男子劣化社会

女性は経済的に自立する能力が同年代の男性よりも高いので、彼らの中から自分と同等のステイタスの男性をパートナーに選べる可能性は低くなる。・・・社会は男らしさをヘゲモニーと結びつけているので、男性には戦士になるか、または一家の稼ぎ頭になる以外に、社会的に受け入れられる道はない。それ以外の新しい役割はすべて男らしさの伝統的概念を脅かすので、それを受け入れた男性は他の男達からは見下され、異性からは付き合いや恋愛の対象としてみなされにくくなる。

主夫は負け犬とみなされ、いい人はもてない。

この変化し続ける不確かな世の中で新種の困難に直面した多くの若い男たちが、安全な場所にひきこもることを選んでいる。それは、自分で結末をコントロールでき、拒絶される恐れもない。自分の能力を称賛される場所だ。彼らにとってゲームとポルノはそんな安全地帯だ。・・・女性には見られない。なぜなら、女性はたいていこの種の競争を意味のあるものとはみなさないし、ゲームの腕を磨いたところで尊敬は得られないからだ。・・・コンピューターゲームへの依存性向。・・・高リスクでは男性が女性の三倍以上に達した。

男性は、形のいい乳房or丸みをおびた尻orMILF (mother I'd like to fuckの略、セクシーな年上女性)など、一つの刺激で欲情できるのに、女性が欲情するには、かっこよさand子供好きand自信にあふれている、といった複数の刺激が必要なのだ。

 アメリカ人の76%が毎日ニュースを見るか、読むか、聞くかしていると言うが、見出しより先に進む人は41%しかいない。従って、そこには知っているという幻想が潜在している。何かについてごく表層的なレベルの知識しか無いのに、すべてを知っていると思いこむ危険性があるのだ。・・・学生たちが何かを理解していると思いこんでいても、いざそれについて説明するよう求められると言葉につまる・・・若い男性に広く浸透している「トライする前にギブアップする」という態度の縮図である。

全科目で女子は男子より成績がよい。・・・一昔前の少年たちにはいずれ両親の家から出て、恋人家妻をゲットし、長期的な目標を設定し、キャリアの構築に乗り出すと行った、人生のあらゆる面で競争して成功しようという意欲がたっぷりあったものだが、今ではそれもすっかりなくなっている。

 2008年1月から2009年6月・・・女性被雇用者が圧倒的に多いヘルスケア産業は比較的影響を免れたが、被雇用者のほとんどが男性の製造業や建設業などでは、最近の不況以来、アメリカでは650万人分の職が消失した。・・・介護と訪問看護は今後もっとも急成長が望まれる分野だが、こう言った食の大部分を女性が占めるであろうと予測されている。従って、この新しい就業展望からも優秀な若い男性が得られるチャンスは悲惨なほど少ない。

加えて、忌むべきは彼らの中にある特権意識だ。・・・ただ男として生まれてきたと言うだけで、自分にはあらゆる種類の権利があると思いこんでいるものたちがいるという。しかも、その特権を得るにあたり、別に何もしなくていいと思っているのだとか。・・・驚くほど大量の男たちが働いて家計を助けるどころか、自分たちの居住空間を片付いた状態に保つといった最低限の家事すらしたがらない。・・・誰かに依存していることを社会的な失敗ではなく、むしろ手柄であるかのように見せることに成功している。

今と昔の違いは、今日の若い男性のシャイネスが、拒絶されることに対する恐怖よりむしろ、いつ、どこで、どんなふうに、何をすればいいかがわからないといった根本的な社交術の欠如から来ている点だ。・・・失敗の不安がない「ひきこもる」という方策を取りたくなる。異性は失敗を意味するが、オンラインや仮想世界への撤退は、定期的な練習さえすれば、より慣れ親しんだ、予想のつく、コントロールしやすいものになるので、安全を意味する。・・・シャイネスはゲームとポルノの過度な使用がもたらす結果の一つであると同時に、その原因でもあるのだ。

平均的ルックスの私は、異性に気に入れられるために努力しなくてはならないという現実の面倒な側面に常にうんざりしていました。金はかかるし、相手の気持はわからないし、たいていは失敗に終わります。これまでに知り合った女性との個人的関係はすべて私にとっては無意味で、男の友達で簡単に置き換えられ、残りの部分はポルノが満たしてくれると感じています。

平均的な若者は21歳になるまでに1万時間をゲームに費やすことになるだろうと予測している。・・・平均的な大学生が学士号を取得するのに必要な勉強時間でさえ、その半分の4800時間だ。

 今日のゲームがプレイヤーに要求するのは単にスキルだけでなく、限界まで長時間プレイし続けられる肉体的強靭さだ。・・・ティーンがしっかり休養の取れたシャープな状態でいるためには、毎晩平均9時間の睡眠が必要だ。実際には、彼らの睡眠時間はこれにはるかにおよばない。国立睡眠財団が2014年にアメリカで行った調査では、親たちは13,4歳の子供の睡眠時間を毎晩7.7時間、15-17歳のそれを7.1時間と見積もっていたが、子どもたち自身による「就寝時間を過ぎても起きている」という報告からして、この数字は恐らく実際とはかけ離れている。面白いことに、幾つかの症状が似ていることから、睡眠不足はしばしばADHDと混同され、実際には不眠症にすぎないティーンがADHDだと誤診されるケースがある。

バーチャルの世界は常に予測可能で、しかも驚くほどこちらの思いどおりになります。複雑さを増す世の中で、バーチャルライフのシンプルさは実にありがたい気晴らしです。

男性は体重が増えると、代謝に変化が起きて体内のホルモンのレベルが下がり、人付き合い野性的な能力が驚異的に低下するのだ。男性は活動的になればなるほど、テストステロンの分泌が増え、結果的に性欲は高まる。・・・男性ホルモンの低下が引き起こす最大の悪影響は、妊娠させる能力以前の、性行為そのものに表れることを発見した。 ・・・肥満男性の40%のテストステロンが異常なほど低いレベルにあった。また肥満は2型糖尿病のトリガーになりうるが、この病気の一つの症状として、血管への、それも特に血管が細いペニスや精巣への血流が悪くなる。・・・男性の肥満とテストステロン低下のコンビネーションは、彼らの体内にエストロゲンの不健康な上昇という奇妙な減少を引き起こす。・・・急所をダブルパンチされるようなものなのだ。

親たちはかつてティーンエイジャーの我が子がセックスをしているのではないかと心配した。今、彼らは我が子がセックスをしていないのではないかと心配し始めている。ヘレン・ランビロー「ザ・タイムズ」紙

ライトユーザーでさえ、その三分の一がポルノに夢中になるがあまり大事な締切や面会の約束に遅れたり逃したりした経験があると語った。・・・問題は単にポルノを見ているせいで他のことをする時間が奪われているだけではない。ポルノという極度な快楽を与えてくれる活動には、それに没頭することで認識や近くや創造的好奇心が興奮し、時間の経過を忘れ、他の事柄に対する注意力が落ちるという認識吸収効果がある。・・・何時間もポルノを見ることのもう一つの弊害は、彼らが自分のガールフレンドを単なるセックスの対象としてモノ扱いし始めることにある。・・・「男の子たちはただ私たちにポルノスターがやってるあれこれをやらせたいだけなの」・・・実際のセックスでも刺激剤としてポルノの世話になっている

毎週のポルノ視聴と、性行動の早期開始、不規則なコンドーム仕様、セクスティング、アナルセックスの間には強い相関関係があった。・・・多くの場合、アナルセックスでは妊娠の心配がないので、若者たちはコンドームを使う必要が無いと考える。だが、アナルセックスでは性感染症のリスクがはるかに高くなることに気づいていない。

 クレアモント大学院大学のポール・ザック経済学教授は、「信用に値する人の割合が大きい国はより反映する・・・こういった国では商取引がより多く行われ、より大きな富が生み出され、貧困は軽減する。したがって、貧しい国は概して低信頼国である。」

既婚男性は独身男性より17%、同棲している男性より9%長期間、労働力になっている。女性については、一年に働いている週数とパートナーがいるかどうかの間に大きな関連性は見られない。

シングルペアレントに育てられた子供はADHDの薬物治療を受ける可能性が54%高くなる。

 テレビ番組にIQが三桁の男をもう少し登場させるべきだ。なぜ男性の登場人物はテストステロンに突き動かされた間抜けや、いやらしい探偵や、ヴァンパイヤや、セクシーな妻のいる女たらしや、デブばかりなのだろう?・・・不幸せな人は普通の人よりかなり長時間テレビを見ているが、ある意味、これは当然だろう。テレビは受動型のご楽なので、見る人は現実逃避でき、実生活からかんたんにモードを切り替えられるからだ。

セックスが抜群にうまいという自信でもない限り、若者は好きな女の子には拒絶されるものと思い込む。その点、テレビやポルノを観ている分には何の責任も生じないし、拒まれるリスクもゼロだ。しかも、それらは即席の喜びを与えてくれる。しかし、その副作用として、女の子を誘惑するスキルを身につけるモチベーションも下がり、結果的に、男にとっての究極的なゴールはさらに遠のく。

 失敗はひどく過小評価された、人生の避けられない一部なのだが、時には失敗してもたいていは大丈夫なのだということを、多くの親が息子に学ばせようとしない。失敗のない人生は、リスクを取らない人生だ。安全な人生に満足はできるかもしれないが、それは最高の人生ではない。・・・男の子には小さいうちに失敗させてほしい。そうすれば大人になって失敗したときに、この世の終わりのようには感じないだろうから。

 9歳のときにいい教師に当たった子は、10代で親になる率が低く、大学に行く率は高く、生涯で平均5万ドル多く稼ぐ。・・・教育の大部分が、多くの人が教育の本来あるべき姿だと考える問題の分析でも解決法の発見でも現実世界の問題に関連したものでもなくなっている。

男性教師は九人に一人未満(イギリスでは五人に一人未満)。小学校教諭に限るとほぼ全員が女性なので、学習を男らしい作業だと教えてくれるポジティブな男性のロールモデルはほとんどいない。

スタンフォード大学の著名なコミュニケーション学教授だった故クリフォード・ナス・・・世の中を歩き回れば、複数のことを同時に行っている人々が目に留まる。・・・並行作業人はみんな、自分は複数の作業を同時に行うことに抜群にすぐれていると感じている。さてここで最大の発見はなんだろう?いいかい?それは、君たちはそういった作業が救いようがないほど下手くそだということだよ!最終的に、並行作業人は行っている作業の全てで失敗している。彼らは絶え間なく気が散っている。彼らの記憶はまとまりがなく、バラバラだ。

私たちは一人でひたむきに何かに没頭するという知的伝統を拒絶している。

中国では15歳から34歳の若者の死因の第一位は自殺で、彼らが学校や拡大し続ける社会的不平等の中で感じるストレスと卒業後の就職難が、その主な引き金になっている。

知的資本は雇用市場だけでなく、国の経済発展のためにももっとも重要な要素になるだろう。リベラルアーツの学位は取得者にほとんど将来性を提供していないのだ。それにもかかわらず、リベラルアーツのバブルは膨張し続けている。・・・アメリカの若者は他の先進工業国の若者ほど革新的または有能ではなくなるだろう、という予測を選択した人たちは、こういった傾向が無視されるべきでない時期に来ていることに、正しくも気づいていたのかもしれない。・・・学問の習熟度において男子は加工し、女子は一世代前の女性たちさえ上回る勢いで急上昇している。

自由に手に入るファンタジーの材料は大量にあるが、若者が現実のセックスについて得られる情報源はほとんどない。・・・セックス拒食症・・・多くの若い男性が、ポルノのせいで健康的な性的関係についての考えが歪められ、実際に女性を相手にしているときもポルノのスクリプトが頭の奥で再生されていると答えた。しかし、女性たちはそのスクリプトを拒絶する。

問題は全国ネットのテレビに流血事件や内臓や血を映すのは平気なのに、おそらくプロテスタントの理念の名残だと思うが、ほんの少し乳首が見えそうになっただけで固まってしまう私達の社会にあると思う。

アメリカ・・・絶対禁欲型と包括型の2つ・・・絶対禁欲型の性教育は結婚前にはセックスをしないよう教える。包括型は禁欲を勧めるが、同時に避妊のメリットや性感染症を避ける方法も教える。どちらもポルノについては論じない。・・・当然だが、包括型も絶対禁欲型もそれぞれが目指す目的にはさほど効果を発揮していない。結婚年齢はかつて無いほど高くなっている。・・・一方でイギリスの16歳から24歳の30%が、初体験の年齢は15才以下だったと言っている。また、アメリカ人全体の90%、そして結婚までセックスはしないと誓ったティーンの88%が、実際には結婚前にセックスを体験している。

絶対禁欲型・・・避妊をする頻度は少ない。・・・性教育が充分でないと、若者は自分の身体や性についての理解が十分でなく、自己評価が低くなり、自らの性的感覚や性経験について大人相手にオープンには話さなくなる。包括型の性教育を受けた若者は、性教育を受けなかった若者よりセックスパートナーの数は少なく、性行動の開始はむしろ遅れ、実際に性交渉を始めたときにはより頻繁にコンドームを使い、計画外の妊娠や性感染症にかかる確率も減るという調査結果がある。

セックスについて、自分たちで子供を教育したいですか?それとも、あなたの怠慢につけ込むポルノや大衆メディアのような業界に任せたいですか?・・・セックスをするなとかコンドームを使って安全にと言うだけでは教育にはならない。最も、コンドームは絶対禁欲の誓いよりは破れにくい傾向にある。

ポルノやゲームが即座に与えてくれる喜びに比べると、女性やスポーツや学校といった他のアクティビティはあまりにまどろっこしい。

 人が現実の行動をデジタルのペルソナのそれに同調させる現象をプロテウス効果・・・現実世界が要求するものとは衝突する強いエゴを生み出したり、すでに大きいエゴをよりいっそう膨れ上がらせたり、反対に没個性化を増進したり、自分の考え方を都合のいいように操作したり、と言ったマイナス面もある。

 インターネット、ギャンブル、オンラインポルノの3つの依存症については脳の研究が90以上あるが、これらの依存症の全てにおいて、脳内に薬物依存症に見られるものと同様の変化が起きている。・・・脳内で性的興奮が起きる部位は、依存が起きる部位―報酬回路―と同じだからだ。・・・ドーパミンは目新しさに反応して大量分泌されるので、オンラインポルノは若者が気づくまで何年も、進行する性機能障害を覆い隠す。・・・長年に渡る長時間のポルノ試聴は、脳の報酬感受性に関係した領域における灰白質の減少とも関連性があることが発見された。

興奮依存症の兆候が見られる若い男性たちは、概して社会生活の場では大きな不安を覚え、目標を立ててそれを達成するモチベーションに欠け、絶望感を抱えていた。自殺の可能性をほのめかす者さえいた。また学校では、アナログ的で静的で完全に一方通行の伝統的な授業から完全にはみ出していた。学業はそもそも過去の学びの先々の問題への応用や、計画性や、楽しみの先送りや、遊びより勉強を優先することや、長期的な目標設定といったものの上に成り立っている。・・・所詮、人間の脳は、ポルノという自己欲求満足型の消費習慣を常食としながら、同時に他の人間との成熟した複雑で包括的な関係を続けることなどできないのです。

 私たちの文化は子どもたちを「自分は次の大成功者にはならない」と覚瞬間に備えさせるという仕事に失敗しているという。思春期前のこどもの精神状態は「何か素晴らしいことが起きるだろう」という感覚を特徴とする。それが思春期に突入して10代を進んでいくうちに、やがて何も素晴らしいことなど起きないという自覚に襲われる。それが「大いなる落胆」の瞬間だ。・・・思春期は子供が自分の能力と自身の限界について学ぶべき時期だ・・・過度にゲームをする若者はしばしば、妥当性の確証を得るための手段に対し障害となるものはすべて避けようとする。

歴史的には、自分の血統を永続させることが、男性がリスクを冒すモチベーションだった。・・・セックスをするチャンスがたっぷりあるときには男性が怠慢になることを意味する。・・・女性が多すぎる社会、または結婚適齢期の男性が少なすぎる社会では、結婚する人は減り、結婚したとしてもその年齢は下がる。そして女性たちはパートナーがいつまでも自分のものである保証がないので、経済的自立を目指して、よりいっそう教育やキャリアに邁進する。・・・最大の問題の一つは、これが家族の動態に与える影響です。高い教育を受けて力をつけ、成功を収めている今日の女性は、無力で怠け者の夫など欲しくないし、男性は男性で、妻より劣っていると感じたくはありません。

ジャーナルオブセックスアンドマリタルセラピー誌・・・強い自己愛レベルと長時間のポルノ試聴の間には相関性さえ見られた。

 1960年代以降、男性の所得は6%しか伸びていないのに、女性のそれは44%も伸びた。・・・子供のいる既婚者で夫より収入が多い女性の割合は、1960年にはわずか4%だったが、2011年には23%になっていた。

 企業でガラスの天井を守っているのは、未だに学友のシステムの中に暮らしている前世代の年配の男性たちだという確信がある。彼らが定年退職した暁には、さらに多くの有能な女性が産業界のトップの座につくだろう。

同じ仕事で、女性の77セントに対し男性は1ドルを稼いでいるという統計・・・もし本当に雇用主が同じ仕事をさせるのに女性には男性の77%の賃金しか支払わなくて住むなら、彼らはただそちらを選び、株主は大喜びで浮いた分の利益を手に入れるはずだ。実際には77セント統計はフルタイムの男女就業者の平均収入から算出されている。この明らかな収入差は、1週間に働く時間の差や、男性の方が女性より子供の誕生後に取る休暇が短い、さらに工学技術職のような高収入の職に男性の方が圧倒的に多いなどといった原因からきている。

 女性版ポルノ―ロマンチックコメディや官能小説―の多くもまた、彼女たちに恋愛相手の男性について現実離れした夢を抱かせている。ほとんどの女性がまず少なくとも次自分と同じくらいか、自分より背の高い男性を望んでいる。また仕事で成功している多くの若い女性が自身が高い教育を受けて経済的に自立するにつれ、将来のパートナーに求める条件は厳しくなり、その分、自分の時間を分け与える価値のある候補者の数は減る一方だと認めている。

 関係が進んだ後でさえ、女性の14%に比して、男性の36%が全額払っていると答えた。要するに、女性は男性より高学歴で金銭的にも豊かになりながらなお、費用を折半することには乗り気でないのだ。おそらく女性がリードすることや男女平等に、男性と女性の両方がもっとなじんだ時に、これは変わるだろう。

一歩間違えば、あなたは積極性や力強さが足りない軟弱者か、強引すぎてレイプ寸前のどちらかだ。どの瞬間をとっても、どう行動すべきかを察知するのは難しい。女性を尊敬する平等主義の男が報われているかと思えば、次の瞬間には、女たちが男に許可も求められないまま力ずくで奪われると言った空想について話しているのを耳にする。

ポストフェミニズム世代では、男女の役割はクリアでない。今時の20代後半から30代前半の男性は、繊細で思いやりのある振る舞いをし、攻撃的な衝動は隠すよう育てられたが、それだと何も得られないと感じている。20代から30代前半の女性たちは女性の地位の向上がどうのこうのと言いながら、やっぱり力強さや強引さを前面に押し出す男にセックスアピールを感じている。神経の細やかさや、礼儀正しさや、女性の希望を訊くことは弱さだとみなされ、一気に興味を失われる。新しいタイプの男性は女性にとっての興醒めであるだけでなく、そのせいで自分から女性を誘うことができなくなっている。なぜなら、魅かれている女性に対し強引になっていないか、鈍感でベタベタした態度になっていないか、ありふれたナンパ用語を使ったりしてないか、などと不安になる習慣が染み付いてしまっているからだ。こうすべきだというはっきりしたルールはなく、ただ、してはいけないことのルールが山ほどあるだけだ。・・・だったらごめん、僕はむしろゲームをするね。

女性が感じている解放されていなくてはならないというプレッシャー・・・そもそもフェミニズムがあれほどまでに多くの小グループに別れた理由の一つは、性の解放の意味についてあまりに意見が別れたからだった。・・・ポルノを撲滅しようとする経験な保守派と急進的フェミニストの努力にもかかわらず、1960年代以降、社会の態度は、結婚まで女性は純潔な処女であるべきだという考えから、女性たちはいつでもどこでも後腐れなくセックスをする準備ができている存在であるという考えにシフトした。一方で、いくつかのタブーの誤りは正されたものの、性教育のカリキュラムの大部分は今もビクトリア時代にとどまったままだ。「私たちの体、私たちの選択」のスローガンはパワフルだが、誰も自分の体や選択肢について理解していないのに、それに何の意味があるだろう?

 今では大学生の過半数が女子だが、STEM科目を専攻する学生の大半は男子学生だ。その一方で、社会科学系科目を先行しているのは圧倒的に女子だ。・・・男女比率と科目別の収入差を考えると、一見、男女差別のようにも思えるが、選択科目を決める前に男女ともにすでにSTEMルートがもっとも良い収入をもたらすであろうことは知っている。次に女性たちは男性との付き合いの中で、将来の収入差をデートの時に割り勘にしないことで補う。さらに彼女たちの大多数が最初の子供が生まれた後に少なくとも一年間、仕事を離れる。

 今では親たちは娘に息子より25%も多くの教育費をかけている。・・・世の中が自分中心には回っていないという現実に、若い女性は男性ほどは目覚めていないのだ。権利の平等について話すほうが、責任の平等について話すより簡単だ。けれども、男女の間により大きな同情と協力を実現させたいなら、それこそが論理的な次のステップとなる。

女性の方が自殺を考える率は高いが、実際に自殺をするのは男性の方が4倍も多く、アメリカでは全自殺者の79%が男性だ。イギリスでは男性の自殺率は女性の3.5倍で、40歳から44歳の社会経済的地位の低い男性の率がもっとも高い。

FBIは男性が被害者となった性的暴行事件については統計すら取っていない。・・・レイプ以外の性的暴行事件に関しては男女がほぼ同じくらいの率で被害を報告している。イギリスのマンカインド・イニシアティブによると、家庭内暴力事件の5件に2件は男性が被害者だ。・・・OECDの報告によると、事実、男性の方がはるかに攻撃や暴力事件の被害に遭う危険にさらされている。・・・弾性に対する性的暴行の大部分は、片思いの末に口説き、拒絶されたゲイの男性が加害者だった。もし男性の大多数が女性からの強制猥褻行為や無理強いされたセックスをレイプの定義に含めたなら、おそらくその数は膨れ上がるだろう。

男性たちに性体験歴について語らせると、彼らの実に多くが残念な状況で童貞を失っている。女性に無理やり体を押し付けられ、流れに任せるしかなかったと認めるものもいるだろう。私達はその女性をレイピストとは呼ばない。それが男性なら、レイピストと呼ぶ。

女性運動があれほどまで成功した理由の一つは、責任の平等は最小限に抑えて、権利の平等を強調したからだ。従って、それは若い女性たちに「すべてを手に入れられる」という神話を吹き込んだのだが、それは彼女たちに、よく言っても誤解を招き、悪く言えばダメージを与えた。平等な責任を軽くよけた結果、女性たちはトップ役員と同じ権利は欲したが、危険な肉体労働をしている男たちと同じ責任は欲しがらなかった。

女性が高い地位につこうとすれば男性の同僚からの抵抗にあうと言って男女差別的な環境を避難する人もいるが、最近の研究で明らかになったのは、専門職の場では雇用、給与、職業指導において、女性が同じくらい他の女性に対して差別的であるという傾向だった。

女性が男性の同僚からの敵対意識だと感じるものは、実はその仕事についているものなら誰もが耐えなくてはならないリトマス試験なのかもしれない。

アメリカではほとんどの男性役員の妻が家にいる。男性役員の88%は結婚しているが、女性役員では70%にすぎない。男性役員の妻の60%がフルタイムの仕事をしていないのとは対照的に、女性役員の夫て外でフルタイムの仕事をしていない人はわずか10%だ。男性役員の子供の数は平均2.2人、女性役員のそれは1.7人。女性役員の何人かは私にも妻が必要とコメントしながらも、それなら夫に専業主夫、子守り、料理人、家庭管理人、子供のための運転手になって欲しいかと言われれば、そうではない。

男性は洗濯物をたたむとか、料理や掃除機をかけるといった、一種女性的な家事をすると、ゴミ出しや車の手入れのような男性的な家事をした場合に比べ、セックスの回数が減るという結果が出ている。また、伝統的な家事分担をした時のほうが、少なくとも女性はセックスでより大きな満足感を得ている。

男性がずっと女性をセックスの対象としてみなしてきたように、女性もまた男性をずっと女としての成功の対象(経済的豊かさを得るための手段)としてみなしてきた。そのパラダイムは変わりつつあるものの、長年にわたって守られてきた文化的認識が変わるには時間がかかる。・・・今の女性は子供のころ、大きくなったら夫と子供を養えるくらい、お金を稼ぎなさいとは言われなかった。稼いだお金は自分のためか、子供がいれば子供のために使えばいいと言われて大きくなった。したがって、女性たちは今なお男性をいいくらしを与えてくれるモノとしてみているので、男性が女性的な役割を担うことは彼女たちの対象化にフィットしないのだ。

最終的には私たちが探すべきものは平等ではなくバランスなのかもしれない。・・・互いの得意分野と苦手分野を責任とともにバランスよく分配する方法について共に考え、心を割って話し合うことから始めなくてはならないだろう。バランスの感覚はひとりひとり違うのだから、他の人達にちょうどいいバランスや世間的なバランスにより脅かされたり不安にさせられる必要はない(家庭かキャリアかという女同士の戦争、家庭内戦争に変わってはいけない)。あなたにとって一番いいバランスは他の人には必ずしも都合のいいものではなく、逆もまた真だからだ。

 大学を卒業するために大きな借金をする学生が、社会の変化について考えているとは思えない。借金の仕組みにはめられるとき、その人に考える時間的余裕はない。ノーム・チョムスキー

今や、子供を私立の小学校に通わせるコツとのほうが、かつてハーバードやエール、スタンフォードなどの名門私立大学で学ぶのにかかっていたコストより高くなっている。

女性一人につき男性三人が職を失っている。生活費の高騰に加えて将来の展望も暗いとなれば、男性たちが家族というものを、頑張って働いたことに対する報酬ではなく、むしろ今よりさらに働かなければならない理由や重荷として見るようになったとしても不思議はない。

 資本主義は機械の仕事を複雑化し、人間の仕事を単純化することにより、効率を上げる方法を常に発見し続けている。・・・過去にはとうてい無理だった分野にも女性が進出できるようになる。だが、それには肉体的な強靭さと辛抱強さが最大の売りだった下層階級の男たちの買い手が減るというマイナス面もある。それに即して、男性のプライドと有用意識は縮小する。

 以前には複雑だった仕事の単純化が、賃金が上がらない理由の一つだ。

価値の低い学位のために巨額の借金を背負った多くの学生は、卒業を目前にして初めて雇用市場の現実を知る。まともな仕事は彼らを待っていないし、自分の卒業証書は成功のための確かなパスポートではない。頑張れば何にでもなれると言われてきた若者たちが、一世代まるごと大量の失業者となってゴミ捨て場に放り込まれ、ただ食べていくためだけに「キューブ・ファーム」(簡単な仕切りで一人ずつを仕切ったオフィス)の仕事に甘んじる羽目になる。

ときにプレッシャーは大きくなりすぎる。・・・ソウショクダンシ・・・ヒキコモリ ・・・中国にもディオアス・・・ディオアスは労働者階級の出身で、多くはテクノロジー産業の職に就いているが、社交術にかけ、もてる時間のほとんどをゲームに費やしている。彼らの賃金は普通だが、ガオフーシュイ(背が高く、金持ちでハンサムなボンボン)に対し強い劣等感を抱いていて、ヒエラルキーを上がることについては悲観的になっている。

 肥満の人の推定年間医療費は、標準体重に人よりはるかに高い。子供時代の食習慣が死ぬまで続く傾向にあることははっきりしているので、肥満傾向を逆転させる明らかな方法の一つは、学校が提供する飲食物の選択を改良することである。

ジョージ・ヴァイランド教授は一つの結論に達した。それは「息子がちょうど悲しみや激しい怒りや喜びといった感情を理解し始めたときに不良扱いする代わりに大目に見てやって、彼らの気持ちを包み込む両親を持つことは、彼らの将来に天と地ほどの違いをもたらす」

達成感こそが人に学んで上達して成功するモチベーションを与え、新しいことを試させ、新しいスキルをマスターしようという気を起こさせる。結果の質に関係なく褒められると、子供はもっと頑張ろうという気をなくす。・・・子供は何かを素晴らしく上手くやれたときに、そうでもない子が同じような賞賛を受けているのを目にすると、大人たちの評価に対し疑り深くなる。子供が必要としているのは、自分が上手にやっている部分やもっと上手くなれると感じている部分に対する明確で具体的な褒め言葉だ。

ゲーム機器に関して親が決して行ってはならないのは、単にそれらを取り上げる、もしくは息子にきっぱりゲームをやめさせることだ。もしその子にとってゲームが自分の思い通りになり、報われ、ハッピーだと感じられる唯一の場所なら、そのすべてを取り上げることは打ちのめされるほど大きな打撃になりかねない

私達はみな、2つの痛みのうちどちらかを選ばなくてはならないー訓練の痛みか、後悔の痛みか。ジム・ローン(起業家)

こと恋愛に関する限り、女性には株式市場に投資する心構えが必要だ。要するに、探すべきは、面白くて、有能で他の女性達からもある程度の注目を浴びている男性だ。・・・男性の中にあなたが見つけるべき資質は、「彼が自分の能力をあなたと彼の両方にとって意味のある、ともに成長できる、バランスの取れた健康的で長続きする関係を築くのに使いそうかどうか」だ。そのためには、あなたは自分に、「この男性には真の対人能力が備わっているか?すなわち、人の話に耳を傾け、共感し、意思疎通し、チームとして問題を解決する能力があるか?」「あなたと自分の両方に満足のいく関係を長期に渡って維持しようとする願望と、それを可能にする能力や手段があるか?」と問わなくてはならない。付き合いの早い段階で、彼が相手から何かを奪う人ではなく、何かを与える人であるかどうかを見極め無くてはならない。彼は誠実な恋愛ができる性格と能力から出たバランスのいいアプローチをしているだろうか?

 長期間にわたって恋愛のテクニックを駆使し続けたり、演じ続けたりすることは不可能なので、もしあなたがこれまでの男性の選択を改めたいなら、早い段階で相手にもっと注意を払うべきだろう。女性たちが長年にわたって中身のある男性ではなく販売戦略の巧みな男性に引っかかり続けてきた結果、今では女性たちが正しい相手と付き合うチャンスは大幅に縮小している。

 最上質の男性と並の男性の比率はたしかにアンバランスだが、それでも女性たちに見落とされている上質の男性はかなりいる。中身はあるが、さほど目立たない男たちだ。・・・彼らはやるべきことをやるべきときにするが、言うべきことを言うべきときに言わないー彼らのマーケティング戦略は受動的だ。

 女性たちは男性からの真摯な誘いに対し、相手を傷つけない断り方以上の何かで報いる方法を見つけるべきだ。・・・女性たちには男性に男女関係を育んで維持する方法を教えてほしい。・・・女性が教育、キャリア、財力において高いレベルを達成すれば、次に来るのは弾性に対するレベルアップの要求だからだ。けれども、女性もまた男性に、もっと努力し、自分を高め、学校では勉学に励み、ゲームやポルノの代わりにリアルワールドで人と過ごす時間を作るよう励ますべきだ。

広告や報道や娯楽の業界がもっとポジティブな男性像を描いてくれると嬉しいのだが、男たちを役立たずというお定まりのステレオタイプに描く現在の手法で金儲けができている限り、彼らが自らそれを変えるとは思えない。

 女性の側に相手を選んでアプローチさせる、女性主導のアプリを作ることだ。・・・もし女性が選ぶ側で、女性が最初に行動を起こさなくてはならなかったら、男性が拒絶される割合はゼロになる。・・・オンラインの出会いに対する主導権をもっと女性たちに与えて、手当たり次第の無駄な試みで圧倒されることから救うことにある。

 2009年の議員経費スキャンダル・・・イギリスで多くの下院議員(MP)が経費の不正請求をしていたことが発覚した事件で、その合計は何百万ポンドという途方もない額にのぼった。・・・政府は100万枚以上もの電子走査された経費請求書を選別しないまま公表した。このスキャンダルを追い続けていたガーディアン紙は、そのようなごちゃ混ぜの書類を整理するだけの人員がないことは分かっていたので、ソフトウェア開発者のサイモン・ウィルソンを雇い、それらの書類位に不正がないかを誰でも調べられるウェブサイトを設計させた。・・・あなたの議員の経費調査(Investigate Your MP'S Expensenses)・・・世界初のマルチプレイヤーによるジャーナリズム調査プロジェクト・・・わずか三日後には、2万人以上が17万枚の書類を精査し終えていた。・・・この調査は数十人の議員を辞職に追い込み、起訴や停職につながる訴訟を引き起こした。最終的には広範な政治改革につながった。

www.theguardian.com

女性たちがかつて抑圧されていると感じていたときに、相手である男性が女性たちの問題に無関心だったように、今、勢いづいている女性たちが男性たちの問題に無関心なら、それは進歩とは言えない。

 

男子劣化社会

男子劣化社会