数学的にありえない

 科学はかつて革命的なものだった。貧乏な天才たちが地下室にこもり、24時間休むことなく研究を続けることで築き上げてきた。彼らにはなぜそこまでの情熱があったのか?それは、彼らには分かっていたからだ。この宇宙を支配している理論が、周囲の人々が信じている理論とは違っているという確信があったんだよ。彼らにはヴィジョンがあった。そして、そのヴィジョンのために戦う勇気を持っていた。

 この教室にいる君たちの多くと同じように、ラプラスも両親の無理解に苦しんでいた。父親は息子を兵士か司祭にしたがっていたんだが、ラプラスは学問の道に進む決心をし、18歳の時にフランスの学問の中心であるパリへ行った。パリでのラプラスが、生計を立てるために陸軍士官学校幾何学を教え始めた。ちなみに、この学校の士官候補生の中には、ナポレオン・ボナパルトという名の少年がいたらしい。たしかその少年は、大きくなってからかなり桁外れなことをしたはずだ。

 確率論は、ダイスを転がしたりとか、コインを投げたりとかいった、いわゆる偶然に起こる出来事に関する学問だ。それに対して統計学は、出生率や死亡率など実際の出来事を計測する学問だ。言い換えれば、確率理論は統計学を予言する方程式を作るために使われるんだ。

数学的にありえない〈上〉 (文春文庫)

数学的にありえない〈上〉 (文春文庫)

 
数学的にありえない〈下〉 (文春文庫)

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数学的にありえない〈上〉

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数学的にありえない〈下〉

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