数学が分かるということ 食うものと食われるものの数学

 数学の試験を、よくよく準備して受けに行ったと思ってください。試験の部屋に入ります。問題を見ます。「アッ!これはできるぞ」と思い、一生懸命答案を書く。よく注意して、一つ一つ確かめながら、今までに習ったやり方や方法を使って書き終えます。これで今日のテストは満点に違いないと思って、試験の部屋を出る。
しばらく歩いてその部屋から遠ざかったところで、今書いたばかりの答案を頭に描いているうちに、「アッ!しまった」と一つの問題について、答えの誤りに気がつく―この瞬間こそ、その問題そのものと、それに使った方法や原理が分かった、はっきりわかった! という瞬間なのだ。

数学が分かるということ 食うものと食われるものの数学 (ちくま学芸文庫)

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