5万円以上10万円以下腕時計8選

はじめに

先日書いた5万円以下~の記事をご愛読いただき、ありがとうございます。スマホの普及で腕時計もかつてのような必需品!みたいな位置づけではなくなって久しいですが、『客先でスマホを確認するのは失礼』などの言説も根強く、一定の需要はあるようですね。そもそも男性の社会人ファッションは、どうあがいても地味になりがちなので、ワンポイントとして腕時計使うべきだと思っています。

さて、前回の記事では新卒フレッシャー向けに5万円以下でまとめましたが、記事を読んだ知り合いから、「(俺はお前のような時計ヲタじゃないから、時計に○○○万円も払えないし、ROLEXみたいなブランド時計を見せびらかしたいとも思っていないが)年齢相応にそれなりの時計をつけたいと思っているので、記事を書け。参考にしてやる」と言われたので、「こいつはジャイアンかな?」と思いつつ、5万円以上10万円以下のレンジでまとめてみることにしました(厳密には11万円以下ですが)。

  • 今回もできるだけメタルバンドを選んでいます。革ベルトは格好いいのですが、汗や水に弱いのが難点です。バンド交換すればいいじゃん、と思ったあなたはすでに時計沼の縁に立っています。一般人はそんな面倒くさいことをしません。

yamanatan.hatenablog.com

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時計の分類

前回も書きましたが、時計は駆動方式に応じてクオーツ、機械式(手巻き、自動巻き)に分かれています。時計ヲタや世界の富豪が好む○○○万円の時計はすべて機械式ですが、時計の精度ではクオーツの進化系である電波ソーラーや、さらにその上位進化系であるGPS電波ソーラーの方が上です(時刻を自動修正するので)。クオーツと機械式のどちらを選ぶかは、実用性やコスパを重視するのか、時計の機構を楽しむ「遊び」も欲しいのか、で決めればいいと思います。

機械式(自動巻き)部門

実用性では一歩クオーツ軍に劣る機械式時計軍ですが、短所を補って余りある「時計の機構を楽しめる」魅力やロマンが最大の長所です。10万円を超えると一気に魑魅魍魎の世界になるので、よほどのことがないかぎり、この当たりの価格帯で打ち止めにするのがコスパ的には一番いいように思います。

 SEIKO

SEIKOのフラッグシップといえば、時計に詳しくないヒトでも聞いたことがあるグランドセイコー(GS)ですが、クオーツラインで30万円~、機械式では50万円~と非常に高価格帯で、時計ヲタや富裕層でないと手が出しにくい価格帯です。そこで検討すべきラインがPRESAGE(プレザージュ)です(※サージュではなくザージュです)。

前回紹介したSARB033の上位互換としてオススメなのが、SARX035/033です。キャリバーはSARB033と同じ定評のある6R15で、ちょっとあれ?と思う人がいるかもしれませんが、これは廉価ラインであるはずのSARB033が6R15を積んでいるのがおかしいだけで(笑)、機械としては申し分ない性能です。

スペック上の違いは、SARB033にあった余計な「23JEWELS」という文字が消え、サイズがやや大きく、ややズッシリ(136gと158g)となったくらいですが、ブレスのつけ心地やツヤ・磨きなど、お値段相応の満足感を得られる一本だと思います。

 

いきなりの予算ややオーバーですが、PRESAGEで一番のオススメはSARX055です。純チタンのため、ステンレスケースに比べて圧倒的に軽く(106g)、和紙をイメージした独特の質感を楽しめる文字盤(海外ではSnowflake:雪片・雪の結晶という呼称)で注目されているモデルです。キャリバーはやはり6R15で、機械のグレードを上げたければGSに行かざるを得ませんが、価格と質感のバランスは抜群です。知り合いのジャイアンはこの記事の原稿を読んで、これを購入することに決めたみたいです。

 ORIENT

かつては独立ブランド、現在はセイコーエプソンの子会社であるオリエント、技術力に定評があるブランドで、フラッグシップモデルがオリエントスターです。価格帯は5万円~10万円(上級機は~30万円)で、この企画の価格帯はまさに主戦場、必ず押さえておきたいブランドです。

オリエントスターの中で個人的に好きなのは、表から機械部が見える表スケのセミケルトンです。機械時計の醍醐味を充分に味わうことができます。

 

針が逆行するレトログラードモデルは変わり種

 こちらはセミケルトンモデルのフラッグシップモデル、表スケながら落ち着いたデザインです。少しの予算オーバーはご愛嬌。

 カラバリはステンレスベルトタイプを含めて4色、ピンクゴールドは色味が綺麗なので、ぜひ現物を見てみてください。もう少しお金を積むとムーンフェイズに手が届くので、試着に行く方はついでにどうぞ。この価格で自社ムーブ・ムーンフェイズ載せは国内メーカーでないと、というかオリエントスター以外ではありえません。

海外ブランド

この価格帯であれば、海外ブランドの背中も見えてきます。ただし、価格帯的に、各メーカーが独自に開発している機械(自社ムーブ)を載せているものはほとんどなく、ETAやSellita(セリタ)といった汎用ムーブメント製造メーカーから供給を受けた機械を載せ、各社が独自に(主に外装に)手を加えたものとなっていることから、時計ヲタにはあまり評価されていません(ETAのムーブをポンと載せただけなのでエタポンなどと揶揄されることもあります)。

上記の事情から、廉価モデルでも自社ムーブを載せている国産メーカーの方が相対的に人気となります(とくに~30万円くらい)。ただ、この記事を読んでいる人の多くは時計ヲタではないので、機械に強いこだわりもないでしょうし、そもそも、汎用ムーブは悪いわけではない(むしろ価格対比では優秀)ので、わざわざ候補から外す必要はないと思います。ということで、海外ブランドも2本ほどご紹介しておきましょう。

まずは1861年創業、ドイツの時計メーカーJunghans(ユンハンス)から、バウハウスの理念である合理主義的・機能主義を追求したマルチクリエイター、マックス・ビルの名を冠したマックスビルラインの自動巻。バウハウスの特徴であるミニマルデザインが存分に発揮された文字盤に惹かれる人も多いのでは。 実は初めて電波時計・電波腕時計開発したのはユンハンスなんだぜ、って小ネタもあります。

 つぎに1853年創業、スイスの時計メーカーTISSOT(ティソ)から、トラディション オートマティック オープンハートです。サイズが40mmでやや日本人には大振りですが、123gなのでそれほど重くありません。麦柄のギョシェ彫りで全体的に落ち着いたデザインですが、表スケがワンポイントで地味になりすぎず、やはりデザインでは海外勢に一日の長があるな、と思わせられます。

最大の特徴は圧巻のパワーリザーブ80時間!!!自動巻きは当然使わないと止まるわけですが、使っているときしか動かないのでは使いものにならないので、ある程度動力を内部に蓄えます。これがパワーリザーブで、高級機でも50時間程度が一般的と言われています。そんな中、10万円を切る価格で80時間リザーブという凄まじさよ・・・。ブレスのつけ心地もいいです。

 

クオーツ部門

ロマンは大事だけど、やはり実用性!という方は電波ソーラー一択です。国内御三家(SEIKO, CASIO, CITIZEN)が現在もっとも力を入れている(と思われる)製品群なので、競争による高い質の恩恵を充分に受けることができます。

SEIKO

5万円以下ではブライツのSAGZ083/079を紹介しましたが、この上位互換というとなかなか難しいのがSEIKOのラインナップ。SEIKOには電波ソーラーブランドとしてブライツと上位のアストロンGPS電波ソーラー)があるのですが、ゴテゴテしたクロノグラフが中心で、あっさりとしたモデルが見つかりません。ASTRONに15万~20万円くらいでシンプルな三針モデルを出したら一定の需要があると思うのですが・・・。

ブライツ、エキスパートクロノのSAGA197は、クロノグラフながら落ち着いたデザインで、アストロンほどゴテゴテしていないので、比較的付けやすいと思います。 

 CASIO

機械式で5万~10万がオリエントスターの主戦場なら、電波ソーラーで同価格帯を主戦場としているのは電波ソーラーの代名詞にもなったCASIOのオシアナスのクラシックラインです。かつてのオシアナスは10万円~15万円で、最上級のマンタ(20万~?)と差別化していたように記憶していますが、GPS電波ソーラーの登場で位置づけがよく分からなくなり、全体的に価格が高騰していき、デザインが派手になっていきました。そんななか、古き良きオシアナスを維持しているのがクラシックラインです。

デザインは同じですが、2018年に新発売されたT2600-1A2JFが一番落ち着いたカラーリングで、

 より華やかなものが欲しければ、T2600、T2600Gの順に派手になっていきます笑。オシアナスと言えばオシアナスブルーなので、オシアナスバランス(!?)的にはT2600-1AJFが最適だと思います。

 

 CITIZEN

定番のATTESA、5万円以下では非常にコスパが高いとベタ褒めでしたが、SEIKOと同じく上位互換を探すとなるとなかなか見つかりません。電波ソーラーの上位互換は電波ソーラー(ワールドタイム)またはGPS電波ソーラー、と機能的な上位互換にとどまっており、スペックを求めない一般人にはあまり刺さりません。

この価格帯でATTESAとなるとAT80ファミリー(電波ソーラー(ワールドタイム))になるでしょうか。価格やスペックはオシアナスとほぼ横並びなので、質実剛健なATTESAかエレガントなオシアナスか、という選択になるように思います。10万円~だとザ・シチズンの電波ソーラーラインがあるのですけど・・・。

 

 

オシアナスにはあまり落ち着いたデザインを求める気になりませんが笑、ATTESAとSEIKOのブライツアストロンには、もう少し落ち着いたデザインの電波ソーラーの高級モデルがあってもいいのでは、という感想になりました。