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シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略

作家のクライブ・ハミルトンが説くように、「買ったものと使うものの差が、すなわちムダ」だ。

現代の物質主義は、私たちの欲望をあおることによって成り立っている―決して満たされることがない欲望によって:「快楽の踏み車」と表現する。必死に働いてたくさんのものを手に入れても、常により良いものより大きなもの、より速いものが存在する限り、いつまでも満たされることがない。今あるものとほしいものの間の距離、つまり「不満の隙間」は、持ち物が増えれば増えるほど広くなる。言い換えれば、持てば持つほど、より多くを望むことになる。

1949年、ハミルトン・クレジット・コーポレーションのフランク・マクナマラは・・「現金が手元になくても勘定を支払える方法はないだろうか?」これがきっかけとなって、フランクは、初の個人向けクレジットカードを開発し、ダイナースクラブが生まれた。・・アメリカン・エキスプレスがリボルビング払いのサービスを開始した1959年だった。・・ジョセフ・ノセラ「アメリカ金融革命の群像」;こうして、アメリカ人はまだ手元にないお金を使うようになった。ついに持たざる者が持てる者になったのだ。

ヴァンス・パッカードが「浪費を作り出す人々」でいったように、「問題は、大衆を、機械と同じくらいの大食漢に仕立てることだった」

1854年に設立されたマサチューセッツ州のボストン市立図書館は、アメリカで初めての大規模な無料の、地方自治体が運営する図書館で、本を家に持ち帰って読むことが許された。・・図書館を一般市民に開放したのは、アンドリュー・カーネギーだった。

 モノの所有―実際の物理的なものの所有―はそれほど重要でなくなってきている。モノは単なる手段になりつつある。・・・ジェレミー・リフキン「今から25年後には、多くの企業や消費者にとって、所有というコンセプトは、限られた、古臭いものになるだろう」。

PSS=プロダクト・サービス・システム

SEX AND THE CITY・・・セントルイスから来たルイーズに質問・・・いつもバッグ・ボロー・オア・スティールから借りるの。ネットフリックスみたいな、会費制のサービスよ」・・・贅沢品のレンタルサービスは、「最新で最高のもの」を求める心の奥底にある欲望を満たし、同時に「クローゼットは衣服でいっぱいなのに着て行くものがない」といった、誰もが持っている今時の悩みを解消してくれる。

アンドリュー・カーネギーの圖書館建設の逸話と、ルイーズのルイ・ヴィトンの新作バッグのストーリーには、協同型消費のコンセプトに欠かせない共通の要素がある。それはどちらもアクセス、つまり、所有することなしに、モノを手に入れることだ。

今あるカーシェアのモデルは60年余り前から存在している。セファージとして知られる協同組合が1948年にスイスのチューリッヒでサービスを始めたのが最初だ。

全米自動車協会(AAA)が推定したところ、中型の自動車を持つ平均的アメリカ人とヨーロッパ人は、年収の約18%(およそ8000ドル)を自家用車に費やすという。これは、平均的世帯の衣服と医療と娯楽ををあわせた出費よりも多い。自家用車が一日平均23時間は車庫にあることを考えると、これはかなり大きな金額だ、平均的なドライバーは、カーシェアに変えるだけで月に600ドルも節約できる。・・・カリフォルニア大学バークレー校のイノベーティブ・モビリティ研究所の研究員、スーザン・シャヒーンによると、カーシェアに変えることで自動車の移動距離が44%短くなる(渋滞の解消につながる)という。また、ヨーロッパの調査は、カーシェアによって二酸化炭素の排出量がユーザー一人あたり50%も削減されることを示している。現在走っている6億台の内4分の1がカーシェアに変われば、その環境への累積効果ははかりしれない。

ジップカー・・・「セックスしている時間ー年に350時間。駐車場を探すのに使う時間ー420時間」「今日はBMWの日。それともボルボにしようか?」は、カーシェアの大きなメリット、つまり利便性とチョイスをアピールしている。

自動車や家電といった、苦境に立たされている多くの消費財メーカにとって最大の脅威は、PSSそれ自体ではなくPSSが人々の所有に対する観念を根本から変えることだ。

 インターネットユーザーの多くは、銀行や貸付機関などの大手金融機関へ行く前に、ソーシャルレンディングを考えるという。2006年に2億6900万ドルだったソーシャルレンディングによる貸出の残高は、2007年には6億4700万ドルになった。調査会社のガードナーは2010年の終わりまでには、この金額が58億ドル、つまり個人ローン市場の10%を占めると予測している。

デュバル「以前は買ったものや、身につけているブランドや、自動車や、テレビの下の詰め込んだ家電製品が、僕達のアイデンティティだった。今は、ブランドじゃなくて、自分たちがどんな行動を取るかや何を選択するか、自分の価値観や信条、そして自己表現が、僕らがどういう人間であるかを決めるんだ。」

製品を生み出す彼(カリム・ラシッド)の手法と考え方は、カリムのホームページで、『カリマニフェスト』として紹介されている。「今、デザインは問題解決の手段ではない・・・すべての産業が、美を気にかけるべきだーつまるところ、それが人間の集合的なニーズなのだから」・・・今でもデザインは、私達の日々の行動を決め、空間を構成し直し、消費者欲求に影響を与え続けている。但し、それはもはや物質主義や大量生産とは別の形でだ。デザイナーは、消費者や企業のニーズと、社会全体の利益の間の健全なバランスを見つけるという役目を担っているのだ。

 ますます多くの企業が、いわゆる「ライトプレイナー(クリエイティブな気質を持った人々)」や芸術系修士号の持ち主を採用している。クリエイティブで、コラボレーションを生むようなプロセスに精通していることが、消費者に向けたシェアのプロセスを理解し育てることに必要だと気づき始めたからだ。

 ポリットの言う「家庭用洗濯機の驚異的な増加」につながっていた。イギリスだけを見ても、1964年から92年の間に、過程での洗濯機の保有率は53%から88%に上がった。同じ時期に、全コインランドリーの半分が閉鎖された。家庭では洗濯機は週に平均4,5回使われ、個人の水使用量の21.7%が洗濯に使われ、毎年200万台の中古洗濯機が廃棄されていることを考えると、ポリットたちにとって、家庭用洗濯機の増加は懸念すべきことだった。・・・ブレインウォッシュは、1999年にジェフリー・ザレスが立ち上げたコインランドリーのサービスだ。

アンディ・ホブズボーム「オンラインの評判システムは、世界中の人々にとっての新しい信頼のメカニズムであり、現代の経済システムの新しい一歩となるだろう。」

 協調型消費は、販売量だけを基準にした生産中心の経済指標から、現在と未来の人々の幸せを反映した多面的な価値の指標への以降というより大きな動きの表れでもある。

スティグリッツ「いまこそ、経済的生産よりも、国民の幸福を測ることにより重点を置いた統計システムを導入すべきときだ」

"GDP has increasingly become used as a measure of societal well-being, and changes in the structure of the economy and our society have made it an increasingly poor one," Mr Stiglitz said. "It is time for our statistics system to put more emphasis on measuring the well-being of the population than on economic production."

Nicolas Sarkozy wants 'well-being' measure to replace GDP - Telegraph

・・・スティグリッツは交通渋滞を例に上げて、生産量の増加が生活の質の向上につながらないことを示している。

あとになってこの時代を振り返れば、人間の基本的な欲求―特に、昔の市場原理や協調行動が自然と満たしていた、コミュニティへの欲求、個人のアイデンティティへの欲求、承認の欲求、そして意味のある活動への欲求―を満たすようなサステイナブルなシステムを、一足とびに再構築した時代だったと思うに違いない。まさにそれは「革命」と呼べるものだ。社会が重大な危機に直面した時に、永遠に満たされない所有欲や浪費欲から抜け出して、みんなにとっていいことを再発見する方向へ地殻変動を起こし始めたのだ。

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