Google式10Xリモート仕事術――あなたはまだホントのGoogleを知らない

  • 機械学習は多数の事例を収集し、 その事例を説明するパターンを見つけ出します。 そして、そのパターンを使って新しい事例について予測するのです。
  • メール管理、 文書の書式設定、 デザインの提案、 グラフの作成······。Google では、仕事の生産性を劇的に下げる雑務時間を「オーバーヘッド」と呼んでいます。 オーバーヘッドはあちこちで発生しています。
  • マッキンゼーの調査によれば、平均的なビジネスパーソンが、最も重要な業務に使える時間は、2016年時点で46%から39%に減少しています。
  • この状況を改善するのが、 機械学習です。
  • すでに紹介したように、スライド、カレンダーをはじめ、 Googleは無料のアプリ群にも、この機械学習機能を惜しみなく追加しています。前章で音声入力について、 「単語だけでなく文脈まで理解している」と触れましたが、 2017年にGmail に実装された 「スマートリプライ」機能も象徴的な進化でした。
  • これは日常のメールを機械が学習し、 受信メールへの返信候補を3つ提示してくれる機能です。 相手に合わせて独自に文章を考えるクリエイティブな部分だけを人が書き、 他のルーティンは機械が埋める。 そんな機能もあるのです(もちろん誰かがメールを盗み読みしているわけではありませんのでご安心を)。
  • AIによる経済効果は、今後10年間で13兆ドルにのぼると予想されています。 マッキンゼーの調査によると、このテクノロジーを完全に取り込めた企業のキャッシュフローはその時点までに2倍となり、それができなかった企業は20%減少する可能性があるといわれています。
  • まずは Google のアプリ群に標準装備された機械学習を使って、徐々に慣れていくのはいかがでしょうか。

 

 Google で成功するマネジャー10の行動

  • 実は Google は、2002年に「すべてのマネジャーを廃止して、 管理職の「いない組織にする」というユニークな実験を行っています。
  • 当時のGoogle では 「テクノロジーの会社である Google にとって、エンジニアがのびのびと仕事ができる環境が一番重要。 だからマネジャーなんて「必要悪でしかない」と考えられていました。
  • そこで、この仮説を証明しようと実際にやってみたのです。
  • しかし、実験は 「失敗」。 さらに2008年に調査チームが 「マネジャーは重要な存在ではない」ことを証明しようと試みますが、 これは正反対であることが判明。 つまり、マネジャーは極めて重要な存在だとわかったのです。
  • 2009年には、コードネーム 「Project Oxygen」という調査プロジェクトが実施されました。 つまり、Google にとってマネジャーはOxygen (酸素)であるという意思表示。 ついに「マネジャーは重要か」 から 「すべてのGoogle 社員が素晴らしいマネジャーに恵まれたらどうなるか?」にテーマが移り、Google における優れたマネジャーの条件とは何かを正確に突き止める調査がスタートしたのです。
  • Project Oxygen では、 Google らしく大量のデータが解析されました。その結果、 グーグラーをして 「自分たちが一番驚いた」 と言わしめるほど予想に反した上司像、最も優れたマネジャーに共通に見られる行動が明らかになったのです。
  • 次の図表5-1 は、 数々の研究の成果から導き出された Google 式 「優れたマネジャーの条件」です。

 

Google マネージャーの行動規範

  1. 良いコーチである
  2. チームに任せ、細かく管理しない
  3. チームの仕事面の成果だけでなく健康を含めた充足に配慮しインクルーシブ(包括的)なチーム環境を作る
  4. 生産性が高く結果を重視する
  5. 効果的なコミュニケーションをする - 人の話をよく聞き、情報を共有する
  6. キャリア開発をサポートし、パフォーマンスについて話し合う
  7. 明確なビジョンや戦略を持ち、チームと共有する
  8. チームにアドバイスできる専門知識がある
  9. 部門の枠を越えてコラボレーションを行う
  10. 決断力がある

 

  • 世界最先端を走る Google だから、さぞ異次元の結果が出ると思いきや、意外とあたりまえのことを言っている・・・・・・。 そんな感想を持たれたかもしれません。
  • この10の行動規範は、重視したい順に並んでおり、「ビジョンや戦略」 より前に、部下の力を引き出す 「関係性」や 「対話の必要性」 が説かれています。
  • 自分はどこが足りないんだろう? 他のうまくいっていないチームのマネジャーはどうだろう? などとマネジャー同士が話し合うヒントに使うと効果的です。
  • この調査が実施されるまで、 Google の方針は、優秀な技術者をできるだけ自由にして好きなことをさせ、何か問題が起きたときは技術的に優れているマネジャーが指導することになっていました。
  • しかし、 1万人以上の管理職を対象に、100以上の変数を設定してデータ分析した結果、最も重視していた 「技術力」の優先順位は最も低かったのです。
  • そこで、 Google はすぐに方針を撤回。 左記の 「Google マネージャーの行動規範」が現在でもマネジメント開発プログラムの基本方針に据えられています。
  • その成果は上々! Google は内部で優れたマネジャーを育成することに成功したのです。
  • こうした Googleの知見を参考に、改めて自分のマネジメントを確認してみてはどうでしょうか。
  • そして、これに沿ったサポートをリモートオンリーで部下に実施できれば、ただのリモート強者だけでなく、 リモートマネジメント強者になれます。
  • 本章では、全員の力を引き出し、チームの成果を飛躍的に伸ばすためにできることを「やる気管理」→「安全管理」→ 「タスク管理」 という3つの視点から見ていきましょう。

 

「13の秘密の質問」でGoogle 式優れた上司になる方法

  • 多くの上司は日々、部下の生産性を高めるために腐心しています。
  • どうしたら、やる気を引き出せるか。
  • どうしたら、 自分から積極的にどんどん動いてくれるか。
  • どうしたら、 効率よく仕事を進めてくれるか。
  • それがわかれば苦労はないのですが、 すぐにできるとてもカンタンな方法があります。
  • Google の研究成果が公式サイトで公開されています。 この実証済で効果絶大な研究成果をあなたも応用してみてはどうでしょうか。
  • 通常、フィードバックは、 上司から部下に対して行われるものですが、Google では逆に部下から上司に行われる 「アップワード (上方) フィードバック調査*42」 が定期的に行われています。
  • マネジャーに対する社員からのフィードバックは半年ごと。 アンケートには3人以上が匿名で回答し、集計後のフィードバックレポートを対象となる本人が受け取ります。
  • このフィードバックは 「評価」 ではなく、 あくまでマネジャーの「育成」
    が目的。
  • なんともオープンでストレートですが、 効果がありそうですよね。全部で13の項目に対し、「非常にそう思う」 が5、 「まったくそう思わない」が1で、5段階のうち当てはまるものを回答するように求められます。その内容がこれです。

 

  1.  マネージャーとして他の人に推薦できる。
  2. 能力を伸ばせる機会を与えて、 キャリア開発をサポートしてくれる。
  3. チームに明確な目標を伝えている。
  4. 具体的にアクションできるフィードバックを定期的に提供してくれる。
  5. 仕事に関して自主性を尊重してくれる (マイクロマネジメントをしない)。
  6. 1人の人間として常に思いやりを示してくれる。
  7. 困難な状況においてもチームが最優先の仕事に集中できるように取り計らってくれる (他のプロジェクトを断ったり、優先順位を下げたりすることが必要となる時など)。
  8. 上層部からの重要な情報を随時伝えてくれる。
  9. 過去半年の間に、 自分のキャリア形成について有意義な話し合いの場を設けてくれた。
  10. 部下を効果的にマネジメントするための専門知識 (技術的知識、 セールスの知識、経理の知識など) を有している。
  11. マネージャーとの間で意見の相違があったとしても、 自分の意見を尊重してくれていることが行動から伝わる。
  12. 困難な状況においても優れた意思決定を行える (複数のチームに関連したり、関係者間での優先順位が異なったりしている状況など)。
  13. チームや組織の枠を超えたコラボレーションを効率よく行える。

 

  • 各項目は 「Google マネージャーの行動規範」に基づいており、Google公式サイトであなたがすぐに使えるよう、 ドキュメントとフォームでテンプレートが共有されています。
  • 上司としてやるべき行動が、かなり具体的で明確になったと思いませんか。
  • これだけやれたら、 あなたも優れた上司です。
  • フィードバックとは、相手の行動に対して自分の言葉で伝える技術です。相手を大切に思い、 成功するようにサポートしたい気持ちがあるからこそ、相手にも響きます。
  • フィードバックには肯定的なもの(ポジティブフィードバック)と改善を促すもの(ネガティブフィードバック)がありますが、 両方のアプローチによってメンバーのやる気を引き出すことができます。
  • まずは、相手の話をしっかり聞き、 必要な情報を提供する対話を Classroom
    で設定してみましょう。