フラッシュ・ボーイズ

あらゆる上場株を買えるダークプールと公設の取引所が、合計六十近くもあり、その大半がニュージャージーに存在しているのはなぜなのか?名前も聞いたことがなかったゲッコーという会社は、どうやって株式市場の出来高の10%も占める取引を行っているのか?

 

証券取引所が「高性能のアルゴリズムを駆使する超高速トレーダーに対して、他のトレーダーに先駆けて取引情報を入手することを許している。取引所に手数料を支払えば、売買注文の情報が『瞬時に送られ(フラッシュ)』、一般に公開されるより、ほんの少し早く情報を入手できるようになる」

 

一つの取引所に発注した時は、画面に本物の市場が現れるのに、一度にすべての取引所に発注すると、なぜ幻になってしまうのか?・・・取引所の数を増やすほど、成立する注文の割合が低下するのだ。つまり多くの場所から株を買おうとするほど、実際に買える株は減ってしまう。

 

注文が届くまでにかかる時間が取引所によって異なるという事実を利用して、市場から市場へとフロントランニング(先回り)をしているやつがいるのはわかった。それなら次はどうするか?

 

本当にかすかなレベルで起こるので、きちんと準備して解決しようとしてもできるものではありません。マイクロ秒なんて想像もできないから、いつのまにか不当に搾り取られていたんです。

 

ブラッドがある市場で株式を購入しようとしているのに気づき、高値で売りつけるため他の取引所で同じ株を購入していた輩がいたのだ。ブラッドはその容疑者を特定した。それが超高速トレーダーだ。

 

 ケーブルの長さを縮める手立てが尽きると、今度はケーブルの両端にある装置に注目が集まり始めた。たとえばデータ・スイッチ。速いデータスイッチと遅いスイッチの差は数マイクロ秒(百万分の1秒)だが、今やその数マイクロ秒が重要だった。「ある男は『遅れが一秒だろうと一マイクロ秒だろうと関係ない。どっちにしろ二番手になるんならな』と言っていた」とローナン。一回の取引にかかる切り替え時間は、百五十マイクロ秒から1.2マイクロ秒。「そのうちこう訊かれるようになった。『君のところはどんなガラス繊維を使ってる?』」。光ファイバーの作り方は、どれも同じというわけではない。中にはほかよりも効率よく信号を運ぶ種類がある。人類の歴史で、これほどわずかな速度の差にこれほど大騒ぎし、これほど多くの資金を注ぎ込んだのは、初めてなのではないかと、ローナンは思った。「取引所の中で、みんな1フィート単位で自社のケーブルの長さを測っていた。サーバーを買っては、六ヶ月ごとに交換していた。数マイクロ秒のためにね」

 

技術についての理解は、ゲームのプレーヤーによって大きく違うのは感じていた。超高速取引の最大手二社、シタデルとゲッコーは、物覚えが断然いい。プロップ・ショップの中にも、理解の早いところはある。大手投資銀行は、少なくともこの時点ではどこも鈍かった。

 

あなたがお金をやり取りする際の情報の価値は、全てブローカーと取引所によって競りにかけられ、超高速取引業者へ渡されているんです。彼らは、その情報を使ってあなたを食い物にしている。

 

 投資形が何より感じていたのは、株をひとまとめに大口で売買するのがますます難しくなっているということだった。投資家たちは公共の証券取引所で売買するのがますます難しくなっているということだった。投資家たちは公共の証券取引所へのいらだちを募らせ、それがきっかけで、ウォール街投資銀行は秘密の取引所、ダークプールを作るようになっていった。2011年には、株式市場の全取引の約30%が、公共の取引所の外で行われるようになり、そしてその場所はほとんどがダークプールだった。ダークプールの魅力は、大口の注文をさらしても、それを悪用されないかとビクビクせずにいられることだと、ウォール街投資銀行は言った。

 

仮にウォール街の銀行が、顧客ではなく自身の利益のために取引したいという誘惑は振り払えても、ダークプールの利用券を超高速トレーダーに売るという誘惑を振り払える可能性はほとんどゼロに等しい。 ウォール街の銀行は、どの超高速取引業者が彼らに金を払ってダークプールの特別利用権を得ているか、あるいはいくら払っているか、明かそうとしない。しかし利用権の販売は当たり前に行われている。

株式市場の注文は、ダークプール内のもののほうが、よく超えてうまみがあるからだ。注文はたいてい大口で、とくに動きが予測しやすい。

 

自分は超高速取引を使ったフロントランニングへの対抗策を見つけたわけだが、ウォール街投資銀行も、実は同じものへ行きあたっていたに違いない。そしてそれを使わない方を選んだのだ。理由は、フロントランニングが生む利益の分け前が、あまりに大きすぎるからだ。「なぜ内が最初にソーを発見したのか、その理由がものすごくはっきりしました。最初じゃなかったからです」

 

プログラムを書くには、子どもを生むようなものです。何かを生み出すこと、技術的なものなのに、芸術作品でもある。それほどの満足が得られるんです

 

ゴールドマン・サックスのビジネスモデルは、今すぐ稼げるチャンスがあるならそれをやる、というものです。長期的なものには、そこまで関心がなかった。

あの人達は、いつも目の前のことをやりたがりました。でも考えてみると、それは既存のシステムを絶えず修正しているに過ぎない。 既存のコードベースは、扱いにくい象になってしまうんです。

 

 市場は、平均的な取引の規模が大きいほど、投資家にとっていい場所だと広く信じられている(取引の回数が少なくなったほうが、投資家の意図が超高速トレーダーに嗅ぎつけられる可能性も減る)。そのためダークプールと取引所はどこも、見栄えのいい統計を作り上げる技を持っている。

投資銀行は自行のダークプールのデータを操作するだけではない。競合相手を貶める工作も、頻繁に行っていた。銀行がIEXへ百株ロットを送りつけるもう一つの理由がこれだ。彼らはダークプールと競合するIEX市場の平均取引規模を下げようとしていたのだ。

IEX - Wikipedia

 

市場は公平性を感じ取り、注文の92%が中間点ー公平な価格ーで取引された。ウォール街のダークプールでは、中間点で取引されるのは17%にすぎない(公共の取引所では、割合はもっと低い)。平均取引規模は、投資銀行妨害工作があったにもかかわらず、市場平均の二倍に達していた。

 

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

 

 

漫画201805

キングダム 

最近のテーマは、ネクストジェネレーション:王賁、蒙恬、信の大将軍への目覚めですね。相変わらず、まるで勢いが衰えない稀有な漫画。気づけば大台の50巻。

七ツ屋志のぶの宝石匣 

 ギャグパートも秀逸で安定の面白さ、メインストーリーはあまり進まないので、せっかちな人はイライラするかも。

七つ屋志のぶの宝石匣(7) (KC KISS)

七つ屋志のぶの宝石匣(7) (KC KISS)

アオイホノオ☆☆☆☆

できることとやりたいことの差を痛感したことを、やりたいことができるだけの画力が伴ったいまあらためて振り返るという、当時の葛藤というか、はたまた手練手管の妙というか、そういったものがそこはかとなく面白いです。

犯人の犯沢さん

 スピンオフの中では、一番独自性が強く(というか本編とほとんど関係がない)、別漫画で面白い。スピンオフとして、一つの正しい方向性を示しているような気も。めちゃ強謎角女子高生はさすがに草。

アルスラーン戦記

 どうも盛り上がりに欠ける。

ソード・オラトリア

これまでと打って変わっていかにもラノベっぽい展開に。本編との絡みは嬉しいんですけど。

 ちはやふる

 食傷気味です。

ちはやふる(38) (BE LOVE KC)

ちはやふる(38) (BE LOVE KC)

 やれたかも委員会☆☆☆☆

 2巻が出たのでまとめ読み。断片的にバズったやつは読んだことがありましたが、まとめて読むと押し寄せてくる哀愁がすごいですね。全員やれたでいいだろ笑

やれたかも委員会 1巻

やれたかも委員会 1巻

やれたかも委員会 2巻

やれたかも委員会 2巻

よつばと!

 久し振りすぎるよつばと!

よつばと!(14) (電撃コミックス)

よつばと!(14) (電撃コミックス)

あさひなぐ☆☆☆☆

久し振りにかなり面白い回でした。戦い前の静けさ、選手一人ひとりを断片的に、しかし不満のないように描いていく技はさすがでワクワクが止まりません。もう何度も繰り返された展開のはずなのに、マンネリ感をまるで感じない不思議。さて、いよいよ決戦じゃ。

どんな言い方したって、変えるっていうのは壊すことですもん。そしてオリジナルが偉大であればあるほど、はみ出し甲斐がある。家があるから、家出ができるのと同じですよ。

あさひなぐ 26 (ビッグコミックス)

あさひなぐ 26 (ビッグコミックス)

響 ☆☆☆

始めの頃のキレや勢いはなくなり、文学青年・少女の青春群像劇の様相を呈してきましたね。テンポがいいのが救いです。

響~小説家になる方法~ 9 (ビッグコミックス)

響~小説家になる方法~ 9 (ビッグコミックス)

夢で見たあの子のために☆☆☆

 面白くなりそうな、中途半端で終わりそうな何とも言えない印象。僕だけがいない街を書いている三部さんなので期待を込めて継続。

異世界居酒屋のぶ ☆☆☆

いつも通りののぶ、5巻超えてくると、どうしてもマンネリになってくるので、この辺りから構想力問われてきますね。「魔女のお店」だけでは少し物足りない?

異世界居酒屋「のぶ」(6) (角川コミックス・エース)

異世界居酒屋「のぶ」(6) (角川コミックス・エース)

虚構推理☆☆☆

複雑プロットの長編が終わって、ある意味普通の?ミステリーが2巻ほど続いています。あとがきを見るとまた複雑プロットに戻るみたいなので、次巻から長編?

面白いんだけど、いまいち個人的には弾けきれないモヤモヤが残る作品なので、今後に期待しています。

虚構推理(8) (講談社コミックス月刊マガジン)

虚構推理(8) (講談社コミックス月刊マガジン)

 

ブラッククローバー☆☆

 大きな話の節目を迎えましたが、既視感+なんか全体的に散らかっている感じです。

ブラッククローバー 16 (ジャンプコミックス)

ブラッククローバー 16 (ジャンプコミックス)

BAKUMAN☆☆☆☆☆

久しぶりに読み返したんですが、息つく暇もなく20巻全速力で駆け抜ける爽快感と定期的に得られるカタルシスが絶妙、もう最終巻が出て6年になりますが、まったく古臭さを感じさせない不朽の名作ですね。

月下の棋士☆☆

 久しぶりに読み返しました。総合商社のごとく様々な奇人変人が登場してきますが、ストーリー自体は似たような流れが多く、バトル漫画の単純なプロットを動きの少ない将棋でやるため、仕方なく全員に血を吐かせて無理やり動きをつける、みたいなエイヤ感は否定できません。2015年に永眠された棋士ライターの先駆けとでも言うべき河口俊彦さんのあとがきがなんだかんだで一番面白くなります。あとがき当時で羽生さんの通算タイトルは40期程度、大山には敵わないだろうみたいなこと書かれていましたが、通算タイトル100期王手の今読み返すと妙に感慨深いものもありました。

うえきの法則☆☆

 某スレで気になったので読んでみましたが、8巻で断念しました。ところどころ面白いアイデアはあったのですが。

デジモノステーション201805

編集長こだわりの 逸品

期待したほどではありませんでした。

 本誌ではワニ柄のクラッチが紹介されていましたが、FURLAクラッチは確かに地味になりがちなメンズファッションのワンポイントとして良さそうです。

 知名度はないですが、イタリア海軍に採用されたこともあるクロノグラフメーカーのエベラールが紹介されていたのはよかったですね(本誌で紹介されていたのはネイビーマスター)。さすがChronosの編集長です。

 デザインフィルのトラベラーズノートはお洒落で使いやすいです。

トラベラーズノート パスポートサイズ ブルー 15240006

トラベラーズノート パスポートサイズ ブルー 15240006

 

 Amazonで今買うべき銘品50

ELEGIANTのサウンドバー、本来は別ブログで紹介すべきカテゴリーですが笑。

音質は絶賛されていますが、サイズそれなりかなという感想。

デスクトップ周りがスッキリするという意味で、サウンドバーにするのはいい発想です(シアターバーからの派生ですね)。

 4Kプロジェクターの中ではコスパ最高だと思います。初めて買うけど、画質妥協したくなければこれが鉄板です。

BenQ ホームプロジェクター HT2550 (DLP/4K/2200lm/HDR対応/映画鑑賞/ホームシアター)

BenQ ホームプロジェクター HT2550 (DLP/4K/2200lm/HDR対応/映画鑑賞/ホームシアター)

 

 これは前から気になっていたので、雑誌を読んだのを機に買ってみました。

塩麹も作れるのがウリとのことで、一度作ってみましたが・・・まぁヨーグルト作ります。

 プロテインの定番ONも紹介されていました。類似品の中では圧倒的に美味しいです。

 

Begin 201805

BASIC LOVERSはなかなかいい企画(特に初心者で定番モノのアイテムを集めたい人向け)でした。

アウトドア技術+男の洒落服のUBER

 美脚クライミングNORTH FACEのバーブパンツも良さそうです。

 安定のジョンスメドレー、僕も愛用しています。

 巻末にあったマスターピースのビジネスバッグ新ライン、Folderはかなり良さそうです。

master-piece.co.jp

f:id:yamanatan:20180430003557j:plain

 

 

Begin (ビギン) 2018年 5月号 [雑誌]

Begin (ビギン) 2018年 5月号 [雑誌]

 

 

幸福の「資本」論

幸福の条件 

  1. 自由
  2. 自己実現
  3. 共同体=絆

3つのインフラに対応

  1. 金融資産
  2. 人的資本
  3. 社会資本

地方のマイルドヤンキーたちは友達を社会資本にしていること

 

日本社会は(おそらく)人類史上はじめて、若い女性が体を売りたくても売れない時代を迎えたのです。

金融資産と社会資本をほとんど持たずに地方から都会にやってきた若い女性の中に、唯一の人的資本であるセックスすらマネタイズできない層が現れました。

最貧困女子の誕生です。

最貧困女子を生み出す原因となったのが風俗嬢の大量供給

風俗の仕事が若い女性たちに認知されたのは、獲得した顧客に応じて収入が増える実力主義・成果報酬の給与体系で、出退勤や労働時間、休日を自由に決められる完全フレックスタイムだからです。これはグローバルスタンダードにおける最先端の働き方

最貧困女子・・・彼女たちのセイフティネットは福祉団体やNGOではなく、ヤクザやブローカー、売春業者などが提供しています。なぜなら、搾取するためには生かしておかなければならないのですから。

 

 マイナス金利の世界では、賢い人は利得を最大化するために金融資本よりも人的資本を有効活用する、すなわち働くのです。

 

 大手企業の採用責任者が見ているのは、その学生が「興味の持てない仕事、裁量権のない仕事、希望していない地域での勤務」を命じられても、組織の中で縁の下の力持ちの役割を果たせるかどうかなのです。・・・有能だが個性的な人材は真っ先に選考から外されるのです。

 

学歴には基礎的な知能を証明する以上の価値はなく、大学での成績は入社後は一切考慮されず、すべての新入社員が同期として横一線に並ぶのはこれが理由です。大学院の修士を出ても学部卒と同じ扱いで、博士は年齢が高いのと扱いを別にしなければならないことで嫌われ、そもそも入社できません。

そんな新入社員が、メンバーシップ型の組織の中で、それぞれの伽藍に最適化されたゼネラリストになることを要請されるのですから、こうした仕事環境からプロフェッショナルが生まれてこないのは当たり前です。

知識社会化が進むにしたがって、当然のことながら、仕事に要求されるプロフェッションのレベルは上がっていきます。しかし日本の会社はゼネラリストで構成されており、プロフェッショナルを養成する仕組みを持っていません。

年功序列・終身雇用の日本企業では、プロジェクトの責任者を外部から招聘したり、中途入社のスタッフだけでチームを作るようなことができないからです。そのため社内の乏しい人材プールから適任者を探そうとするのですが、そんな都合のいい話があるわけがなく、スキルや経験、知識のない人間が集まる「不適材不適所」の現場の混乱を長時間労働マンパワーでなんとか切り抜けようとし、パワハラとセクハラが蔓延することになるのです。

 

高度プロフェッショナル労働制

多くのサラリーマンが、「スペシャリストもバックオフィスも正社員ならみな平等」というこれまでのぬるま湯が破壊されることを嫌っているからです。

これまで正社員の既得権に安住してきたバックオフィスのサラリーマンがこの法案に反対するのは当然です。

スペシャリストのサラリーマンまで法案に反対しているのはなぜでしょうか。

そもそも日本の会社には、スペシャリストなどいないのです。そんな彼らにとって、「スペシャリスト的な仕事が優遇される法案」など何の意味もないばかりか、自分になにひとつ「スペシャル」なものなどないことが暴露されるだけなので、彼らが必死に反対するのもやはり極めて合理的なのです。

 

疫病のように蔓延するブラック企業は例外ではなく、低成長に苦しむ日本経済が発見した経営イノベーションであり、日本的雇用の歪んだ構造が生んだ直系の子どもたちなのです。

 

日本の会社の終身雇用は、その実態を見れば、超長期雇用の強制解雇制度です。退職金とは、定年後のまともな仕事を放棄する代償でもあるのです。

 

ひとは「好きなことしか熱中できない」

嫌いなことはどんなに努力してもやれるようにはならないのです。

私たちが自分にあったプロフェッションを獲得する戦略はたった一つしかありません。それは仕事の中で自分の好きなことを見つけ、そこにすべての時間とエネルギーを投入することです。

 

 画期的な商品やサービスを生み出そうとすれば失敗する可能性も高くなりますが、雇用の流動性がない(伽藍の)会社では、いったん失敗した社員は生涯に渡って昇進の可能性を奪われてしまうのです。

大きなリスクを取ってイノベーションに成功したとしても、成果にふさわしい報酬を与えられないことです。「正社員の互助会」である日本の会社では、一部の社員に役員や社長を上回る高給を支払うことができません(この矛盾は発行ダイオードの発明を巡る訴訟で明らかになりました)。

このように日本的雇用制度は、「リスクを取るのはバカバカしい」という強烈なインセンティブを社員に与えています。

経営者自らが大きなリスクを取ってイノベーションを目指すことです。

カリスマが去って官僚化した企業からはイノベーションは生まれません。

 組織の取引コストを教区台化させた大企業はイノベーションを放棄して、ベンチャー企業に投資し、成果が出れば買収しようとします。

 

35歳までにやらなければならないのは、試行錯誤によって自分のプロフェッション(好きなこと)を実現できるニッチを見つけることです。

 

老後とは人的資本をすべて失った状態のことです。

 

個人の人生においても金融資産(貨幣空間)と社会資本(政治空間)は原理的に料率不可能です。富(金融資産)が大きくなると、全ての人間関係に金銭が介在するようになって友情は壊れていきます。地方のマイルドヤンキーが友情を維持できるのは、全員が平等に貧しいからです。

 

日本の社会は、ムラ的な間人主義に最適化され、そこから「やりがい」を生み出すようになっています。会社に滅私奉公することを「幸福」と感じるサラリーマンの感覚はその典型です。

しかしリベラル化する世界でこうした「間人の幸福」は古臭いものになり、自己決定権を持つ「個人の幸福」へと価値観は変わりました。それにもかかわらず、日本の社会は複雑なコンテキストで覆われたベタな政治空間のままで、「自由」な人生を生きることはできず、旧態依然とした「間人の幸福=伽藍の中でのやりがい」を強要されています。

これが、サラリーマンが会社を憎悪する理由であり、現代日本の「閉塞感」の正体なのでしょう。

 

アマゾノミクス

 かつて「情報に基づく意思決定」という言葉がよく使われたが、今ではデータ量があまりに膨大すぎて、人生において何らかの意思決定をするとき、すべての情報に目を通すことはできない。われわれの抱える問題やニーズの解決に役立つデータを活用するには、ツールが必要だ。

われわれが自らの意思決定にまつわるトレードオフをこれまで以上に理解できるうように、データを収集、結合、分析することには合意してもいいだろう。

トレードオフを評価するには、人間の判断が欠かせない。

 

データの対称性の原則に基づけば、おカネを支払った顧客側にも通話記録を確認できるようにすべきである。

 

 精製された石油は、産業を支える機械の燃料になり、また現代経済を支えるほとんどの製品の製造で使われてきた。同じように生データ自体はあまり役に立たない。データに価値を付与するのは、データを統合、分析、比較、選別し、新たなデータ製品やサービスとして流通させるデータ精製会社である。石油が産業革命以後の社会を支えた装置の燃料となったように、精製されたデータはソーシャルデータ革命を支えるインフラの燃料となる。

 

ニューヨーク・タイムズ記者のチャールズ・デュヒッグは、ある若い女性が大手小売チェーンのターゲットで買い物したところ、その履歴をもとにターゲットのアルゴリズムがマタニティグッズの案内を自宅に送りつけた、という興味深いエピソードを書いている。女性の父親は激怒した。だがその数日後、女性は父親に妊娠している事実を打ち明けたと言う。ターゲットのアルゴリズムの判断が正しかったわけだ。

 

現在の法律や社会規範は、データが足りないという前提に基づいてつくられている。たとえば保険は、十分な情報がないために作られた。

生成されるデータ量が増えるに連れて、今後は個人レベルんでリスクを予測できるようになり、個人別に保険料を変えられるようになる。

目をつぶってデータなど存在しないと頑なに言い張るのも一つの選択肢だ。その一方、データが存在することを認め、それによってわれわれの生活をどう変えていくべきか考えるという選択肢もある。我々は情報という新たな資源を使って、どのような世界を創りたいのか。

 

個人データの金銭的価値は、あなたがそれに付与する感情的価値とはまったく違う。・・・何百万という人々のデータを統合し、分析することによって初めて、有益な相関性やパターンが見つかるのだ。そこから一人分の個人データがなくなったとしても、データ企業は残りのデータから同じ結論を導き出せるだろう。個人の方はサービスを享受する機会を完全に失う一方、データ企業の方は失うものは実質的にゼロだ。

 

データ・リテラシーを身につけるというのは、データ会社による推奨はあくまで確率論であり、あらゆる意思決定にはリスクとリターンのトレードオフがつきものだと理解することだ。膨大なデータがあり、不確実性はきわめて少ないと思われるときですら、それは変わらない。データ会社はあなたに変わって意思決定をするのではなく、誤りのリスクを排除し、あなたが膨大なデータの恩恵を享受できるようにするべきだ。

 

私がアマゾンにいた頃、顧客が商品を閲覧してから、実際に購入するまでのタイムラグに注目したことがある。・・・タイムラグがマイナスというケースだ。

結局アマゾンのコンピュータの内一部がアメリカ太平洋標準時に、他のものはグリニッジ標準時に設定されていたことが明らかになり、ようやく八時間のタイムラグはさまざまなクリックに異なる標準時が適用されていたために人為的に生じたものであることがわかった。

 

ユーザーが最も重視するのは、(レビュアーが実名を使用しているかどうかではなく)、レビュアーがレビュー対象の商品を実際に買ったか否かをアマゾンが示すことだとわかった。

 

 Netflixは、特定のカテゴリーの映画に対するユーザーの興味を示すもっと正直なシグナルは、視聴を中断するまでの時間であることに気づいた。つまり何を推奨するか決めるうえでは、作品の評価データより視聴データのほうが参考になる。これはリチャード・ニスベットが指摘した現象だ。人は自らの行動や意思決定の背後で、どのような認知プロセスが働いているかを分かっていないことが多い。つまり、われわれの自己認識や内省能力は限られている。

 

人間は主に自分の失敗や成功を基に学習し、それを自らのソーシャル・ネットワークに所属する人々の失敗や成功で補強する。専門家のアドバイスからも学習する。それとは対照的に、機械は自らの失敗から直接学ぶだけでなく、ネットワークにつながったすべてのマシンの失敗から学んでいく。

 

ケン・ロビンソン・・・TEDトーク『学校が創造性を殺す』

www.ted.com

これは工場労働者を育成するためのシステムだ。工場ではルールを破り、、リスクを取ることは高くついた。

ソクラテスにとっては、生徒に答えを教えることより、優れた問いの立て方を教えるほうが重要であった。検索エンジンがたいていの質問に答えを導き出せるようになった今日、ソクラテスの考えはますます妥当性を持つようになった。

ハーバード大学の物理学教授、エリック・マズール「事実を忘れることがあっても、考え方を忘れることはない

アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える

アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える

 

 

ちょっと今から仕事やめてくる

 一方俺は、その人間力とやらが自分には備わっていると思っていた、ただの阿呆だ。社会というものを完全になめていた。

 

いいか、この世界は数字の取り合い、蹴落とし合いなんだよ。入って半年の新人に大型契約なんて取られたらなあ、俺はその倍の数字を期待されるんだ。お前には緊張感が足りないんだよ。誰でもすぐ信用して、綺麗事並べて。それでやっていけるような世界じゃないんだよ。