ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

ストーリー自体は知っていたので、世界有数のグローバル企業の創業者()にどれくらい忖度したプロットになっているか(どのくらいレイを悪く描くか)が個人的な関心でした。一言でいうとバランスよくできていたように思います。

スティーブ・ジョブズが典型例ですが、カリスマ経営者は基本的に自己中のサイコ野郎が少なくなく、中でもレイ・クロックは最終的にマクドナルド兄弟からマクドナルドを奪ったくそ野郎です。もちろん彼がいなければマクドナルドはグローバル企業になれず、片田舎のレストランとして生涯を終えていた可能性も高いため、貢献は認めないといけませんが。

劇中でマック兄が「お前は何も生みだしてないだろ」的なことを言って激昂する場面があります。たしかにマクドが(少なくとも初期に)成功した理由はマック兄弟が発明したスピード生産方式であり、レイの貢献度はゼロです。また、現在のリース+フランチャイズ方式を思いついたのは、ソネンボーンであってやはりレイではありません。レイ以前にもマクドの生産方式に目を付けた人は数多くいたとマック弟が語っていることを考えると、数学者のハーディが「ラマヌジャンを見出したことを数学に対する自分の最大の貢献」&デービーが「私は科学上の発見を随分したが、私の生涯最大の発見は、ファラデーを発見したことだ。」と語っていたように、「マクドナルドを見出したことをレイの最大の貢献」というのもやや厳しいところがあります(そもそもマクドナルドは地域では成功していたわけですし)。

https://en.wikipedia.org/wiki/Harry.J.Sonneborne

結局本人が語っているように、自分が信じているものに全財産(どころか借金してレバレッジまでかけて)ぶっこむ山師の才覚とその判断を信じ続けるpersistence(固執)・・・病的な執念が彼の成功のヒミツだったんだろうな、と感じました。