや疑似観光を楽しむこともできます!

さらに、イベントは参加するだけでなく、 主催することもできます! 無料イベントは誰でも開催でき、 URL を知っているユーザーのみが入室できる限定公開イベントも実施できます。 新型コロナウイルスの影響や、多くの人が一箇所に集う各種コストを考えると、今後も多くのイベントが開催されそうですね。

また、チケットの販売やバーチャルギフトなどによって、 clusterを活用してお金を稼ぐシステムも用意されています。 駆け出しのミュージシャンが、ライブハウスを借りる代わりに cluster 内でライブをするのも良いかもしれませんね。

 

Web2.0メタバースとWeb3のメタバース

現在メタバースと呼ばれるサービスには、Web2.0メタバースとWeb3のメタバースがあります。 本チャプターでご紹介したメタバースのうち、 Web2.0メタバースはVRChat と cluster で Web3のメタバースはそれ以外のものになります。 Web2.0メタバースとWeb3のメタバースの違いは、ブロックチェーンを主に活用しているかどうかです。どちらの方が優れているというわけではありません。

VRChat や cluster などソーシャルVR と呼ばれるメタバースは、VRヘッドセットを使って没入感高く仮想空間を楽しむことに長けています。 そのため、メタバースの住人と高度なコミュニケーションをとりつつ楽しく暮らしたいのであれば、現状では Web2.0メタバースの方が向いています。

一方、メタバースの土地 (NFT) を購入し、 その土地を活用してイベントを開催したりビジネスをしたりして収益を上げたい場合や、NFTのアイテムを作成して販売したい場合などはWeb3 のメタバースの方が向いています。 (ただし、2022年現在はまだまだ機能が限られています。)

このように、 Web2.0メタバースとWeb3のメタバースにはそれぞれ違った楽しみや特徴がありますので、可能であれば色々と試してみて、自分が向いているもの、 楽しめるもの、あるいは稼げるものを探してみると良いでしょう!

 

NVIDIAのOmniverse

5Gの電波伝搬シミュレーションを高度化するために、メタバースに都市のデジタルツインを構築している事例をご紹介します。

1 メタバースが5Gを加速

2022 年現在、5G に対応したスマホを持つ人が増えてきました。5G の活用用途はまだまだ限定的ですが、 今後あらゆるものがインターネットにつながっていくにつれて、5Gやその次の6Gが担う役割もより大きくなると考えられます。

しかし一般的に、電波を伝搬するシミュレーションを行うのは難しいです。ミリ波帯など今まで扱ってこなかった周波数帯を使う5G ともなればなおさらです。

天候、植物、動くデバイス、 人間など、多様な要素を検討項目に入れる必要がある他、多くの事象を単純化する必要があるため現実と同様の結果を得るのは困難でした。 しかし、 メタバースがこの問題の解決に役立っているのです!

2 エリクソンが都市のデジタルツインを構築

通信機器メーカーのエリクソンは、メタバース上に都市のデジタルツインを構築しました。 エリクソンが利用したのは、 半導体メーカー NVIDIAの 「Omniverse (オムニバース)」 です。 これは、仮想空間内で共同作業を行うためのプラットフォームです。 今回はOmniverse でシカゴの街並みを一部再現し、5Gの電波伝搬をシミュレーションしたのでした。Omniverse上では、複数のパートナーと統合的にシミュレーションを行い、その結果を立体的にわかりやすく可視化することができます。そのため、 開発サイクルの短縮、 ネットワーク品質の向上が期待できます!

 

メタバースにおけるアメックスのサービス

大手カード会社のアメックスは、 メタバースにおいても現実世界と同じようなサービスを提供しようとしているようです。

現実世界の決済サービスをデジタル世界でも提供

世界的なカード会社のアメックス(アメリカン・エキスプレス)は、現実世界のサービスをデジタル世界でも提供しようとしているようです。 2022年3月現在、正式な発表がなされているわけではありませんが、商標登録出願で明らかになっています。

具体的には、 メタバースでカード決済、ATMサービス、 銀行サービス、詐欺検出機能を提供しようとしているようです。

2 アメックスの強みを活かしたビジネス展開

アメックスはただのカード会社ではなく、 旅行、 グルメ、 芸術など、様々なエンターテイメントサービスを提供・紹介している会社でもあります。アメックスのカードの年会費はやや高めなため、今までは興味がなかった人もいるかもしれませんが、 多種多様な優待を会員に提供しているため、 優待を有効活用すれば年会費はむしろ安く感じるでしょう!

そんなアメックスは、メタバースにおける旅行、交通、旅行代理店サービス (予約、ツアーなど)や、メタバースにおけるエンターテインメントおよびコンシェルジュサービスの提供も検討していあるようです。さらに、管理、取り引き、 決済処理などの暗号資産(仮想通貨) 関連サービスも視野に入っているとのこと。