ビームスはメタバース時代の「百貨店」になる? ビームスクリエイティブ代表・池内光氏に聞く

 

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続くバーチャルマーケット6(2021年8月開催)では、1階はビームス原宿店の店舗イメージを踏襲しつつ、2階を企画スペースにしました。牛乳石鹸と組んで同時期にリアルで実施していた企画を再現した「バーチャル銭湯」を提供したのですが、社内では最初、「これ、誰が来るの?」という議論もありましたね(笑)。ところが、実際にオープンしたら外国人の参加者も含め、「日本文化としての銭湯」を楽しんでもらえたようで好評でした。他には「PUI PUIモルカー」の3Dアバターも販売。正直、これも私たちの中では半信半疑だったのですが、HIKKYに意見を聞くと「これは売れるでしょう」という人が多く、実際に大人気でかなり売れました。

 

もう一つ、バーチャルマーケットで経験を積む中で気づいたのは、メタバースでものを売る感覚はECサイトよりも現実のショップに近い、ということです。ECでは一覧性が重視されますが、メタバースは多くの人が往来する場ですし、アバター同士でのコミュニケーションも発生します。そのような場でECのように商品の一覧性を高めても、うまく機能しません。

これはバーチャルマーケット5のときから継続しているのですが、ビームスのバーチャル店舗ではボットやAIアバターではなく、あえてリアルのスタッフがアバターとして店舗に立ち、接客をしています。外国からの参加者などは「本当にそんなことやっているの? 本当にクレイジーだな」なんて言われましたが(笑)。

実はこれがかなり好評で、バーチャル店舗に来てくれた参加者とスタッフが仲良くなり、「本人に会いたい」とリアルの店舗に来てくれたこともあります。私たちが現実世界で培ってきたコミュニケーションや接客のノウハウが、バーチャル世界でも通用する手応えを感じています。

 

理想を言えば、HIKKYが「パラリアル」(パラレルワールド:並行世界と、リアル:現実世界を組み合わせた造語)と呼んでいるような世界が望ましい。メタバースの中で商品紹介をし、そこでアバターやデジタルファッションを売り買いできつつ、リアル商品としても話題になって現実世界で売れるという構造です。とはいえ、メタバースの中だけで売れる、いわゆるデジタルコンテンツでもヒット作品を生み出したいと思っているので、そちらも並行してやっていきます。

 

――バーチャルマーケット以外では、例えば「The Sandbox」などではメタバース内の“土地”を販売しているケースもありますが、出店戦略としてバーチャル空間の“一等地”に興味はありますか。

池内:
もちろん興味はあるのですが、正直高いですよね(笑)。バーチャル世界でデジタルコンテンツを売って稼ぐことに特化するのであれば、当然ユーザーが多くて立地がよく、高い収益性を見込める“立地”が必要になります。

ただ、現状、私たちは売り上げの側面だけではなく、バーチャルとリアルの接点を作る、その可能性を広げるトライアルをしているところ。すでに高い値段がついていて一等地はもう他のブランドに押さえられているとなると、参入は難しいでしょうね。

 

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サイバーエージェント(東京都渋谷区)は7月12日、メタバース空間における建築物や空間デザインの研究・企画・制作を目的にした専門組織「Metaverse Architecture Lab(メタバースアーキテクチャラボ)」を設立したと発表した。顧問には、建築家の隈研吾さん(東京大学特別教授・名誉教授)が就任した。

同組織では、簡易テンプレートで構築するバーチャル店舗、実在の街並み・実店舗を再現した空間・建築物、建築基準法などの法規制にとらわれないオリジナルのメタバース空間デザインや、ユーザー体験・ブランディング価値を高めるバーチャル建築物の在り方について隈さんとともに研究。アパレルなどのブランド企業や小売企業の販促およびブランディング活動において、新しい価値を生み出すバーチャル建築物を制作する。

商業空間だけでなく、複合施設や仮想都市などの開発、メタバース空間だからこそ実現可能な建築のコンセプト設計、コンテンツ企画やユーザー体験の設計など、バーチャル建築物のアーキテクチャ概念の検証から実証実験、プロトタイプの作成まで取り組んでいく。組織設立に伴い、同社はバーチャル建築物ならではの価値創造に取り組む空間デザイナーやCGアーティストなど、クリエイター・デザイナー職の採用を強化。さらなる体制強化を図る。

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また、通信の完全5G化を前に、スクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)は、仮想の社会・経済圏を体験できるゲーム「ザ・サンドボックス」に出資し、自社ゲームのアイテムやキャラクターの利用提供を開始。「ザ・サンドボックス」にはソフトバンクグループ(9984)も出資しており、仮想空間上の土地の高額取引が話題となりました。

これらの各会員は、仮想空間での交流がすで実現しており、 このような仮想空間が増えると、そこに広告を出して自社の製品やサービスを宣伝しようとする会社も出てくるでしょう。広告大手の電通グループ(4324)は、仮想空間の広告枠の販売に乗り出しています。テレビや新聞、検索エンジンSNSYou Tubeといった従来のチャネルに仮想空間が広告媒体として加わり、新たなビジネスチャンスが広がりつつあるのです。

 

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住宅販売の定番ツールである住宅展示場は、建築や運営に多額な費用がかかり、特に中小規模の工務店は出展が難しいものでした。加えて、近年ではコロナ禍の影響により、住宅展示場の来場者は減少しており、新たな集客方法として、高コストの住宅展示場に代わるバーチャル住宅展示場が注目されています。

顧客にとって一生に一度の住宅購入は、充分に吟味、検討を重ねたいもの。その点において、バーチャルの住宅展示場では、従来の住宅展示場では難しい、ニーズに合わせた間取りの変更が可能であり、また複数の住宅を見比べるといったことも、家に居ながらにして叶います。さらに今後は、外壁や内装などの色合いを納得がいくまで試せるカラーシミュレーションや、素材やオプションをアレンジした際の費用を確認する価格シミュレーション機能なども随時実装していきます。

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「様々な企業が研究開発を行なっていますが、実用化にはまだ課題がたくさんあります。ITベンダーが研究開発を続けられるか。体力勝負な面もあるでしょう。また実用化されると、暗号がすぐに破られるという話がありますが、今すぐ破られるわけではありません」

【POINT3】仕込むなら今!?2030年を見越した注目のキーワード
ハイパーロケーション
GPS技術よりも高精度な位置情報の取得技術のこと。Appleの「Airタグ」などがその一種である。公共交通機関の運行の最適化や、行動履歴に対するマーケティングなど、人の位置情報に価値が見いだされるようになったが、スマートシティーの実現などに向け、より精緻な位置情報が必要になる。第三者に悪用させないためのプライバシー管理も重要で、これらを総合したソリューションに投資の機運がある。

PETs(Privacy Enhancing Technologies)
プライバシー保護を強化する技術の総称で、通信経路を隠したり、ネット広告でユーザーの識別に使う「Cookie」を代替する技術など。利用者のプライバシー意識の高まりと、デジタル広告技術での利用者の特定ニーズという、相反する関係をうまくコントロールできるソリューションが求められている。様々な課題解決法があるが、次のスタンダードになりそうな企業が登場すれば投資が集まると見られる。

エンペデットファイナンス
日本語では「埋込型金融」や「組込型金融」という。非金融業者が、自社で手がけるサービス内に、金融機関のサービスをパーツ化して埋め込んで利用者に提供する仕組みのこと。例えば、ネット通販サイトの中に、後払いサービスを行なう金融業者のサービスを埋め込むなど。すべての企業が金融サービスを提供できるようになり、このサービスで収益を上げられるビジネスであれば、投資する価値がありそうだ。

コンバーセッションインテリジェンス
AIを活用して行なう次世代の会話技術のこと。電話やオンライン会議ツールなどを経由して顧客が話した内容を瞬時にテキスト化し、企業のデータベースを検索後、適切な接客方法を提案するなどの機能を備えるものである。自然言語処理を行なって文字起こしをするだけでなく、会話を通じてビジネスに役立つソリューションとして提供され始めている。アフターコロナでのリモート接客需要で注目を集めている。