フェイスブック 若き天才の野望

野心ある天才だというだけでは、成功は出来ない。運も良くなけりゃダメなんだ。ところがマークは幸運も含めてその3つすべてをうんと持っていた。彼は絶好のタイミングで絶好の状況に現れた。しかも他の連中なら、まず大学を卒業することを優先したかもしれないが、マークは自分のやりたいことを見つけた時にまっすぐそれに突進した。


企業のリーダーたるものは、頭の中に決断が枝分かれのツリーになって入っていなければならない。もしこれが起きればこっちへ行く。しかし別のことが起きれば、別のこの方向に行く、という具合にね。マークは本能的にそういうことができた。


非常に優れたリーダーというものは、特にスタートアップの場合、どこでノーというべきかを知っている。明確なビジョンを描いて全員をそれに向けて鼓舞していくことも重要だ。しかし限界を知っていなければならない。とくにプロダクトについては、無謀に手を広げすぎないようにすることが、重要だ。何もかも一時にやるわけにはいかない。マークは当時まだこのことを分かっていなかった。


フェイスブックのオフィスでは、スタッフはユーザーからメールで送られてくる大量のウズラの写真に悩まされていた。ユーザーはザッカ―バーグがトップページの下部に表示した映画「ウェディング・クラッシャーズ」の「ウズラなんてどんな格好しているのか見たこともないぜ」というセリフに反応しているのだった。


写真のタグの利用が急成長するのを見て、我々は[あ、これだ]と思った。これによってソーシャルグラフが情報の配信システムとして極めて有効だということを初めて知った。この配信メカニズムは人々の間の関係を利用している。


2種類のアイデンティティーを持つことは、不誠実さの見本だ。現代社会の透明性は、一人が二つのアイデンティティーを持つことを許さない。

 

近代経営における偉大な理論家であるゲーリー・ハメルは、変化を不可避と捉えている「現在ウェブで起きているソーシャル化という変容は、我々の大小さまざまな組織に対する考え方を根底から変えるだろう」


ハメルは、歴史上彼が言うところの「人間の能力を集約し増強する」方法は基本的に2通りしかないという。官僚制と市場である。「そしてこの10年の間にネットワークという3番目の存在が現れた。それは我々が複雑な仕事を一緒に行う手助けをする、と同時に誰の声を聞かせるかを決めるエリートの権力を破壊する」この矛盾に効果的に対処できた企業はほとんどない。


戦略コンサルタントのジョン・ヘーゲルが言う。「企業は個人が面しているのと同じ問題に面している。それは透明性とオープン性の適正な度合いである。しかし、一般に個人は組織に比べてより迅速に動き、より適切な社会習慣を身につけていく。

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)

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