世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事

世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事

世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事

 

この本のアマゾンレビューを読むと、なぜこの世からインチキ健康法やエセ科学(およびその信奉者)がなくならないのかを深く理解できます。

 

数多くの信頼できる研究によって本当に健康に良い(=脳卒中心筋梗塞、がんなどのリスクを下げる)と現在考えられている食品は、

  1. 野菜と果物(フルーツジュース、じゃがいもは含まない)
  2. 茶色い炭水化物
  3. オリーブオイル
  4. ナッツ類

逆に、健康に悪いと考えられているのは、

  1. 赤い肉(牛肉や豚肉のこと。鶏肉は含まない。ハムやソーセージなどの加工肉は特に体に悪い)
  2. 白い炭水化物
  3. バターなどの飽和脂肪酸
  • 茶色い炭水化物とは、玄米、蕎麦(そば粉の含有量が多くて小麦の割合が少ないもの)、全粒粉を使った茶色いパンなど、精製されていない炭水化物のこと
  • 白い炭水化物とは、白米、うどん、パスタ、小麦粉を使った白いパンなどの精製された炭水化物
  • 茶色い炭水化物は食物繊維の量が多く、白い炭水化物は食物繊維の量が少ない。そして、極限まで食物繊維の量を少なくしたものが砂糖などの糖である

シリコンバレー式自分を変える最強の食事・・・この本で説明されている内容の多くが科学的根拠に基づかない・・・たくさんお金を使ったことと正しい食事内容であるかどうかは全く別問題である。

シリコンバレー式 自分を変える最強の食事

シリコンバレー式 自分を変える最強の食事

 

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  • じゃがいもはこの分類では野菜ではなく、白い炭水化物・・・糖尿病や肥満のリスクと関連があることが研究で示されているから
  • ナッツ類とは・・・アーモンド、くるみ、カシューナッツ・・・ピーナッツは、きのみではなく豆の一種であるが、最近の研究ではピーナッツもその他のきのみと同様に健康に良いことがわかってきている

イェール大学予防医学センターのデイビッド・カッツは、これらは「食品中の成分に気を取られすぎたため、逆に本当に栄養のある食品を摂取しなくなってしまうという失敗」であると警鐘を鳴らす。実際に果物の中の果糖を抽出して摂取すれば血糖値はすごく上がるものの、果物を丸ごと食べれば血糖値はそれほど上がらない

食品を成分の集合体として飲み捉える考え方を栄養至上主義(ニュートリショニズム)と呼ぶ。・・・「成分」は多くの消費者の興味を引きつけるため、マーケティングに使われているということを忘れてはいけない。

βカロテンを含んだ飲料は健康に良くなく、むしろ有害である可能性が高いことがわかってきた・・・βカロテン(+ビタミンA)は肺がんを予防するどころか、むしろ肺癌のリスクを上昇させることが明らかに・・・健康被害は男性よりも女性の方が大きい可能性が明らかになっている。・・・βカロテンのサプリメント摂取は、膀胱がんの発症率を約50%高め、喫煙者では肺がんトイガンのリスクを10~20%増加させると報告されている。・・・緑黄色野菜の摂取は病気のリスクを下げるものの、そこから抽出されたβカロテンという成分を摂取すると健康になるどころか、むしろ病気のリスクを上げてしまう可能性があるということである。

リコピンが体に良いというエビデンスはない。・・・健康を維持するために重要なことは、βカロテンやリコピンに惑わされて特定の野菜を集中的に食べることではなく、いろいろな種類の野菜や果物を毎日たくさん食べ続けることなのである。

ハーバード公衆衛生大学院の研究者たちは、食事でダイエットしようとしている人たちがカロリーにばかり注目していることに警鐘を鳴らしている。・・・ダイエットにとって摂取するカロリーの量と同じくらい重要なのは、その質である・・・被験者を低脂肪食と高脂肪食に無作為に割り付けたランダム化比較試験の結果、低脂肪食を食べていた人も、高脂肪食を食べていた人も体重の変化に差がないことが明らかになった。

炭水化物の摂取量が少ない人のほうが体重が減っていることはランダム化比較試験で報告されている。しかし、重要なのは炭水化物の量ではなく、どのような炭水化物を摂取するかである・・・白い炭水化物は体重増加につながる・・・玄米や蕎麦のような茶色い炭水化物を食べても体重は増えない

バナナやリンゴなどのいわゆる糖質の多い果物・・・種類にかかわらず果物の多くはデイエットによいと考えてもよいだろう・・・これは観察研究の結果であるので、因果関係があるかどうかは明らかではない

 糖質制限食の最大の問題点は、炭水化物を減らした分、代わりに何を食べるかに関して、しばしば間違った指導が行われているということである。・・・赤い肉を食べている人ほど体重が増えている・・・仮に体重を減らすことができたとしても、赤い肉を沢山食べると、動脈硬化が進んで脳卒中になりやすくなったり、大腸がんのリスクを上げることになる・・・食事だけでなく、運動量、睡眠、ストレスのレベルも体重に影響を与えていることが示唆されている。・・・極端な炭水化物制限の健康に他する長期的な影響はまだわかっておらず、心臓病などのリスクが上る可能性も疑われている

日本食が健康によいというエビデンスは弱い・・・塩分と白い炭水化物の量は欧米の食事よりもかなり多い・・・地中海食は健康に良いというエビデンスが複数ある。・・・オリーブオイル、ナッツ類、魚など

チョコレートに関して一番良くわかっているのは、高血圧の患者の血圧を下げる作用がある・・・チョコレートそのものの摂取量を見ているわけではなく、ポリフェノールの一種であるフラボノールやカカオニブ由来の食物繊維の効果を見ているものも多い。・・・体に悪い砂糖も多く含まれるため、・・・マイナスの影響があることもあり得る。

1日の果物の摂取量が1単位増えるごとに、全死亡率は6%減り、野菜の摂取量が1単位増えると死亡率は5%減るとされている。・・・1日の摂取量が5単位を超えると、それ以上摂取量が増えても死亡率は変わらなくなる。・・・心筋梗塞脳卒中などの疾患によって死亡する確率は、野菜や果物の摂取量が1単位フエルト4%下がり、糖尿病の発症率も果物をほどほどに食べている人のほうが低いと報告されている。

野菜や果物を食べるとがんは減るのだろうか。実はがんの予防効果は余り期待できない。食道がんに関してはリスクが下がる可能性が示唆されているが、あまり強くないエビデンス・・・

フルーツジュースを多く飲んでいる人ほど逆に糖尿病のリスクが高い・・・1週間あたり3単位のフルーツジュースを摂取している人は、糖尿病のリスクが8%高かった。・・・果物を食べれば血糖値を上げる果糖が含まれるものの、同時に血糖値の上昇を抑えてくれる食物繊維もとっていることになる。一方で、フルーツジュースは加藤のみを摂取していることになるので(水溶性の食物繊維は含まれるが、不溶性の食物繊維の多くは加工過程で取り除かれてしまうと考えられている)、血糖値が上がって糖尿病のリスクが上昇するのではないかと考えられている。

多くの専門家は食物繊維はサプリメントで取るよりも食事でとったほうが良いと考えている。・・・成分で考えるのではなく、食品まるごとで考えることが、健康的な食事をするためには重要だということだろう。

野菜ジュースが健康に良い影響があるというエビデンスはない。・・・健康のことを考えているのであれば、野菜ジュースではなく加工されていい野菜を積極的に摂取するほうが良いだろう。

オーガニック食材は一般の食材と比べて、栄養価は変わらない。微量(ぎりぎり検出可能なレベル)の残留農薬を認める確率はオーガニック食材のほうが低い。しかし、通常の成人であれば一般の食材から摂取される残留農薬の量は許容摂取量よりも低く、健康被害を起こすレベルではないと考えられる。病遠征大腸菌に汚染されている確率は一般の食材と差がない。冬場にオーガニックの肉を摂取することでカンピロバクターによる食中毒にかかるリスクが約7倍になる。

オメガ3脂肪酸の摂取は、心筋梗塞など動脈硬化による病気の再発を予防してくれるという傾向を示している。・・・魚をたくさん食べると乳がんのリスクが下がる・・・魚の摂取は、大腸がんや肺がんのリスクを下げる・・・胃がんのリスクは下がらない・・

魚には、水銀、PCB、ダイオキシン等の有害物質も含まれている・・・しかしこれらの少量の有毒物質が含まれていることが心配だから、魚を控えるというのは得策ではない・・・PCBによって生じるがんによって24名の生命が奪われる一方で心臓病のリスクを下げることで7000人の命が助かるとされている。さらにはPCBなどの有毒物質は肉、牛乳、卵などにも含まれており、魚だけに多く含まれているわけではない

 

アメリカ農務省の推奨では、食事ごとに乳製品を摂取するようにとされているが、ハーバードの研究者達によるとこの推奨は科学的根拠に裏付けられたものではないという。彼らは、1日あたり1~2単位(牛乳だとコップ1~2杯、ヨーグルトだと170~450g)を上限(推奨量ではない)とするようにアドバイスしており、乳製品のとりすぎは前立腺がんや卵巣がんのリスクを上げる可能性が過去の研究より示唆されいてるからであるとしている。

色々な省庁で健康的な食事に関する情報が開示されているが、それらも関連業界の政治的なロビイングの影響を受けている可能性があることを理解しておく必要がある

ヨーグルトの摂取量が多い人ほど糖尿病の発生率が低くなる可能性を示唆・・・大人に関しては、乳製品の摂取量は程々にすることが望ましい

日本人は何事も食べすぎなければ大丈夫という曖昧な結論に持っていきたがる傾向があるが、残念ながら、日本人が大好きな白米は「少量でも体に悪い」・・・白米の摂取量が1杯増える事に糖尿病になるリスクが11%増えるとされた。・・・日本人においても白米の摂取量が多ければ多いほど糖尿病になる可能性が高い。

グルテンフリーで健康になれるというエビデンスはない。(セリアック病の患者は例外・・・日本人にはかなりまれな病気)

日本人の塩分摂取量が、ハンバーガーやピザなど「不健康な食事の代表」のような食事をしているアメリカ人の塩分摂取量よりも多い・・・日本人の1日あたりの塩分摂取量は12.4gであり、世界平均の10.1gやアメリカの9.1gと比べても20%以上も多かったのだ。

余分な塩分は腎臓から尿中に排泄されるのだが、塩分摂取量が多すぎると腎臓で処理しきれなくなってしまい、余分な塩分が体内に蓄積されるようになる。そうすると血液に浸透圧が高くなり、人間の脳はそれを薄めようとして「のどが渇いているので水を飲め」という指令を出すようになる。これは生理的な反応であるため強い意志を持って水を飲まないということは不可能である。ちなみに、海で遭難した場合に死を早めてしまうので海水を飲んではいけないと言われているのも同じ理由からである。このような生理的な反応の結果、人は水を飲み、体の中をめぐる血液の量は多くなる。・・・体を巡る血液の量が増えると血管にかかる圧、つまり血圧が高くなってしまう。

高血圧・・・血管が少しずつダメージを受け、動脈硬化が起こり、いずれは血管が詰まって脳卒中心筋梗塞を引き起こしてしまう。・・・カリウムを多く含む野菜や果物は血圧を下げてくれるとされている。・・・腎臓が悪い人にとってカリウムのとりすぎは危険である。血液中のカリウムが多くなって心臓の不整脈を起こすリスクがあるのだ。

加工肉の場合、1日あたりの摂取量が50g増えるごとに、大腸がんのリスクは18%増加すると報告されている。赤い肉の場合、1日100g摂取するごとに大腸がんのリスクが17%増加するとされた。・・・日本食肉加工協会など・・・加工肉に対する信頼を揺るがしかねないとの声明を出した。もちろん関連業界は売上に大きな影響を与えるので反対せざるを得ないだろう。・・・加工肉の摂取量が多くなるほど、全死亡率、脳卒中心筋梗塞など動脈硬化による死亡率、がんによる死亡率がいずれも上昇することが明らかになっている。

食事中のコレステロールの量と、血液中の悪玉コレステロールの値の間には弱い相関しかないことが明らかになった。・・・コレステロールを多く含む食事をしても健康に悪影響がないことは全くの別問題・・・卵を1日1個以上食べるグループは、ほとんど卵を食べない(1週間に1個未満)グループと比べると、2型糖尿病を発症するリスクが42%高い。・・・卵の摂取量が1週間に6個までであれば心不全のリスクは上昇していなかった。

人工甘味料がカラダに悪いのかに関しては、科学の世界では実はまだ結論は出ていない。・・・糖分を人工甘味料に置き換える食生活は減量に関しては有効である・・・ダイエット飲料の摂取によって脳卒中認知症になるリスクが上がることが示唆されている。しかし、この研究結果は実は因果関係はないのではないかと議論が行われている。・・・ダイエット飲料や人工甘味料の健康への影響に関しては、あまりよくわかっていないというのが現状・・・過信するのではなく、体への悪影響の可能性が否定できていないので、できるだけ控えめに飲むことをおすすめする。

血糖値にとって大敵なのは、白い炭水化物と糖分である。・・・赤い肉や脂質をたくさん摂取したら、血糖値は下がるかもしれないが、心筋梗塞や大腸がんなどのリスクが高まってしまう。・・・数字合わせで血糖値のデータを良好に保っても意味がない。

妊娠中の女性・・・果物と野菜をたっぷり食べること・・・葉酸は、胎児の神経管閉塞障害のリスクを下げてくれるので必須・・・特に妊娠初期に十分な葉酸をとっていることが重要・・・たんぱく質も重要である。・・・魚の脂を摂取することで、生まれてくる子供の喘息や糖尿病のリスクが下がるという報告もある。ただし、魚の種類によっては水銀が含まれるので、できるだけ水銀の少ない魚が良い。食物連鎖が上になるほど水銀は蓄積されるとされている。

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生物はもちろん妊娠中は厳禁である。食中毒や寄生虫感染を起こす可能性がある・・・生野菜にはトキソプラズマと呼ばれる寄生虫がついていることがあるので、生野菜はしっかり洗って食べるか、火を通してから食べるように・・・妊娠中にたんぱく質を取りすぎるのは良くないという報告もある。・・・カロリー摂取量のうちたんぱく質の割合を控えめに25%未満にした場合、死産や胎内発育遅延のリスクが下がったという報告がある。

信頼のおける医療サイト

www.who.int

ハーバード公衆衛生大学院

https://www.hsph.harvard.edu

メイヨークリニック

www.mayoclinic.org

 WebMD

www.webmd.com