引用:ウォーレン・バフェットはどう動く!?我々はこれからの相場にどう対処すべきか

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  • 株価の世界的な大暴落は、一旦は落ち着いている。しかし、30%程度の下げは通常の景気後退期の平均的な下げ率に過ぎない。次は、「2番底」という恐怖が襲ってくる確率は小さくない。

  • この暴落相場を買い支えたのは、各国政府と中央銀行である。相場の世界でマニピュレーション(価格操作)ほど脆いものはない。米国の連銀が不良債権のゴミ箱と化すなか、もう資本主義の市場メカニズムなど誰も信じていないのである。

  • ナシーム・タレブは『反脆弱性』のなかで、「社会を脆くし、危機を生み出している主犯は、〝身銭を切らない〟人たち」であるという指摘をしている。『まぐれ』や『ブラック・スワン』を書いたナシーム・タレブは金融界でのそうそうたる経歴を経た後、現在は文筆業と研究に専念している。

  • 彼は金融トレーダーとして、リスクや不確かさの定量化に関しては常に懐疑的であった。しかし、今日の大多数の人々は「だまされたがっている」のかもしれない。ニーチェが指摘した日々の奴隷的生存および社畜国畜労働に疲れた人々は、「考えたくない」のである。「だまされていた方が楽だ」という気持ちが意識の深部に宿っているのだ。

  • 社会を脆くし、危機を生み出している主犯は、〝身銭を切らない 〟人たちだ。世の中には、他者を犠牲にして、自分だけちゃっかりと反脆(はんもろ)くなろうとする連中がいる。彼らは、変動性、変化、無秩序のアップサイド(利得)を独り占めし、損失や被害といったダウンサイド・リスクを他者に負わせるのだ。そして、このような他者の脆さと引き換えに手に入れる反脆さは目に見えない。

  • ソビエト=ハーバード流の知識業界は反脆さに対して無知なので、この非対称性が着目されることはめったにないし、教えられることは(今のところ)まったくない。さらに、2008年に始まった金融危機でわかったように、現代の制度や政治事情が複雑化しているせいで、破綻のリスクを他者に押しつけても、簡単には見破られない

  • かつて、高い地位や要職に就く人というのは、リスクを冒し、自分の行動のダウンサイドを受け入れた者だけだった。そして、他者のためにそれをするのが英雄だった。ところが、今日ではまったく逆のことが起こっていて、逆英雄という新しい人種が続々と出現している。官僚。銀行家。ダボス会議に出席する国際人脈自慢協会の会員のみなさん。真のリスクを冒さず説明責任も果たしていないのに、権力だけはやたらとある学者など。彼らはシステムをいいように操作し、そのツケを市民に押しつけている。歴史を見渡してみても、リスクを冒さない連中 、個人的なエクスポージャーを抱えていない連中が 、これほど幅を利かせている時代はない」(ナシーム・タレブ『反脆弱性』)

  • タレブ流にいうなら、日本国の政策はさしずめ、「国民にリスクを押し付ける政策」ばかりだ。

  • 今、我々は統制経済と国家の相場操縦の中で相場をやっているのである。