20 under 20 答えがない難問に挑むシリコンバレーの人々

この部屋にはテクノロジー企業の経営陣も、野心的な若者たちもいた。しかしティールや審査員はもちろん、ファイナリストたちに至るまでマンハッタンのカクテルパーティで普通に出会うような人種ではなかった。社交ベタで打ち解けた会話やジョークを苦手としていた。むしろ不器用と言っていい人々もいた。 万一パーティに出るとしても、気心の知れた友達一人とずっと話し続けるだろう。あるいは自分が本当に興味を惹かれた相手、あるいは特に優れた知性を持つ相手としか、会話を始めないかもしれない。社交性などに何の価値も認めない人種である。

シリコンバレーにはアスペルガー症候群を持った人々の割合が特に高いと思うか・・・ティールは「そんな症候群などない。それは小話がうまく社交術が達者な人間が、自分の理解できない相手に貼る便利なレッテルにすぎない」

ティールは何か話さなければならないという理由で、天気や休暇の話題を持ち出すようなことは決してなかった。彼が天気や休暇の話をしないことを、人々は社会的不適合の現れと考えた。・・・ティールは天気について話して時間をムダにせねばならない理由が理解できなかった。

社会的な優雅さなんていうものは、プログラミング上の課題を解決するには何一つ役立たない。社会的な優雅さでプログラムが1行でも書けるだろうか?・・・決められた枠をはみ出した複雑な思考を理解できない人間に限って、天気の話では流暢になる。

偉大な起業家はみな、教育、特に自己教育の情熱を持っている。自己教育を始めるのに早すぎるということはない

従来の高等教育は人生で本当に重要なことを考えるのを妨げる脇道だとティールは主張し、「人は(大学に入ると)本当の計画や目的を見失ってしまう」と付け加えた。

大学に進学することで就職のチャンスが増えるという考えにも警告した。ひとたび不況が来れば、そうしたチャンスは消えてしまう。これは悪循環だ。大学を卒業する学生の就職のチャンスというのはしょせん、金融業とかコンサルティング企業のような踏み鳴らされたキャリアパスに対して有効であるにすぎない。しかしこうした会社への就職は、人生の究極の目標とはいえない。それがどういうものであるかは別として、さらに上を目指すための出発点にすぎない。・・・「どんな計画でも計画がないよりましだ」

「ピーター・ティールの理論によると、我々は過去半世紀に渡って経済発展とイノベーションが着実かつ絶え間なく続くことに慣らされてきた。しかしイノベーションのスピードは次第に頭打ちとなり、経済発展もそれに連れて減速しています。ピーターはイノベーションのスピードダウンを強く憂慮している。彼はイノベーションの再生のために出来る限りの努力をしています。」

アカデミズムはいわば舗装された道路だ。われわれはアカデミズムの先の世界を必要としている。しかし現在のアカデミズムは行き止まりだ。

「なるほど国立研究所や一流大学の研究室には、我々のところと同じレベルの優秀な人間がいるだろう。彼らは十分な知識がある。しかし失敗を恐れずリスクを取りに行く精神がない。強い独立心の伝統もない。この独立心の伝統こそ、実験的なライフスタイルを宗教的なまでの強烈さで追求する新しい種類の人々を特徴づけるものだ

 スタンフォードが際立っているのは、失敗してもいいからやってみろと学生に教えているからだと言う。「みんな進んで実験したがる。それがこのオープンな雰囲気を作り出した」とミラーは説明した。

クイクシーのインターン生に大学へ行くなと助言する理由はただ一つ。非常に才能ある人間だからだ。「正規分布の平均値から標準偏差の3倍から4倍の位置にいる」。平均的人間なら大学へ行くのが合理的な判断だ。・・・大学が標準の選択肢であるべきではない・・・現状維持バイアス・・・もしあなたが並外れた才能の持ち主なら、大学に頼らず自らの人生の挑戦を設計すればいい。

入門レベルの職を探すことは、人生設計をしていない証だ。・・・大学でくれるものの内、人生に役立つものがあるとすれば、職探しの絶望感を少しだけましにする紙切れ、卒業証書くらいだろう。

シリコンバレーでは・・・誰もが自分の体が特別扱いを必要とする繊細なマシンであるかのように振る舞う。ランニングの成績を上げ、プログラミングの腕を磨くために、高度なダイエットやフィットネス療法はもちろん、パートナー選びにも気を使う。オタクで生産的であると同時に変わり者でなければ溶け込めない

マーク・アンドリーセン(ネットスケープの開発者)の妻、ローラ・アリラガ=アンドリーセン・・・彼女の父親シリコンバレー周辺の土地を開発した人物だ。

 プログラムがスタートした当初、我々はどれだけの波及効果があるか予測していなかった。しかし大勢の人間が立ち止まり、大学教育の負の側面について考えるようになった

高等教育というバブルについて、長い間『見て見ぬふり』が続いてきた。しかしピーターティールは大胆にもそれを名指しで批判した。

ルネ・ジラール・・・ミメーシス(模倣)の理論を考案し、人間は他人の欲望するものを自らも欲すると主張・・・フェローシップは「ミメティック(模倣)な意味での打撃」を与えたという。当初人々は、大学からのドロップアウトについて語りたがらなかった。誰にせよ大学をやめたものは落ちこぼれであり、失敗者だと見なされた。しかし今や誰もが「高等教育バブル」について議論するようになった。

優れた会社を作りたいなら既存の発明をコピーするのではなく、全く新しいアイデアをベースにしなければならない、としてゼロを1にすることの重要性を説いた。 

君たちが本当に優秀ならここに北前。君たちの世代のベスト・アンド・ブライテストに何が出来るか証明してもらおうではないか

ティール「型にはめられた人間には可能性はない」

20 under 20 答えがない難問に挑むシリコンバレーの人々

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  • 電動バイクのベンチャー企業であるテラモーターズ・徳重徹社長は、こんなことを言っている。「新しい産業を生み出すためには、理想と現実のギャップを埋めなければいけませんが、“中途半端に”頭が良い人はそれを簡単に諦めてしまいます」。そうではなく、「まず理想から考えて、そのギャップを埋める」クレイジーな人材こそ、イノベーションを起こすのだという。
  • 少なくとも、覚悟を持って挑戦した人間が厳しい結末を迎えたのであれ、それを未熟だと嘲笑する社会に前進がないことも確かではないか。