ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り

エブが耐えられる唯一の友達のコオロギが、ガレージのあちこちに集まって、パソコンにしかわからない言語を学んでいるエブを励ました。

 

最初に@を使ったのは、アップルの若手デザイナーのロバート・アンダーセンで、2006年11月2日、弟とのやり取りで、名前の前に@をつけた。@は徐々にツイッターに固有の記号になった。・・・5月初旬にツイッタープログラマーのアレックス・ペインが、ウェブサイトに人々の「@返信」が見られるタブを新たにつけくわえた。

 画像共有サイトのフリッカーでは、似たような画像をグルーピングするたのに、ハッシュタグが使われていた。あるとき、フリッカーのユーザは、カリフォルニア州サンディエゴの山火事の画像を共有するために、ニュースの画像をまとめるのに、"#sandiegofire"というタグを使った。シリコンバレーに住んでいて、ツイッター社員の多くと親しいデザイナーのクリス・メッシーナが、ツイッターで#を使うとたちまちみんながサイトで使うようになった。

ツイッターハッシュタグをどうにかしたほうがいいと思う」クリスは、ふたり(エブとビズ)にきっぱりといった。

ハッシュタグはオタク向けだ」ビズが答えた。エブも、ハッシュタグは「粗雑で誰にもわかってもらえない」とつけくわえた。

・・・エブやビズやその他のツイッター社員の考えや発言など、関係なかった。創業者の支配できない部分をサイトが支配してしまうという、いい例だった。人々はハッシュタグを使い続けて、グループのチャット、ミーティング、ニュースで報じられた事件についての議論など、あらゆるものを分類整理した。

 

 フェイスブックは、自由な議論と追跡について、まったく異なる手法を用いている。ユーザのプライバシーが侵害される場合も多く、サービスの厳格な条件に違反しているコンテンツは削除されることがある。それに、本名と生年月日をサイトで使うよう求めている。いっぽうツイッターは、市民プールみたいにあけっぴろげだ。それがエブは気に入っていた。140文字で、人々がプッシュボタン・パブリッシングできる。

 

 エブはついに、ツイッターのボックス内のいまなにしてる?(What are you doing?)という質問(エゴを意識した質問だと、エブはみなしていた)を、いまどうしてる?(What's happening?)という質問に変えた。そのほうがツイッターにブログに近い味わいが出ると、エブは確信していた。創業者二人の当初からの論争に、エブが勝利を収めたことになる。ジャックはツイッターでは個人の状態(status)が重要なのだと主張し、エブは周囲で起きている出来事の現状(status)が重要なのだと唱えていた。

 

ツイッターの社内では、エブが指揮をとっていることは明らかだった。 社外では、ジャックが会長という立場から経営していると思っているものもいた。

ニュースなどの報道で、ジャックが業務を動かしている頭脳だと言いふらされていたことからもわかるように、メディアはこの違いに気づいていなかった。

 

ジャックは、ずっとジョブズを崇拝していて、尊敬すべきアップルCEOの言葉を集め、好きなデザイナーを調べ、ビジネススタイルを理解しようとした

そのうちにジャックはジョブズの見かけを真似るようになった。

ジャックはジョブズが自分はCEOではなく、むしろ編集者(エディター)だと思っているという話を聞いた。ジャックはたちまち、自分はスクエアのCEOではなくエディターだというようになった。

ジャックが子供の頃にアイデアを思いつきー数十のメディアに、ジャックは巧みにそう吹き込んでいたー一人でツイッターを創業して築き上げたと思いこんでいたIT関連のブログは、デザインとマネジメントの両方でジャックがジョブズと同じ信条を抱いていると信じ込み、「ジャック・ドーシーは第二のスティーブ・ジョブズか?」という疑問を投げかけた(当然、「イエス」というのが彼らの答えだった)。

ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り

ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り

 

 

人物関係とドロドロの相関図、ジャックがいかに痛い人間かを描くことに重きが置かれており、全体的にそれほど面白いとは感じられませんでした(そういうのが好きな人にはいいかもしれませんけど)。