日本中枢の崩壊

 各省庁に入賞したキャリアの新人は、単線を走る蒸気機関車に乗り込んだようなものだ。この機関車にずっと乗っていれば、課長職という駅までは必ず到達する。その後は、駅に止まる度に何人かが降ろされ、終着駅までたどり着く乗客はたった一人だ。

途中の駅で降ろされた人は、その後、支線に乗り換えるよう支持され、自分の意志とは別に行き先を決められる。・・・民間の人々は新幹線や電車に乗って旅をしている。今さら、自分が彼らに追いつけるとも思えず、再び旧式の蒸気機関車に乗り換える道を選ぶ。・・乗った機関車が悪い。

NTTの株式売却益収入などを原資にして、3000億円近くに資金を、経産省ベンチャー支援と称してあまたの企業に出資したことがある。結果がどうなったかー。帰ってきたのはわずかに5%。なんと2千数百億円がどぶに捨てられたも同然、大損失を出したのである。運営したのは天下り法人。それに対して誰一人責任をとっていない。

「日本人は中国人には勝てない。なぜなら、日本では管理職や経営者までが汗を流すこと、会社に拘束されることが美徳だと思っているからだ」

いかに頭をつかうか。いかに人と違うやり方を考えるか。いかに効率的に答えを見つけるか。いかにスピーディに決断し行動するか。それが経営者の競争だ。

「日本人は何をするにもみんなで寄り集まって夜まで議論して結局決まらない。中国の経営者は即断即決。いかに効率的に儲けるかを考えている。これでは日本は勝負にならない。・・ただ働くことが尊いという考えからいつ抜け出せるかが日本復活の鍵だ。」

日本中枢の崩壊 (講談社文庫)

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