イーロン・マスク 未来を創る男

 インターネットとか財務とか法務に詳しい賢い人間が多すぎると思うんだ。そういうことも、イノベーションがじゃんじゃん生まれてこない理由なんじゃないかな

ドットコムバブル崩壊後、2002年にグーグルが一気に力をつけるが、これは例外中の例外だった。グーグルの出現以降、2007年にアップルがiPhoneを発売するまでは、IT業界は次々と企業が生まれては消えるゴミ捨て場状態だった。

ジェフ・ハマーバッカーは「同世代の賢そうな連中はみな、どうしたら広告をクリックしてもらえるしか考えていない。本当にろくでもない」

社会的に意味のある世界観

マスクのお気に入りはコスプレパーティーだ。騎士の出で立ちで現れ、ダース・ベイダーを相手に剣代わりのパラソルを手に決闘するパフォーマンスを披露したこともある。

SF作家ダグラス・アダムスの銀河ヒッチハイクガイドを読んで、あるSF的な言葉に大いに感銘を受けた・・・「本の中で『本当に難しいのは、何を問えばいいのかを見つけることだ』とアダムスは指摘している。つまり問いが見つかりさえすれば、答えを出すのは比較的簡単なんだ。そして、質問したいことをしっかりと理解するには、人間の意識の範囲と規模を広げることが大切だという結論に達した」

ティーン・エイジャーのマスクがたどり着いたのは、論理的すぎるほどの使命だった。「唯一、人生において意味のあることといえば、啓蒙による人類全体の底上げに努力することだ」

銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

銀河ヒッチハイク・ガイド (河出文庫)

 

勉強以外は、キンバル(弟)と新聞を読む時間が多かった。会ってみたい人を探すのが目的だった。新聞で面白そうな人を見つけては、いきなり電話して「ランチをご一緒したい」と申し出るのだ。

食事を取らなくても済む方法があれば、もっと仕事ができる。いちいち食卓につかなくても栄養を摂取できる方法があればいいんだけど・・・あの歳であれだけの労働感や強い思いを持つのは普通ではないですよね。そんな話、聞いたことがなかったですから。

何かに熱中し始めると、誰よりも深くのめり込んでいく。そこがマスクらしさの源泉なのだ。

コンピュータゲームは大好きだけど、自分で素晴らしいゲームを開発できたとして、それが世界にどれほどの影響力を持つのか冷静に考えてみた。まあ、大したことはないだろうと。心の底から好きなことではあっても、生涯の職業として人生を賭けることはできないと判断したんだ。・・・インターネット、宇宙、再生可能エネルギーの3つの分野こそ、今後、大きな変化を遂げる分野であり、自分が影響力を発揮できる市場だと見ていたのだ。この3分野で夢を追いかけよう。

私は投資家ではない。未来に必要な技術、有益な技術を実現したいだけなんだ。

彼が得た最大の収穫は、「銀行には金があるが、無能な連中ばかり」ということだった。

銀行ときたら、どこも横並びで前例主義。みんなが崖から飛び降りたら、多分慌てて飛び込むような、そういう連中だ。たとえ、そこに金塊が大量に積んであっても、誰も触らなければ自分も触らない。そういう発想なんだろうね。

同じマクラーレンのオーナーのひとりが、オラクルの共同創業者で億万長者でもあるラリーエリソンだ。ある日、マスクがエリソンにメールを送った。出し抜けに、暇つぶしにレース場で自動車レースでもしませんかとの誘いだったという。同じく大金持ちでスピード狂のジムクラークがマスクの誘いに乗り、すぐに近所のフェラーリのディーラーに駆けつけ、マスクに対抗できそうな車をその場で買っていったという話もある。

伝説の名車…アクセルを一気に踏み込み車線を変えたところ、車はスピンして道路の縁石に衝突、そのはずみで宙に浮きあがった。窓ガラスは粉々になり、タイヤも破裂。…何が笑っちゃうってさぁ、俺、保険に入ってないんだよね。

2000年3月、異常な浪費合戦を繰り広げてきたX.comとコンフィニティが我に返り、むしろ手を結んだほうがいいのではないかと気づく。

ダンス中にマスクがジャスティンを引き寄せ、この夫婦のボスは僕だ、と告げたのである。…彼はいつも私の至らない点について何か言ってくる。そのたびにちょっとぉ、私はあなたの妻よ。部下じゃないのよと言い返す。すると、君が部下なら、とっくにクビだよと何度言われたことか。

順当に考えれば次は太陽光だが、商売になるのかわからないと言うんです。と思ったら、今度は宇宙の話が始まって。最初スペース、スペースと連呼するから、オフィスのスペースのことかと思ったんですよ。不動産業でもやるのかと思いました。

例えば会議でどうしてこれを選んだ?と聞かれて、これが一般的ですからなんて答えたら、二度とそんなこと言うんじゃねえって、その場で会議室からつまみ出されますよ。そうやってボコボコにしますけど、すぐにクビにしないのであれば、信頼できる社員かどうかを試してるんですよ。自分と同じくらい型破りな人間か知りたいんです。

携帯電話を取り出し、こういうのをやっているんだと言いながら、ファルコン1とロードスターの写真を見せる。だがライリーは、彼がプロジェクトの一員として何らかの作業に関わっただけで、まさか両方の会社を持っている経営者だとは思わなかった。

マスクと出会ったあと、彼女は実家に電話し、ロケットや自動車を作っている面白い男性と知り合ったと伝えた。当時英国の重大組織犯罪局の幹部を努めていた父親は、いつもの癖で、さっそく男の素性をコンピュータで調べてみた。国際的なプレイボーイで既婚、五人の子持ちと表示された。

突然彼が帰らないでくれ。結婚してほしいって言うんです。あまりに唐突なので吹き出しちゃったんですよ。そうしたら、違う、真剣なんだ。申し訳ない、指輪も持ってきてないのにと。それであなたさえ良ければ、握手でいいわよと答えたんです。そこで握手しました。

多分母はノイローゼになったと思います。でも私はいつも恋愛に心をときめかせていたかったし、そんなにおかしなことだとは思いませんでした。

たしか彼は僕と一緒になるということは、苦難の道を選んだことになると言ったんです。そのときはどういう意味なのかわかりませんでしたが、今はよくわかります。本当に苦難の道ですよ。異常っていうほうが正しいかな…。

ファルコンウィングドアだ。スーパーカーでおなじみの跳ね上げ式のガルウィングドアである。ただし、厳密には従来のガルウィングとは違う。ガルウィングは、上方にドアが跳ね上がるため、天井に当たることもある。だが、ファルコンウィングは、上方に跳ね上がる仕組みは同じだが、ドア自体が中央でヒンジで折れ曲がるようになっている。だから、狭いスペースでも楽に開くことができる。

テスラはいわゆる年式という考え方を取り入れていない。マスクが車をモノではなくライフスタイルと捉えている証拠だ。だから2014年式の在庫一掃セールをやって、次の新型を作るというような発想がない。常に最高のモデルSを作り、それを顧客が手にするのである。1年かけて新機能を開発しておき、翌年のニューモデルで大放出するような商法はしない。いい機能が開発できたら、もったいぶらずにすぐに製品に反映する。…テスラの究極のゴールは、一度買ったらサービスセンターに持ってこなくてもいいようにすることだ。

ピーターティール「彼の成功は、微々たる改善の繰り返しに甘んじている我々への批判と見ることもできるのではないでしょうか。」

太陽光、自動車、宇宙と、いずれの業界も、未だに既存勢力を守ろうとする規制と煩雑な手続きにまみれている。こうした業界の関係者から見れば、ひたすら純粋に技術を追い求めるマスクは、あまり関わりたくない人間だし、仮に市場に入ってきても目障りな存在か大ボラ吹きと映ることだろう。既存勢力は、政界とのパイプを駆使して、マスクの企業の足を引っ張ることに躍起になっていた。とにかくこういうことは得意な連中なのだ。

ピーターティール「一番驚いたのは、野心あふれる優秀な人材を見つけ出しては入社させてしまう彼の才能です。宇宙産業でトップレベルの頭脳集団が彼のもとで働いている。テスラも同じです。本当に機械工学の才能があって車づくりに興味があるなら、絶対テスラに行くべきです。これまでにない面白いことができる場所は、全米でもあの会社しかないのですから。スペースXもテスラも、有能な人材の実力を極限まで引き出し、素晴らしい成果を上げるというビジョンを掲げています。」

ジョブズと同じで、イーロンも三流、四流の人間が苦手なんです。ただ、ジョブズより人間性は上だし、ビル・ゲイツよりも洗練されていますよ。

マスクのプロジェクトには、様々なテクノロジー企業が投資しているが、実は、どこよりも多額の資金を投じているのがグーグルだ。…ラリーペイジ…どうして大したこともしていない会社に自分の時間を捧げているんですかね。…資産を彼に託すつもりはありませんよ。でも、複数の惑星感に広がった社会に道を開いてくれるような気がします。…素晴らしいアイデアはいつもクレイジーです。クレイジーじゃなくなったらつまらない証拠…よく知らないことに対する人間の洞察力なんて、大したことがないんだなと悟りました。イーロンがよく言うことですが、何ごとも原点に立ち返って取り組まなければいけないんです。…何が可能で、どこが面白いのか判断するのには、工学や物理学の分野でそれなりの知識が必要ですが、イーロンはそこが傑出しています。…スペースXもテスラもリスクの大きなビジネスだと思いますが、イーロンはそんなことを気にせずに実現します。身を削ることも厭わない。だからこそ成功の可能性も高いのだと思います。彼が会社を始めた頃、成功確率は90%だと言っていました。他人がクレイジーだと思うようなことでも、本当に情熱を持って取り組めば成功できる好例です。 

イーロン・マスク 未来を創る男

イーロン・マスク 未来を創る男

 

 

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