漫画202004

ウシジマくんほどエグ・グロくなく、死役所みたいに淡々と、それが逆にゾッとする。

おっさんが殴り合ってるだけなのに面白い漫画。芝原強すぎぃ!

ドラマで頻出する「小賢しい」とかの表現や後半の展開にやや違和感を覚えていた勢としては、原作を読んで非常に納得感がありました。ドラマも名作ですが、物語としての完成度は漫画のほうが上だと思います。

8-9巻での完結が見えてきましたね。

アニメも好評、どのEPが何巻かまったくわかりませんが、羅砂ちゃん派の僕には嬉しいサプライズがありました。仕事場遍歴も面白いです。

相変わらず面白いですが、万人受けしない作風にセガ魂を感じる

最初から最後までめちゃくちゃ。検事長の賭け麻雀で作品に追い風か?笑

日常系でずっとアホやるのかと思ったら、しっかりとストーリー進めたのが意外でした。次回で完結おめでとうございます。

バトルシーンはもう少し軽めにしていってもいいような気がします。必殺技とかないので、同じような展開になりがちですし。

漫画を大量に買うなら、豪邸に住んでいない限りkindle一択です。無印kindleは容量と解像度に問題があるので。Paperwhiteがおすすめです。

  

佐々木敏の栄養データはこう読む!

  • 動物性の脂は総じて血液中のコレステロールを上げます。でも、それはコレステロールが含まれているからというよりも、飽和脂肪酸が多くて不飽和脂肪酸が少ないからという理由のほうが大きいようです。
  • コレステロール・ゼロ」と書かれた(しかもかなり大きく)植物油のラベルに見覚
    えのある人はいませんか? 誤りではありませんが、「ほかの製品(植物油)にはコレステロールが入っているけれど、この製品には(特別に)入っていないから健康によいのだ」という誤解を消費者に与えてしまいそうで、少し心配です。
  • 揚げ物の揚げ油ではコレステロールは上がらないと考えてよいみたいです。日本人がよく使う種類の揚げ油なら、血液中のコレステロールは上がりません。とはいえ、あくまでも、揚げ物も含めた食事全体の総エネルギー (カロリー)は一定という条件つきです。揚げ物に限らず食べすぎは肥満を招き、肥満は血液中のコレステロールを上げる方向に働きます。肥満を防ぐためにも野菜たっぷり。は基本と考えたいところです。
www.ncbi.nlm.nih.gov

f:id:yamanatan:20200405202431p:plain

トランス型脂肪酸の化学
  • 脂質(あぶら)は脂肪酸でできています。脂肪酸は炭素を背骨に持つ鎖状の物質です。通常、脂肪酸の炭素同士は互いに1本の結合の手を出し合って結合しています。
  • でも、ときどき結合の手を2本出し合っている場合があります。それぞれ飽和結合、不飽和結合(二重結合)と呼んでいます。不飽和結合が一つでもあれば不飽和脂肪酸、すべて飽和結合ならば飽和脂肪酸です。さらに、不飽和結合の前後の炭素のつながり方は図1のように2種類あります。不飽和結合のところで背骨が折れ曲がるタイプがシス型結合、まっすぐなタイプがトランス型結合です。食品に含まれる脂肪酸の不飽和結合はシス型がほとんどで、トランス型結合の多くは、シス
    型の不飽和脂肪酸を使って工業的にマーガリンやショートニングなどの加工油脂を作るさいにできるもののようです。ほかには、牛乳や牛などの反芻動物の脂にもともと少しだけ含まれています。
  • 興味深いことに、人の体はシス型の不飽和結合しか不飽和結合だと認識しません。そのため、トランス型脂肪酸不飽和脂肪酸としての働かず、むしろ、飽和脂肪酸に近い影響を体に与えると考えられます。さらに、この影響は工業的に作られたトランス型脂肪酸で特に顕著なようです。
飽和脂肪酸との比較

www.ncbi.nlm.nih.gov

www.ncbi.nlm.nih.gov

www.ncbi.nlm.nih.gov

www.jstage.jst.go.jp

 
  • 腐敗の原因となる微生物の多くは、極端な低温や高温では活動できません。しかし、加熱すれば食品そのものが変質してしまいますから、冷やす、つまり冷蔵または冷凍して保存することが、塩を使わない最も確実な食品保存の方法であるわけです。
  • 冷蔵庫がわが国の一般家庭に普及し始めたのは1960年ごろです(図2)。そして、1年には9割の家庭に普及し、8年には3%に達しています。つまり、われわれが日常的に冷蔵庫で食べ物を保存し始めてからまだ半世紀にも満たないわけで、これは、人類の歴史から見れば、ごく最近というべきでしょう。このように、「塩」は、食品を腐敗から守ることによって人類を食中毒から守ってくれていたとてもありがたいものだったのです。なお、「微生物から水を奪う」という点では、乾燥や砂糖漬けなども同じ原理です。

 

  • 生活習慣病対策のために世界全体がとるべき5つのアクション
  • タバコ、食塩、肥満・不健康な食事・運動不足、有害飲酒、心血管系疾患のリスクの低下 

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

f:id:yamanatan:20200605182438p:plain

ノーソルト・カルチャー

  • われわれ日本人には信じがたいことですが、食塩をほとんど使わない民族の存在が世界で数か所知られています。不思議なことには、アマゾン河上流域の熱帯雨林のなかなど、すべて熱帯に住んでいます。蒸し暑い気候で汗をたくさんかくため、相当量の食塩が必要なのではないかと考えがちですが、これは誤りのようで、食料を長期保存する必要がなかったからという理由のほうが確からしそうです。調味には、食塩の代わりに灰を使うそうです。灰はカリウムが豊富で、カリウムはナトリウムとは逆に高血圧を予防してくれるミネラルです。驚くことに、彼らの血圧は一生を通じてほとんど変わらず(加齢に伴う血圧上昇はなく)(図3)、その結果、高血圧の人はほとんどいません。

日本人にとってとりにくいカリウム。どんな食品からもとることができますが、少しだけくふうが必要です。

  • 野菜を水に浸すと、カリウムは水溶性なので、水に溶けだします。
  • 野菜はていねいに皮をむいて、さいの目や薄切りにしてゆでる習慣が日本にはあります。その結果、表面積が増えてさらに(カリウムは)とけ出しやすくなるでしょう。葉物はゆで汁からあげて水にとり、しっかりと絞ったりもします。これでまた、少しだけカリウムが減ります。そして、ここが最大の問題なのですが、ゆで汁を捨てる特徴があります。一方、西洋の家庭料理では、トマトソースやラタトゥイユのように、煮汁ごと食べてしまうのが一般的ではないでしょうか。
  • 食べたものを調べる食事調査では、なにを(どの食品を)どのくらい(何g)食べたかを尋ねますが、調理法は、その調理時間は、ゆで汁は、というところまで考慮して調査を行なうのは至難の業です。結局、調理をして食べたのに生の値で計算したり、ある決まった調理法を使ったと仮定して集計せざるをえないのが実状のようです。食事調査によって得られた摂取量と、蓄尿によって得られた排泄量との乖離が日本人で目立つのは、「日本人の調理方法がきめ細やかすぎて食事調査の限界を上まわってしまっている」ためかもしれない……ぼくはこのようににらんでいます。
  • ということは、日本人はせっかくかなりの量の野菜を食べているにもかかわらず、カリウムを有効に摂取していないことになります。ていねいに皮をむく、面をとる、ゆで汁を捨てるなどは日本料理のきちょうめんさ、美しさ、味の繊細さを示す誇るべき調理技術だと思います。でも、カリウムを摂取するためには、もう少し大ざっぱなほうがよいみたいです。
  • 日本人のカリウム摂取量は世界の中ではやや少なめ・・・野菜を丁寧に調理したり、お米など穀物を精製すると減ってしまったりと、日本人の調理習慣と食の好みから考えるとなかなか難しい課題を抱えている栄養素でもあるようです。
  • 首都コペンハーゲンに住むおよそ1万3000人の人たちにお願いをして、最もよく飲むお酒の種類とその頻度を尋ねておき、その後、約1年間にわたって総死亡率を調べ上げました典る。 お酒を飲まない人の死亡率に比べた相対的な値として示したのが図2です。三つの曲線は、それぞビール、ワイン、蒸留酒(ウイスキーなど)を表わしています。結果は、「ワインをたくさん飲んでいた人ほど死亡率が低く、このような傾向はほかのお酒では認められない」というものでした。「ワインがよいらしい」というこの結果は、世界中の人々を魅了しました。なかでも、赤ワインに含まれるポリフェノールが効用をもたらす物質の候補としてあげられました。ポリフェノールには抗酸化作用があり、動脈硬化を予防し、その結果として心筋梗塞を予防すると考えられたからです。心筋梗塞を中心とする循環器疾患は、生活習慣病の代表であり、総死亡率にも大きな影響を及ぼします。特に、日本に比べて欧米諸国では心筋梗塞が多く、その死亡率が総死亡率を大きく左右します。パラドックスなどではなく、きちんとした理由があったわけです。しかし、事はそう単純ではありませんでした。
  • ワイン好きの人たちが、ビールや蒸留酒好きの人たちよりも野菜と果物をたくさん食べ、赤身肉と油であげた肉の摂取が少ないことが分かります。ここで言う赤身肉とは、牛や豚など哺乳動物の肉を指し、鶏肉は入りません。哺乳動物の肉には飽和脂肪酸が多く、心筋梗塞の原因になることが明らかにされています。一方、野菜とくだものにはカリウムというミネラルが豊富で、血圧を下げることによって、心筋梗塞の予防効果が期待されます。つまり、ワイン好きの人たちは、ひょっとすると、ワインによってと言うよりも、食べ物の結果として健康を保っていたのかもしれないという考えが浮かんできました。

「お酒≒アルコール」と考えるべき

  • アルコール(化学物質としての名前はエタノール)には、動脈のなかで血液がかたまってしまうのを防ぐ働きがあります。抗凝固作用と呼ばれます。心臓の筋肉に血液を送っている冠動脈のなかで血液がかたまり、冠動脈が詰まるのが心筋梗塞という病気ですから、お酒はその種類を問わず、心筋梗塞を予防してくれます。脳卒中の一種であり、脳のなかの動脈で血液がかたまり、脳のなかの動脈が詰まってしまう脳梗塞も同じです。ワインのなかの不思議な物質よりも、アルコール自体の作用によるところが大きいと解釈されるようです。その証拠として、お酒の種類にかかわらず、飲酒習慣のある人はない人よりも心筋梗塞脳卒中の発症率が低いことが世界中で観察されています。
  • さて、週末にはどのお酒をいただきましょうか。健康のためには、お酒の種類ではなくて、どんな料理といっしょにいただくかに気を配るのが正解のようです。今回は登場しなかったのですが、こう考えると、日本酒はかなりおすすめかもしれません。ところで、今回のお話で「地中海食」や「オリーブオイル」のことを思い浮かべたかたがいるかもしれません。飲むお酒の種類によって健康に差が出るわけではありません。

「ビールだけ避ける」はちょっと的外れ

  • ビール好きにとって気になるのが、痛風→尿酸→プリン体、です。でも、痛風高尿酸血症への影響は、プリン体よりもアルコール(エタノール)のほうが大きく、プリン体をカットしてもアルコールをカットしない限り、根本的な解決にはなりません。さらに、プリン体はビールだけでなく、魚介類や肉類にも含まれていて、これらの食べすぎも原因になるようです。ほどほどのお酒と、魚介類や肉類に偏らない食べ方がカギのようです。
 目の前の高血糖対策にとらわれすぎて生涯の合併症予防をおろそかにしてはならない。
  • 糖尿病の怖さは目の前の高血糖よりも、長い年月をかけてじわじわと忍び寄ってくる合併症にあります。健康な人に比べて心筋梗塞脳卒中といった循環器疾患にかなりかかりやすいということに加えて、目が不自由になる(網膜症)、腎臓が働かなくなる(腎症)、足などの皮膚感覚が鈍くなり切断にも至る(神経症)という三大合併症があります。もう一つ怖いのが低血糖発作です。意識不明に陥ることもあり、放置すればたいへんな事態になります。糖尿病は、「血糖値を下げればそれでよい」といった単純なものではなく、じつはとても複雑な病気なのです。

漫画202003

無声いいですね、新しい発見でした。デコピンはやりすぎ。4点

アニメも面白いと思うんですけど、あんまり評判がよくないですね。本編もマンネリにならないように工夫がされていて、悪くないと思うんですが・・・。いよいよ風呂敷を畳み始めたのでしょうか。30巻くらいを目標に頑張って欲しいです。こういうジャンルはやりっぱなしになりがちなので、しっかりと終わらせることがまず大事です。3点

オリジナリティがないと結局ギルドでダンジョン探索話になっちゃうのね。虚無。2点

トニカクカワイイ、アニメ化おめでとう!

websunday.net

いよいよ前半の前半の最大の山場ですね。かなりサクサク進めてると思うんですけど、フルに完結させるにはどのくらいかかるんでしょうね。ざっくり80巻くらい?個人的に藤崎版で気になるのって、マリーンドルフの存在感が(現段階では)やや薄いことです。「ついに自由な裁量で戦えることになるヤン提督」って、色々と示唆的ですよね。

話が進まない。テンポが悪くなってきた。

まじで終わる気配がない。そして救いもない。どうやって終わらせるのか検討もつかない。

漫画を大量に買うなら、豪邸に住んでいない限りkindle一択です。無印kindleは容量と解像度に問題があるので。Paperwhiteがおすすめです。

  

ファインマン流 物理がわかるコツ 増補版

  • 第二の原則は、理解できるはずのものと、それまでに教えたことからは理解できないはずのものとの区別をはっきりさせなければならないということ。というのは、いろんな本でよく見かけるのは、たとえば交流回路の周波数に関連した公式を突然、ポンと出す。この公式の話はもっと進んだ内容のもののはずだ。かれらはそれを今のレベルの話の中で導出することはできない。にもかかわらず、”君らが今まで習ってきた知識のレベルではこの公式を論理的に理解できないだろうから、ここでは天から与えられたものだと思うように”とは言わない。
  • 言い換えれば、何が天下りのもので、何がそうでないのか、そのことを断りつつ、それについてはここでは掘り下げないと、はっきり言うべきだ。僕はいつもこう言う。”これは、こんなことから導きだすことができるのだけど、ここではそこからやって見せることはしなかったよ”と。あるいは、”これはまったく別のことから出てくる話で、ここで君たちが導きだすことはできないんだ。だから心配しなくていいよ”とね。
  • 僕には考えがあった。僕には一種の信条のようなもの、すなわちいくつかの原則があったのだ。まず、後になってあれは間違っていたからと言って、教え直すようなことは、最初からこれは間違いだけどと断っておく。その場合以外は教えない。たとえば、ニュートンの法則は近似でしかなくて量子力学的には間違っているし、相対性理論にも合わないとなれば、僕はそれを最初に言うことから始める。そして、学生たちが一連の話のどこの部分を講義として聞いているのかがわかるようにする。言い換えれば一種の地図のようなものがなければならない。実際のところ僕は、物事の相関関係を表わしたある種の巨大な地図のようなものを作って、僕らが今どの位置にいるのかがわかるようにすることまで考えたことがある。
  • 物理を学習するコースにおけるトラブルの1つは、教えるほうがよく言うセリフにある、ともかくこれをよく勉強しなさい、それからあれもよく勉強しなさい、そういった勉強が全部終了したら、全体のつながりが見えてくるよ、というセリフだ。
  • しかし“何がなんだか訳がわからなくなっている者のために案内してくれる"地図はない。だから、僕は地図を作ってみようと思った。でも、それは不可能な計画だった。結局、そんな地図は作れなかったんだ。
  • もう1つ、僕はね、自分の講義は、講義の中に優秀な学生にはよく噛んで味わいたくなるような内容があり、一方、一般的な学生にはすぐわからなくても、できれば理解してほしい内容を含んだもの、そういうものにしたかった、そういうのをなんとか考え出そうとしたんだ。

漫画202002

本編終わったら、それぞれのキャラの過去を丹念に掘り下げてほしい。5点

飽きた。1点

ずっと可愛いな。4点

直線的なプロット、3点

ゲストキャラクターで多様性を確保、特有のエグさを維持していていいですね、4点

なかなか核心に迫らないけど、読者は核心に興味がない気がする、3点

ラインハルトは現場でもっとも実力を発揮するタイプなので、偉くなりすぎると逆に存在感が薄れますね。4点

相変わらず、絵が美しいです。3点

複線も丁寧に描いてますが、クライマックス待ちの読者はやきもき、3点

バトル長いよ、3点

面白くない、1点

定期告知

漫画を大量に買うなら、豪邸に住んでいない限りkindle一択です。無印kindleは容量と解像度に問題があるので。Paperwhiteがおすすめです。

  

漫画202001

ドラマは大成功、本編はしっかりと歳を重ね、哀愁を感じるストーリー展開。もしかして死ぬまでやるつもりなのか・・・。4点

スピンオフ作品というか、原作ネタをふんだんに使った公式悪ふざけ。三大スピンオフ(金田一利根川・ハンチョウ)の中で一番ふざけてる。3点

深夜ラジオのようにだらだらと続く作品。3点

前も書いたけど、短編が面白いのは分かったので、そろそろ中編シリーズが見てみたいです。3点

高木さんとともに可愛い成分を補給できる数少ない貴重な作品。4点

ぼちぼち新しい仲間かな。4点

面白いのかこれ?2点

定期告知

漫画を大量に買うなら、豪邸に住んでいない限りkindle一択です。無印kindleは容量と解像度に問題があるので。Paperwhiteがおすすめです。

  

資本主義と闘った男

  • 稲田は大阪大学を定年退官してまもないころに雑誌で宇沢と対談した際、出会いの情景を懐かしそうに語っている。ふたりが出会ったのは敗戦から数ヵ月と経たないころで、宇沢は一高に入学したばかりの17歳、稲田は20歳の東大生だった。
  • 〈一高のラグビー部の部屋へ遊びに行ったら、不発の焼夷弾を拾ってきて、その中身を出して部屋のなかで暖房に焚いているんだよ。木の床が真っ黒焦げに焦げて いるんだ。そこで君とはじめて会ったんだ。可愛かったよ、クリクリした目してね(笑)。
  • その時に、「稲田さん、数学科ってどんなところですか」てなことを聞くわけ。そのときどんな答えをしたか覚えていないけどね。そのころ、ぼくは数学にはもう愛想づかしをしていたんだけど、君はそのあと数学科へ入ってきた。
  • ただ、ちがうのは、ぼくはビリッケツに近かったけど、君は非常に成績がよくてね……特別研究生というのだったんですよね。これは一番、二番のやつがなるんで〉(『エコノミスト』1988年1月7日号)

 

  • マルクス主義経済学の勉強会で出会ったマルクス主義者たちは、経済学の理論と数学のロジックはまったく相容れないものとみなしていた。宇沢も彼らにしたがって数学的思考は封印したまま、マルクス経済学を学んでいた。ところが小宮がとりあげた論文は体裁もまるで数学の論文で、おまけに小宮の解説には数学者だった宇沢でさえ知らない定理まで登場した。はじめて出席した近代経済学の研究会で、いきなり経済学に対する考えを根本から揺さぶられたのである。
  • 寒さの厳しい夜だったが気分が高揚したままの宇沢は、いっしょに帰路についた稲田におもわず声をかけた。
  • 「東大の経済学部にはできる人がいますね」
  • するとイナケンはいつ の上州なまりで素っ気なく応じた。
  • 「おめえ、あれひとりだよ」

 

  • じつをいうと、ラーナーは、サミュエルソンの功績として知られていた「要素価格均等化の法則」に関する論文とほぼ同じ内容の論文をサミュエルソンより1年以上も前に著していた。宇沢はその事実を知っていたので、1961年にサミュエルソンアメリカ経済学会で会長講演をした際、みずからの業績として「要素価格均等の法則」に触れたことが気にかかり、会長講演を聞き終えたあと、ラーナーと食事をしたおり直接たずねたという。対談で稲田につぎのように語っている。
  • 《ぼくはそういう経緯を知っていたので、食事の時にラーナーに、「あなたは一九三二年にすでにサミュエルソンが一生でいちばん偉大な仕事だと思うことをやっていて、なぜ論文にしなかったか」と聞いたら、ラーナーは笑って「あれは経済学じゃない。ああいうトリビュアリビュアルな(瑣末な)ことを自分は論文にしたくなかった」という。そこがサミュエルソンとラーナーの違いです。ラーナーがゴミみたいだと思っているものを、サミュエルソンは自分の一生でいちばん大きな仕事と思っている。
  • それは論文を読むとわかりますが、サミュエルソンの論文はゴタゴタ計算していてほんとうにむずかしいんですよ。ところが、ラーナーは幾何学的にグラフをうまく使って、みごとにその命題を証明して、しかも前提条件の限界を非常にはっきり出している》

 

  • それで、サミュエルソンのことですが、彼は経済学の新しい考え方とか深い洞察とかを与えるような仕事をしてきた人ではないように思うのですが、非常に頭脳明晰で、器用にいろいろなどとをやるけど、なんか新しい見方とか、あるいは分析的な視点とかを、ほとんど出していないという感じを持ちます》(「エコノミスト』1988年1月7日号)
  • なぜこれほどサミュエルソンに厳しい のだろうか。理由のひとつは世代の違いにあるだろう。サミュエルソンは宇沢より3歳上、アローより6歳上である(アローの妹とサミュエルソンの弟が結婚したので、アローとサミュエルソンは親戚同士でもあった。アローの妹とサミュエルソンの弟のあいだに生まれたのが、クリントン政権で財務長官をつとめた経済学者のローレンス・サマーズである)。

 

  • クープマンスは、全米経済研究所(NBER)のアーサー・バーンズとウェスリー・ミッチェルの共著『景気循環の測定』を手厳しく批判した。バーンズやミッチェルには景気循環を分析するための理論がなく、そのためにどのような仮説を検証するのかが明確でない。統計データから経済の法則性や傾向を帰納的に読み取ろうとするバーンズらの手法を、クープマンスは「理論なき計測」と断じ、斬り捨てたのである。
  • クープマンスの念頭には、コウルズ委員会が手がけていた連立方程式体系を用いた分析モデルによる推計という新たな手法があった。「経済分析はまず経済理論ありき」と主張することで計量経済学の拠点となったコウルズ委員会の立場を前面に打ち出すとともに、方法論が異なるバーンズらを批判したわけである。ミッチェルは統計データを用いた景気分析で知られる経済学者で、NBER の創始者だった。ミッチェルの薫陶を受けたバーンズは、のちに連邦準備制度理事会(FRB)の議長(在任1970年—1978年)をつとめた。
  • ミッチェルとバーンズを批判したクープマンスに対して、激しい怒りを抱いたのがフリードマンだった。クープマンスの「理論なき計測」について、フリードマンが回顧している。
  • クープマンスはまったく馬鹿げていました。彼との論争では、もちろん、私はバーンズ、ミッチェルに完全に賛同していた。「理論なき計測」は、私からすると、気取っては い るけれども未熟な論文であり、有効な批判でも現実的な内容を伴うものでもありませんでした

 

  • 興味深いことに、フリードマンシカゴ大学で最初に本格的に取り組んだ研究は経済学の方法をめぐる問題だった。その成果は『実証的経済学の方法と展開』(富士書房・原著『Essays inPositive Economics』は1953年刊)に結実する。
  • フリードマンが展開した独自の方法論はきわめて特異である。経済理論にとってもっとも重要なのは「予測の正確性」であり、理論を構築する際の前提や仮定が「現実」に即したものになっているかどうかは理論を評価するうえでなんら考慮する必要はないというのである。まったく非現実的な前提を置いた経済理論であっても、予測能力さえ高ければ、その理論は受け入れられるということである。

yamanatan.hatenablog.com

 

  • ペンローズ効果」を定式化した投資理論を、理論経済学者としての宇沢の最高傑作と評価する経済学者は少なくない。宇沢の教えを受けた理論経済学者の大瀧雅之が解説してくれた。
  • 宇沢弘文が理論家として高く評価された理由のひとつは、モデリング(モデル分析)のテクニックにあるとおもいます。経済学の理論では、個人は効用(満足度)を、企業は利潤を最大化するように行動すると仮定する。個人や企業の行動から、個人の消費行動をあらわす消費関数、企業の投資行動をあらわす投資関数を導き出します。個人や企業といった経済主体の行動に関する計算は、『主体的均衡』の記述と呼ばれています。
  • 理論経済学では、主体的均衡からさまざまな需要関数、供給関数を導き出します。そして、需要曲線と供給曲線の交点が、市場均衡です。経済学の理論的な課題は、主体均衡と市場均衡が矛盾することがないように理論を構築していくことです。いいかえると、個人の選択と、市場での需要と供給の均衡が、矛盾することがないように理論を組み立てないといけない。
  • じつは、経済学者のなかで誰よりも早くそのフォーマットをつくったのが宇沢弘文なのです。少なくとも、非常に明確な形でわかりやすく示したのは、宇沢先生が世界ではじめてだったとおもいます。ペンローズ効果の研究のなかで成し遂げています」
  • 大瀧の解説を要約すれば、マクロ経済の理論は、ミクロ経済の理論と整合性をもつように構築しなければならないということになる。ケインズの『一般理論』は、マクロの集計量の関係を分析した理論であり、はじめての本格的なマクロ経済理論だった。しかしながら、それ以前に新古典派経済学が蓄積してきたミクロ経済学とどのような関係にあるのかがはっきりしなかった。要するに、マクロ経済理論にミクロ経済理論の基礎づけがなされていなかったのである。
  • 宇沢はペンローズ効果を考慮した投資理論で、理論的に投資関数を導き出すことに成功した。世界のなかで誰よりも早く、「ミクロ的な基礎をもつマクロ理論」の構築に向けて一歩を踏み出したのが宇沢だったのである。
  • ジョージ・アカロフにインタビューした際、宇沢の偉大な業績として称賛したのがやはり投資理論だった。「経済学の大きな課題、アルフレッド・マーシャル以来の難問にはじめて解答を与えたのがヒロだったんですよ」と興奮気味に話していたのが印象的だった。

 

  • 吉川が大学院生だった1977年、ルーカスの合理的期待形成学説はすでにアメリカの主要大学に浸透していた。イエール大学にはアメリカ・ケインジアンの大物トービンが いたため、かろうじてケインズの経済学が生き残っているという状態だった。
  • イエール大学でルーカスがセミナーを開催した際、ある助教授が「非自発的失業」についてたずねると、ルーカスはこう言い放ったという。
  • 「イエールでは未だに非自発的失業などとわけのわからぬ言葉を使う人が、教授の中にすら居るのか。シカゴではそんな馬鹿な言葉を使う者は学部の学生の中にも居ない」
  • 最悪時には5%もの失業率を記録した1930年代の大不況に話がおよんでもルーカスは、人びとは職探しに「投資」していたのであって、当時も「非自発的失業者」はまったく存在しなかったと持論を展開した。聞いていたトービンは少し興奮した口調でルーカスに反論した。「なるほどあなたは非常に鋭い理論家だが、一つだけ私にかなわないことがある。若いあなたは大不況を見ていない。しかし私は大不況をこの目で見たことがある。大不況の悲惨さはあなた方の理論では説明できない」

 

  • 「たとえば、大学院生が宇沢先生に共鳴して刺激を受けたとしても、いつまでたっても社会的共通資本では論文が書けないから、 いつまでも大学院を修了できない ということになってしまう。社会的共通資本で論文を書くのはむずかしすぎて、とてもじゃないとできないんですよ。だから、その若い研究者のまわりにいる先生が『(社会的共通資本からは)ちょっと離れろ』ということになる。そうしな い と食っていけないから。そういわざるを得ないんですよ」
  • 要するに、「若い経済学者」を集めることができなかったということである。申しわけなさそうな顔で篠原が解説をつづけた。
  • 「一度はセミナーにつれていくんですけど、やっぱりダメなんですよね。ひとつには、宇沢先生の考えていることとレベルがちがいすぎる。はっきりいうと、若い研究者は、誰かが著した論文のなかの条件を少し変えたりして、自分の論文を書く。宇沢先生はそんなこと関係なしに、ワーッときますからね。それと、若い研究者からすると、宇沢先生がいっているとおりにやっていて自分の論文が書けるのだろうかと不安におもっちゃうんじゃないでしょうかね。だから、かなり余裕のある若い人でないと……」