NEVER LOST AGAIN グーグルマップ誕生 (世界を変えた地図)

  • 営利目的の企業が次々と誕生した。彼らのビジネスは無料で使えるグーグルマップAPIに依存していた。グーグルは世界最高のベースマップを作るという重労働を肩代わりし、誰もが使えるようにした。そしてそれは、数千万ドル規模のビジネス(時には数十億ドル規模にもなる)が育つ土壌となった。こうしたビジネスをあなたも知っているだろう。毎日使っているサービスかもしれない。
  • イェルプ、ジロウ、トゥルーリア、ホテルズドットコム、ストラバや、後のウーバーやリフトなどもそうだ。2005年から2006年にかけ、ウェブ2.0時代を代表するロケーションベースのサービスが数多く誕生した。彼らはサービスの基盤にグーグルマップを使っている。地図がイノベーションの注目分野になり、ベンチャーキャピタルから出資を受けたスタートアップが次々と台頭したのだった。
  • ブレットとジムのグーグルマップAPIがあったからこそ、こうしたスタートアップのビジネスが成立した。グーグルマップAPIはエクイティを求めない巨大なテックインキュベーターであったともいえる。 エクイティどころか、利用料すら受け取っていない。そうすることはグーグルのDNAに反することだったのだ。
  • ただ最終的に、ローンチから数年後グーグルマップAPIは有料化する。これはロケーションベースサービスを提供する企業が求めたことでもあった。究極のベースマップを無料で使えるのは彼らにとっても嬉しいことだったが、一方でグーグルがいつでもサービス内容を変更し、彼らのマッシュアップサイトに広告を表示できる状態を彼らは問題視していた。例えば、アメリカン航空はグーグルマップを使ったフライトトラッカーをウェブサイトに表示しているが、グーグルがそのマッシュアップサイトの広告枠をユナイテッド航空に販売することだってできる。サービスが有料化するまで、グーグルがそうすることをアメリカン航空側が止めることはできなかった。