HARD THINGS

 起業にしても、企業の中で取り組む新規事業にしても、大抵のことはうまくいかない。ゼロから何かを生み出そうと思ったら、予定通りに進まないのは当たり前だと思ったほうがいい。むしろ、うまく言ってないときのほうが普通である。・・・2つの能力が必要になる。一つは、現状を正しく把握する能力・・・二つ目は、困難の嵐がやってきたときに、次々と手を打つ能力だ。

ビル・ゲイツ・・・情報スーパーハイウェイがすべての企業と消費者を単一のネットワークで結びつけると予想し、インターネットに取って代わって、コミュニケーションの世界を制覇することは論理的な必然だと書いている。ゲイツはあとになって情報スーパーハイウェイをインターネットと書き直した。しかしオリジナル版ではそうではなかったのだ。

ビル・ゲイツ未来を語る

ビル・ゲイツ未来を語る

 

 情報スーパーハイウェイ構想と独自のコンピュータ・ネットワーク規格が、当時どれほど猛威を奮っていたか、いくら強調してもしすぎることはない。モザイクを開発した党のマーク・アンドリーセンと共同創業者のジム・クラークでさえ、ビデオ配信にはインターネットではなく独自規格のどれかを使わなくてはならないだろうと考えていたほどだ。

マーク・アンドリーセンと話したが、僕が会った中で最高に頭がいいと思った。

ネットスケープの上場を機に、ビジネスは新興経済と旧経済に二分されるようになった。

ベン、問題は金じゃない・・・並外れた金だ。

 

ネットスケープを初めて間もないころ、マイクロソフトの新しいWebサーバーは我が社のサーバーが保つ機能をすべて備え、かつ5倍も速く、無料で配布される予定だとわかった。・・・ビル・ターピン「ベン、君とマイクが探そうとしている特効薬は悪くないが、我々のウェブサーバーは5倍遅いんだ。それを直せる特効薬は存在しない。だから、我々は何にでも効く魔法の銀の弾丸ではなく、鉛の弾丸を大量に使うしかない」・・・6年後、私がオプスウェアのCEOだったとき、最大のライバルであるブレードロジックが、大きな商談をオプスウェアからことごとく奪い始めた。・・・顧客は製品を勝っていた。ただ、われわれの製品を買っていなかっただけだ。今は方針を変えるときではない。「この困難を乗り切るのに、何にでも効く銀の弾丸はない。あるのは鉛の弾丸だけだ。」・・・9ヶ月間に渡る必死の努力と驚くほど過酷な製品サイクルを経て、我々は再びこの製品でリードを奪い返し、最終的に時価総額16億ドルの会社をつくった。・・・実存する脅威に直面することほど、ビジネスで怖いものはないかもしれない。あまりの恐ろしさに、社員の多くは向かい合うことを避けるためならなんでもやるようになる。あらゆる代替案、あらゆる逃げ道、あらゆる言い訳を探して、一回の戦いに生死を賭けることを拒もうとする。

どの会社にも、命懸けで戦わなくてはならない時がある。戦うべきときに逃げていることに気づいたら、自分にこう問いかけるべきだ。「われわれの会社が勝つ実力がないのなら、そもそもこの会社が存在する必要などあるのだろうか?」

 世界は、平時に見たときと、日々命を賭けて戦わなくてはならないときとでは、まったく違って見える。平和な時代には、適合性、長期にわたる文化的影響、人の気持ちなどを気遣う時間がある。しかし、戦うときには、敵を倒し、部隊を安全に連れて帰ることがすべてだ。私は交戦中だったから、戦時の将軍が必要だった。

かつてネットスケープのCEOとして私のボスだったジム・バークスデール「我々は、人、製品、利益を大切にする。この順番に。」人を大切にすることは、自分の会社を働きやすい場所にするという意味だ。ほとんどの職場は、いい場所とはかけ離れている。組織が大きくなるにつれ、大切な仕事は見過ごされるようになり、熱心に仕事をする人々は、秀でた政治家たちに追い越されていき、官僚的プロセスは創造性の芽を摘み、あらゆる楽しみを奪う。

 採用する才、何人の候補者をふるいにかけ、何人を面接し、最終的に何人雇ったかというデータを念入りに記録しているスタートアップがよくある。いずれの数値も興味深いが、もっとも重要な統計データ・・・十分に生産的な社員を何人増やしたかというデータだ。本来のゴールに向けての進捗を測定していないため、彼らは教育の価値を見過ごしてしまう

マネジャーの候補者を面接・・・「あなたがクビにした社員は、自分は職務上何を期待されていたかを理解していたか?そしてその期待を自分が達成できていないと理解していた、とあなたは確信できるか?」 

大きな会社と小さな会社で最も大きく違うのは、経営している時間と、創造している時間の長さだ。もっと創造したいという意欲が、あなたの会社に入る正当な理由だ。

あなたが雇用しようとしているのは、架空の会社で働く概念上の幹部ではない。自分の会社の今この瞬間にとって、正しい人物を雇わなくてはならない。

完全な人間などいない。だから、弱みがないことではなく、強みが何かで人を選ぶことが絶対的に重要だ。誰にでも弱点はある。人によって見つけられやすさに違いがあるというだけだ。・・・・自分が必要としている強みを見つけ出し、その分野で世界レベルの人物を探すべきだ。

促進する対象には、定量化できるものと出来ないものがある。定量的な目標についてばかり報告して、定性的な目標を無視していれば、定性的な目標は達成できない・・・純水に数字だけによるマネジメントは、数字通りに色を塗る塗り絵キットのようなものーあれはアマチュア専用だ。

技術的負債・・・行き当たりばったりの汚いコードを書いて一時的に時間を借りることは出来ても、最終的には利子を付けて返済しなくてはならない。・・・経営的負債は、一時しのぎの短期的な経営判断が、高くつく長期的災いを招く。技術的負債と同じく、トレードオフは時として理にかなっているが、多くの場合そうではない。

 

 階層的組織において有能なメンバーは次第に昇進していく。しかし遅かれ早かれ、メンバーは自分の能力の及ばない地位に達してしまう。

ピーターの法則 創造的無能のすすめ

ピーターの法則 創造的無能のすすめ

 

 ある社員がどの階層で無能レベルに達するかを予め知る方法は存在しないから、ピーターの法則は不可避だ。

 ダメ社員の法則・・・大組織においては、どの職階においても社員の能力はその職階の最低の能力の社員の能力に収斂する。

アンドリーセン・・・肩書は段違いに安上がりだ。所詮タダだ。・・・ザッカーバーグ・・・意図的に低い肩書を採用している。・・・平等主義的な企業文化を社員に徹底・・・昇進や給与システムを他社との直接比較にさらさないという効果も。

並外れて頭のいい社員・・・会社を改善するために弱点を発見するのではなく、自分の理論を証明するために弱点を探す・・・この会社は愚か者が経営しており、将来に望みがないという理論だ。・・・そもそもこういった破壊的行動が取れるのは、非常に頭のいい人間だけだ。

  1. 無力感
  2. 性格が本質的に反乱者
  3. 未成熟で衝動的

ジョン・マッデン「一人がバスに遅れれば、チーム全員が待っていなければならない。うんと遅れれば、チームは試合に間に合わなくなってしまう。だからそんなやつは許しておくわけにはいかない。バスには出発しなければならない時刻がある。そうは言っても、時にはあまり役に立つので、バスを遅らせるのもやむを得ないような選手もいる。しかしそれはよほどの選手に限る。」・・・社会全体でもデニス・ロッドマンはめったにいないことを肝に銘じておくべきだ。

ベゾス「顧客に価値を届けることで収益を上げるべきであり、顧客から金を搾り取ることによって収益を上げるべきではない」

ザッカーバーグ「何を壊してもいいから全速力で進め」・・・「イノベーションを起こすことを最優先にして全速力で動けば、何かを壊すことになるのは避けられない」・・・これはブレークスルーになるかもしれないが、やるべきだろうか・・・間違いを恐れてイノベーションを後回しにするような人間は、フェイスブックには無用なのだ。

 英雄と臆病者の違いは何だと思う?・・・両者ともに感じることは同じだ。どちらも死んだり傷ついたりするのは怖い。しかし臆病者は、直面スべきことに直面しようとしない。英雄は自身をしっかり制御し、恐怖をはねのけてしなければならないことをする。しかし、英雄も臆病者も感じる恐怖は同じなのだ。ー伝説的ボクシング・トレーナーのカス・ダマト

平時のCEOは会社が現在持っている優位性を最も効果的に利用し、それをさらに拡大することが任務だ。そのため、平時のリーダーは部下からできる限り幅広く創造性を引き出し、多様な可能性を探ることが必要となる。しかし戦時のCEOの任務はこれと逆だ。会社にすでに弾丸が一発しか残っていない状況では、その一発に必中を期するしかない。戦時には社員が任務を死守し、厳格に遂行できるかどうかに会社の生き残りがかかることになる。

会社の社員は、全体として創造性があり、知的で、モチベーションが高いだろうか?それとも、部下たちは怠け者で、ずる賢く、就業時間になるのをずっと待っているタイプだろうか?もし後者であるなら、そのような会社には創造性は無用だし、決してイノベーションは起きないだろう。そんな会社は失敗を運命づけられている。

買収に関して正しい判断を下すためには、・・・ 市場の潜在的規模は現在より少なくとも一桁以上大きいか?そこでナンバーワンになれるか?もし答えが友イエスでないなら、買収に応じることを検討すべきだ。

ベンチャーキャピタル・・・ゼネラル・パートナーには一定の経験を求めることをモットーにしたい。実際に会社を起業し、経営した経験があるものだけが起業して会社を経営する人々に助言する資格がある

歴史的に見て、VCの利益のほとんどは大成功を収めたごく小数の投資先から上がっている。しかもそうした大成功を引き当てるのは、ごく少数の同じ顔ぶれのVCだ。VCは800社以上存在するが、巨額の利益を得ているのは6社くらいしかない。・・・最優秀の起業家は最優秀のVCはとしかしごとをしたがらないのだ。・・・われわれがVCを成功させたいなら、この悪循環を断ち切り、最優秀な起業家を惹きつけるブレイクスルーを生み出す必要があった。

自分がまず動き、決断しなければ何も始まらない

HARD THINGS

HARD THINGS