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やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

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要するに、どんな分野であれ、大きな成功を収めた人たちには断固たる強い決意があり、それがふたつの形となって現れていた。第一に、このような模範となる人達は、並外れて粘り強く、努力家だった。第二に、自分が何を求めているのかをよく理解していた。決意だけでなく、方向性も定まっていたということだ。・・・「情熱」と「粘り強さ」・・・つまり、「グリット」(やり抜く力)が強かったのだ。

「やり抜く力」と「才能」は別物・・・SATのスコアとやり抜く力は逆相関の関係にある・・・才能があっても、その才能を生かせるかどうかは別の問題

 一般的に数学は、数学的な才能のある生徒ほどよく出来て、数学の苦手な生徒との差が著しいと考えられている。・・・私は「才能」に目を奪われていたのだ。・・・「才能には生まれつき差がある」などと決めつけずに、努力の重要性をもっと考慮すべきなのでは?・・・数学が苦手な生徒たちも、自分が本当に興味を持っていることを話すときは、びっくりするほど頭の回転が早くて、生き生きとしていることだった。

ゴルトンは結論として、偉業を成し遂げた人物には3つの特徴があると述べた。すなわち、稀有な「才能」と、並外れた「熱意」と、「努力を継続する力」をあわせ持っていることだ。その本の最初の50ページを読んだダーウィン、ゴルトンに手紙を書き、不可欠な特徴の中に「才能」が含まれていることに驚きを示した。「ある意味、君のおかげで考えを改めたと言えるだろう。私は常々、愚か者でもない限り、人間の知的能力に大した差はない、差があるのは熱意と努力だけだ、と主張してきたのだから。だがやはり、もっとも重要なのはそのふたつだと私は考えている」

伝記作家たちは総じて、ダーウィンが人間離れした知能の持ち主だったとは言っていない。たしかに知能は高かったが、なにごとも瞬時に洞察を得るような鋭いタイプではなく、むしろ、コツコツとじっくり取り組むタイプだったようだ。・・・「頭のいい人の中には、直観的な理解力が卓越している人がいるが、私にはそうした能力はない」「私の場合、純粋に抽象的な概念について延々と思索する力に乏しい」そして、自分は優秀な数学者や哲学者にはなれなかっただろうと述べている。さらには、記憶力も平均以下だったという。「記憶力があまりにも低いせいで、ほんの数日でも、詩の一行はおろか日付さえ覚えていられないほどだ」・・・「私が普通の人より優れている点は、普通なら見逃してしまう様なことに気付き、それを注意深く観察することだろう。観察にかけても、事実の集積にかけても、私は非常に熱心にやってきた。さらに、それにもまして重要な事は、自然科学に対して尽きせぬ情熱を持ち続けていることだ。」・・・彼は突き止めたいと思っている問題は、全て頭の片隅に止めておき、少しでも関連のありそうなデータが現れたら、いつでもすぐにその問題と付き合わせることが出来た。

ハーバード大学教授のウィリアム・ジェイムズ・・・「我々の潜在能力は、半分しか目覚めていない。薪は湿って燃えず、通気は妨げられている。我々は精神的にも肉体的にも、持っている能力のごく一部しか利用していない。」・・・「人間は自分の持っている能力をほとんど使わずに暮らしている。様々な潜在能力があるにも関わらず、ことごとく生かせていない。自分の能力の限界に挑戦することもなく、適当なところで満足していしまう。」・・・「人間は誰でもはかり知れない能力を持っているが、その能力を存分に生かし切ることが出来るのは、ごくひとにぎりの並外れた人々にすぎない」

1907年に書かれたこれらの言葉は、今も昔も変わらぬ真実だ。それなのになぜ私達は、これほど「才能」を重要視するのだろうか?私たちは様々な能力を持っており、いくらでも伸ばす余地があるのに、なぜすぐに「能力の限界」だと思ってしまうのだろうか?将来何を成し遂げられるかは、努力ではなく才能で決まると考えてしまうのはなぜだろう?

成功するためには、才能と努力のどちらがより重要だと思いますか?」アメリカ人の場合、努力と答える人は才能と答える人のおよそ2倍だ。・・・「新しい従業員を雇うとします。知的能力が高いことと、勤勉であることでは、どちらのほうが重要だと思いますか?」この場合、「勤勉であること」と答える人は、「知的能力が高いこと」と答える人の5倍近くにものぼる。・・・心理学者のチアユン・ツァイがプロの音楽家を対象に実施したアンケート調査の結果とも一致している。音楽家たちも、同様の質問に対してほぼ例外なく、「生まれながらの才能」よりも「熱心に練習すること」のほうが重要だと回答した。しかし、ツァイがある実験でもっと間接的な方法によって人々の心理的傾向を調査したところ、正反対の結果が表れた。・・・ある一人のピアニストが、同じ曲の別の部分を演奏・・・2名のピアニストの紹介の仕方にあった。ひとりは「才能豊かで、幼少時から天賦の才を示した」とある一方、もうひとりは「努力家で、幼少時から熱心に練習し、粘り強さを示した」とあった。するとこの実験では、先ほど紹介したアンケート調査の結果(才能よりも努力が重要)とは矛盾する結果が出た。音楽家らは、「天賦の才」に恵まれたピアニストのほうが、プロの演奏家として成功する確率が高いと評価したのだ。・・・音楽家を対象に行なった実験と同様に、今回もやはり天才型、つまり「生まれつき才能のある人」のほうが、起業家として成功する確率が高いと評価され、事業計画の内容についても高い評価を獲得した。・・・私たちは「才能」と「努力」に関しては、二面性を持っていることが明らかになった。私達が重要だと行っていることと、心の底でもっと重要だと思っていることは、実際には異なっている。これではまるで、「恋人の外見なんて気にしない」などと言っておきながら、実際にデートの相手を選ぶとなったら、「いい人」よりも「かっこいい人」を選んでしまうのと同じだ。・・・私たちの選択を見れば、そのような偏見を持っているのは明らかだ。

 『ウォーフォータレント』では、競争を勝ち残る企業は、最も能力の高い人材を積極的に昇進させる一方で、能力の低い人材は容赦なく切り捨てるべきだと言っている。・・・そのようなマッキンゼーのビジネス哲学を「人材育成競争(ウォーフォータレント)」と呼んだ・・・マッキンゼーの推奨どおりに人材を扱った実例として登場した企業は、同書の刊行後、いずれも業績が低迷・・・マルコム・グラッドウェルも批判・・・マッキンゼーが提唱した「精鋭主義」を実践した代表例がエンロンだ。・・・「誰よりも優秀だと証明してみせろ」と従業員たちを煽り立てることで、ナルシストの温床が出来上がり、信じがたいほど自惚れが強いと同時に、つねに「自分の能力を見せつけなければ」という強い不安と衝動に駆られる従業員が増えすぎたのだ。短期間で結果を出すことを何よりも重視し、長期的な学習や成長を妨げる企業文化だった。・・・ジェフリー・スキリング・・・エンロンの社内では、この評価制度は「ランクアンドヤンク(昇進と処罰)」と呼ばれていた。スキリングはこれを、エンロンでもっとも重要な経営戦略の一つと考えていた。しかしこれこそが、狡猾なものばかりが得をして、正直者は馬鹿を見るような職場環境を作り出したとも言える。

 才能は悪いものなのだろうか?人間は誰でも同じように才能があるのだろうか?答えはいずれもノーだ。どんなスキルであれ、学習曲線を上昇するのが早いのは良いことだ。そして、そのスピードがとりわけ速い人達がいるのも事実だ。では、生まれつき才能のある人を努力家より優遇してはいけないのだろうか?・・・「才能」に対するえこひいきが弊害をもたらす可能性がある最大の理由は単純で、「才能」だけにスポットライトを当てることで、他のすべてが影に覆われてしまう危険性があるからだ。「やり抜く力」を含め、実際には重要な他の要素が全て、どうでもいいように思えてしまう

才能を過大評価すると、他のすべてを過小評価してしまうことになる。極端な場合には、(才能⇒達成)と思いかねない。・・・私自信も、気がつけば同じようなことをしている。あっと驚くようなすごい人を見るとつい「天才だ!」と思ってしまうのだ。全く情けない―その裏にどれ程の努力があるか、わかっているはずなのに。・・・「才能」に対する無意識の先入観は、どうしてこうも根深いのだろう?・・・一流の人達が行っている当たり前のこと・・・人間のどんなにとてつもない偉業も、実際は小さなことをたくさん積み重ねた結果であり、その一つ一つは、ある意味、「当たり前のこと」ばかりだということ。・・・ハミルトン・カレッジの社会学者、ダニエル・F・チャンブリス・・・「最高のパフォーマンスは、無数の小さなスキルや行動を積み重ねた結果として生み出される。それは本人が意識的に習得する数々のスキルや、試行錯誤する中で見出した方法などが、周到な訓練によって叩き込まれ、習慣となり、やがて一体化したものなのだ。やっていることの一つ一つには、特別なことや超人的なところは何もないが、それらを継続的に正しく積み重ねていくことで生じる相乗効果によって、卓越したレベルに到達できる」しかし、人は「当たり前のこと」では納得しない。・・・「なんか地味だよね、もうちょっと面白みがないと・・・」・・・「私たちは優秀なアスリートを見ると、すぐに才能があると決めつけてしまう。それこそが一流のアスリートの証だとでもいうように」・・・常人の域をはるかに超えたパフォーマンスに圧倒され、それが凄まじい訓練と経験の積み重ねの成果であることが想像できないと、何も考えずにただ「生まれつき才能がある人」と決めつけてしまうのだ。

肝心なのは、偉業は達成可能ということです。偉業というのは、小さなことを一つずつ達成して、それを無数に積み重ねた成果だから。一つ一つのことは、やれば出来ることなんです。・・・ニーチェ・・・「芸術家の素晴らしい作品を見ても、それがどれほどの努力と鍛錬に裏打ちされているかを見抜ける人はいないそのほうがむしろ好都合と言っていい。気の遠くなるような努力の賜物だと知ったら、感動が薄れるかもしれないから」・・・「我々の虚栄心や利己心によって、天才崇拝にはますます拍車がかかる。天才というのは神がかった存在だと思えば、それに比べて引け目を感じる必要がないからだ。『あの人は超人的だ』というのは、『張り合っても仕方ない』という意味なのだ」・・・偉業を達成する人々は、「一つのことをひたすら考え続け、ありとあらゆるものを活用し、自分の内面に観察の目を向けるだけでなく、他の人々の精神生活も熱心に観察し、いたるところに見習うべき人物を見つけては奮起し、飽くなき探究心を持ってありとあらゆる手段を利用する」。・・・ニーチェは偉業を達成した人々のことを、何よりも「職人」と考えるべきだと訴えている。「天分だの、天賦の才だのと言って片付けないで欲しい!才能に恵まれていない人々も、偉大な達人になるのだから。達人たちは努力によって偉業を成し遂げ、天才になったのだ。・・・彼らは皆、腕の立つ熟練工の如き真剣さで、まずは一つ一つの部品を正確に組み立てる技術を身につける。そのうえでようやく思い切って、最後には壮大なものを創り上げる。それ以前の段階にじっくりと時間をかけるのは、輝かしい完成の瞬間よりも、むしろ細部をおろそかにせず丁寧な仕事をすることに喜びを覚えるからだ。」

「才能」とは、努力によってスキルが上達する速さのこと。いっぽう「達成」は、習得したスキルを活用することによって表れる成果のことだ。・・・才能すなわちスキルが上達する速さは、間違いなく重要だ。しかし両方の式を見れば分かる通り、努力は一つではなく二つ入っている

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ウォーレン・マッケンジーという著名な陶芸家・・・「私は自分にできる限り、最高に心が踊るものを作ろう、人々の家によく似合うものを作ろうと、努力しているんです」・・・最初の1万個は難しいんだよ。それを超えると、少し分かってくる

現代アメリカ文学における偉大な語り手・・・ジョン・アーヴィングはこう語る。「ほとんどの作品は、最初から最後まで書き直した。自分の才能のなさを骨身にしみて感じた」アーヴィングは重度の読字障害(Dyslexia)・・・「文字を指でたどりながら読むんだ。僕もそうだったし、実は今でもそうなんだ。自分で書いた文章でない限り、僕も読むのが遅いんだよ。」・・・「何かを本当にうまくなりたいと思ったら、自分の能力以上に背伸びをする必要がある。僕の場合は、人の倍の注意力が必要だとわかった。でも、そのうち分かってきたんだ。同じことを何度も繰り返すうちに、以前はできそうになかったことが、当たり前のように出来るようになる。だがそれは、一朝一夕にはいかない」・・・「小説を書く場合、執筆のペースが遅くても、別に誰にも迷惑はかからないからね。いくらしつこく書き直したってかまわない。」

才能とスキルは別物だとはっきり認識する必要がある」と、俳優のウィル・スミスは言っている。「だけど、一流になりたい、自分には夢がある、成し遂げたいことがあるんだ、なんて言っている人達に限って、そのことをちゃんと理解していない。たしかに、才能は生まれつきのものだ。だがスキルは、ひたすら何百時間も何千時間もかけて身につけるしかない

「そして、これが一番重要なこと。やり抜く力は、自分にとってかけがえのないことに取り組んでこそ発揮されるの。だからこそ、ひたむきに頑張れるのよ」・・・「そう、自分が本当に好きなことに打ち込むの。でも、好きになるだけじゃだめなのよ。愛し続けないとね」

「やり抜く力」と言うのは、一つの重要な目標に向かって、長年の努力を続けることだ。・・・やり抜く力が非常に強い人の場合、中位と下位の目標のほとんどは、何らかの形で最上位の目標と関連している。それとは逆に、各目標がバラバラで関連性が低い場合は、「やり抜く力」が弱いと言える。・・・夢を実現するための中位や下位の目標を具体的に設定することが出来ない。そのため、目標がピラミッド型の構造になっていない。最上位の目標がぽつんと浮かんでいるだけで、それを支える中位や下位の目標がまったくないのだ。・・・ガブリエル・エッティンゲン・・・「ポジティブな空想」と呼んでいる。・・・もっと多いのは、中位の目標が乱立するばかりで、それを一つに束ねる最上位の目標が存在しないケースだ。・・・目標のピラミッドが全体として一つにまとまり、各目標が関連性をもって、整然と並んでいる状態が望ましいのだ。・・・「時間とエネルギーは限られている」という事実をしっかりと認識することなのだ、と。

「何をやるかより、何をやらないかが大切だ」とよくいっている。一人の科学者の一生の研究時間なんてごく限られている。研究テーマなんてごまんとある。ちょっと面白いなという程度でテーマを選んでたら、本当に大切なことをやる暇がないうちに一生が終わってしまうんですよ。だから、これは自分はこれが本当に重要なことだと思う。これなら一生続けても食いはないと思うことが見つかるまで研究を始めるなといってるんです。

利根川進

小さな計画は立てないように、そういうものは人の魂を揺り動かすような魔力はないのだから。

フランク・ロイド・ライト

成功するには 「やるべきこと」を絞り込むとともに、「やらないこと」を決める必要がある。なるほど、そのとおりだ。「やらないこと」をもっとしっかりと決めなければ。

「なんでも必死にがんばる」のは意味がない

ザ・ニューヨーカー誌の漫画家として著名なロズ・チャースト・・・ベテランの彼女でさえ、作品の不採用率は90%だそうだ。・・・漫画編集者、ボブ・マンコフに電話をして、不採用率90%と言うのは普通なのか訊いてみた。・・・「ロズ・チャーストは、ちょっと例外でね」・・・「ほとんどの漫画家の場合、ボツになる確率はもっと高いですよ」・・・不採用率は96%異常だ。「ウソでしょう!そんなに確率が低くても、めげずに挑戦する人なんているんですか?」・・・「何度やってもだめだったら、他のやり方を試すこと」・・・ピラミッドの下位にある重要度の低い目標には、まさにそのような態度で取り組む必要がある。

 若手を指導する立場になったマンコフは、漫画家志望者には「作品は10単位で持ち込むように」とアドバイスをしている。「漫画も人生もそうだけど、9割方はうまく行かないからね。」

実際、重要度の低い目標をあきらめるのは悪いことではなく、むしろ必要な場合もある。他にもっとよい実行可能な目標があるなら、一つの目標だけにいつまでも固執するべきではない。・・・しかし、重要度の高い目標の場合は、安易に妥協するべきではない。

道を間違っているのなら、走ったって仕方がないじゃないか。

(ドイツのことわざ)

ジョン・スチュアート・ミル・・・幼少時の推定知能指数は190だった・・・ニュートン・・・130だった。・・・コックスは、「偉大な功績を収めた歴史上の人物たちは、一般の人々に比べて知能が高い」・・・これらの人々を「功績の偉大さ」で比較した場合、知能指数の高さはほとんど関係なかったのだ。・・・功績の偉大さで最も高いレベルに位置する天才たちの場合、幼少時の平均知能指数は146だった。いっぽう、功績の偉大さで最も低いレベルに位置する人々の場合、幼少時の平均知能指数は143だった。・・・コックスの研究標本において、知能と功績の関連性はきわめて低かったといえる。・・・偉人たちと一般の人々の決定的な相違点は、次の4つにまとめられる。・・・コックスは4つの指標を「動機の持続性」と名付けた。

  1. 遠くの目標を視野に入れて努力している。晩年への備えを怠らない。明確な目標に向かって努力している。
  2. 一旦取り組んだことは気まぐれにやめない。気分転換に目新しさを求めて新しいものに飛びつかない。
  3. 意志力の強さ、粘り強さ。いったん目標を決めたら守り抜こうと心に誓っている。
  4. 障害にぶつかっても、諦めずに取り組む。粘り強さ、根気強さ、辛抱強さ。

 知能のレベルは最高ではなくても、最大限の粘り強さを発揮して努力する人は、知能のレベルが最高に高くてもあまり粘り強く努力しない人より、はるかに偉大な功績を収める。

「情熱に従って生きよう」学位授与式のスピーチで任期のテーマだ。・・・半数以上のスピーカーは、「自分が本当に好きなことをするのが大切だ」と訴えていた。・・・「ニューヨーク・タイムズ」のクロスワードパズル担当のベテラン担当者、ウィル・ショーツ・・・「私から皆さんへのアドバイスは、自分が一番楽しいと思うことを見つけて、それを仕事にすることです。人生は短いのです。情熱に従って生きましょう」ジェフ・ベゾスプリンストン大学の卒業生たちに、・・・「よく考え抜いた結果、情熱に従って生きるために、険しい道のりを選んだのです」「なにをするにしても、自分のやっていることに情熱を持っていない限り、長続きはしないことがわかるでしょう」

メガ成功者たちは必ず「同じこと」を言う

「何度も聞いたのは『この仕事が大好きだ』という言葉です。普通の人も言いますが、もっとあっさりしています。・・・『僕は本当にラッキーだよ。朝、目が冷めて、今日も仕事ができると思うとうれしいんだ。・・・次のプロジェクトに着手するのが待ち遠しい』。彼らは、やらざるを得ないからとか、金銭面で魅力的だからとか、そんな理由で仕事をしているわけじゃないんです」

「堅実がいちばん」という考え方を説く人

「自分が本当に好きなことを見つけたい」などと理想を追い求めたりすれば、貧困と失望が待ち受けているだけだと釘を刺された。

「好きなことを仕事にする」は本当にいいのか?

第一に、人は自分の興味にあった仕事をしている方が、仕事に対する満足度が遥かに高いことが、研究によって明らかになった。これは約100件もの研究データをまとめ、 ありとあらゆる職種の従業員を網羅したメタ分析による結論だ。・・・自分の興味にあった仕事をしている人は、人生に対する全体的な満足度が高い傾向にあることがわかった。

第二に、人は自分のやっている仕事を面白いと感じているときのほうが、業績が高くなる。これは過去60年間に行われた、60件の研究データを集計したメタ分析による結論だ。・・・これらの科学的研究の結果は、学位授与式のスピーチに込められた叡智を裏付けている。何をするにしても、その人がどれくらい成功するかを左右する「決定投票」は、その人がその仕事を「どれだけ切望し、どれだけ強い情熱と興味を持っているかにかかっている」のだ。

どの人にも、あるとき突然、天から与えられた「情熱」に目覚めた瞬間があったに違いないと思っていた。・・・人生で何をしたいのか、さっぱりわからない。それがあるとき突然、はっきりと分かる。自分が何をするために生まれてきたのか、悟る時が来るのだ、と。ところが、実際にインタビューで話を聞いてみると、ほとんどの人は「これだ」と思うものが見つかるまでに何年もかかっており、その間、様々なことに興味を持って挑戦してきたことがわかった。今は寝ても覚めても、そのことばかり考えてしまうほど夢中になっていることも、最初から「これが自分の天職だ」と悟っていたわけではなかったのだ。・・・本当に好きな仕事に打ち込んでいる人を見ると、うらやましくなってしまうことがあるかもしれない。だが、そもそもそういう人は、出発点からして自分とは違うのだろう、などと思うべきではない。そういう人も、一生をかけてやりたいものが見つかるまでには、かなりの時間がかかった場合が多い。

おとなになったら何をしたいかなど、子供の頃には早すぎてわからない。・・・興味は内省によって発見するものではなく、外の世界と交流する中で生まれる。興味を持てるものに出会うまでの道のりは、すんなりとは行かず、回り道が多く、偶然の要素も強いかもしれない。・・・・ジェフ・ベゾス「ありがちなことだが、無理やり興味を持とうとするのは大きな間違いだ」・・・第三に、興味を持てることが見つかったら、今度はさらに長い時間をかけて、自分で積極的に掘り下げていかなければならない。最初に興味を持ったきっかけの後に、何度も繰り返し、さらに興味をかき立てられる経験をする必要がある。・・・マイク・ホプキンス「ひとつのことを調べていくと、そのつながりで、どんどん新しい情報が手に入りました。」

「やり抜く力の半分は、粘り強さです」・・・「でも誰だって、自分が本当に面白いと思っていることでなければ、辛抱強く努力を続けることはできません」というと、保護者はうなずくのをやめたり、首をかしげたりする。・・・エイミー・チュア「ただ好きだからといって、上達できるとは限らない。努力をしない限り、上達するはずがないのだ。だから多くの人は、好きなことをやっていても全然うまくならない」・・・自分の興味があることを掘り下げるにしても、練習に励み、研究を怠らず、つねに学ぶなど、やるべきことは山ほどある。だからこそ言っておきたいのは、好きでもないことは、なおさらうまくなれるはずがないということだ。

ベンジャミン・ブルーム・・・スキルは3つの段階を経て進歩し、各段階につき数年を要する・・・興味のあることを見つけて掘り下げていく段階を、ブルームは初期と呼んでいる。この初期に励ましを受けるのは極めて重要だ。・・・優しくて面倒見のよい指導者(メンター)を得ることだ。「そのような指導者たちの最大の特長は、最初の学びを楽しく、満足感の得られるものにしたことである。入門のごく基礎的なことは、ほとんど遊びを通して学ぶ。最初のうちは学びというより、ゲームのようなものだ」また初期には、ある程度の自主性が尊重されることも大切だ。

スポーツ心理学者のジャン・コティは、この最初の段階でのびのびと、遊びを通して興味を持ち、さらに興味を深めておかないと、将来、悲惨な結果を招くおそれがあることを突き止めた。・・・子供の頃から様々なスポーツを試した後に一つの競技に的を絞ったプロのアスリートたちは、全体的に長期間にわたって成績がよい・・・早い時期に様々なスポーツに触れることで、自分がどのスポーツに向いているかが分かりやすくなるのだ。・・・いきなり専門分野でみっちりトレーニングを受けた選手たちは、経験の浅い選手たちと競争した場合、最初のうちは明らかに有利だ。しかしコティの研究では、そのような選手たちは負傷したり、燃え尽き症候群に陥ったりする確率が高いことがわかっている。・・・エキスパートと初心者では動機づけの方法が異なって当然・・・初心者のうちにあまり厳しくすると、せっかく芽生えた興味が台無しになってしまう。一度そうなったら、取り返しはつかないと思ったほうがいい。

ジェフ・ベゾスの母ジャッキー・・・子供の興味に合わせていきました。子どもたちが自分の好きなことを思いきりやれるようにしてあげるのが、私の責任だと思っていました。 

エキスパートほど「知れば知るほど、わからないことが出てくる」ということが多い・・・サー・ジョン・テンプルトン(分散型投資信託を世に広めた伝説の投資家)ジャ。慈善基金の設立にあたって「無知の知は学ぶ意欲を高める」をモットーにした

初心者にとっての目新しさとベテランにとっての目新しさは、別物だということだ。初心者は初めて経験することばかりでなんでも目新しく感じるが、ベテランが目新しいと感じるのは微妙な差異(ニュアンス)なのだ。「たとえばモダンアートなら、初心者にはどの作品も同じようにみえるかもしれませんが、エキスパートにはそれぞれの違いがよく分かる。初心者にはニュアンスを見分けるのに必要な背景知識がないため、単に色や形を見ているだけで、内容はよく分かりません」

Will Shortz - Wikipedia


  • まずは好き嫌いをはっきりさせて、そこから積み上げていこう
  • とりあえずいいと思ったことをやってみる
  • うまく行かなかった場合は、取り消したってかまわない

発見の次は発展の時期だ。・・・興味を掘り下げるには、時間がかかる。つねに疑問を持って答えを探そう。答えが見つかると、さらに多くの疑問へとつながっていく。どんどん掘り下げていこう。・・・ウィリアム・ジェイムズ「新しきものに古きものを見出したとき、人は注意をひかれるーあるいは古きものに、さりげない新しさを見出したときに」

エキスパートたちの練習法

  1. ある一点に的を絞って、ストレッチ目標(高めの目標)を設定する・・・ヴィオラの巨匠、ロベルト・ディアス「アキレス腱を見つけること―その曲の中でうまく出来ない部分を洗い出して、克服しなければならない」
  2. しっかりと集中して、努力を惜しまずに、ストレッチ目標の達成を目指す。・・・エキスパートたちは、自分のパフォーマンスが終わるとすぐ、熱心にフィードバックを求める。・・・ウルリック・クリステンセンは医師から起業家へと転身した人物で、「意図的な練習」の原則に基づいて、「適応学習」のソフトウェアを開発した。
  3. 改善すべき点がわかったとは、うまく出来るまで何度でも繰り返し練習する。 

意図的な練習・・・人間の持つどんなに複雑でクリエイティブな能力も、それを構成するしスキルは細分化することができる。そして、一つ一つのスキルは、練習をしつこく積み重ねることによって習得することができる。・・・ベンジャミン・フランクリンが文章力を培った方法は、まさに「意図的な練習」・・・愛読誌「スペクテイター」に掲載されたエッセイを精選し、何度も繰り返し読みながらメモ・・・原稿を引き出しの奥にしまい込み、原稿を見ずにそれらのエッセイを書いて見た。自分が書いた原稿とオリジナルの原稿を照合し、間違った部分を見つけて修正した。

「才能の発達に関する研究によって、どんな分野であれ複雑なスキルを習得するには、約1万時間の練習が必要であることがわかっている。(中略)そうした練習は非常に単調で、つらく感じる場合が多い。だがそのような場合が多いとは言え、練習はいかなる場合も辛いものだと決まっているわけではない」

「非常な努力を要するとしても、これは努力する価値のあることで、頑張ればきっと習得できる。それに学んだことを実践するのは、自分という人間を表現することにもなり、願望の実現にもつながる。そうおもえば、つらくはないはずだ。」

意図的な練習

  • 明確に定義されたストレッチ目標
  • 完全な集中と努力
  • すみやかで有益なフィードバック
  • たゆまぬ反省と改良

オリンピックのボート競技金メダリスト、マッズ・ラスムッセンは、日本のチームに招かれて訪日した際、選手たちの練習時間のあまりの長さに衝撃を受けた。そして、「ただ何時間も猛練習をして、自分たちを極度の疲労に追い込めばいいってものじゃない」・・・周到に考えた質の高いトレーニング目標・・・長くても1日数時間が限度だ。

競泳選手のローディ・ゲインズ・・・練習に行くのを楽しいと思ったことは一度もないし、練習中はもちろん楽しくなかった。それどころか、朝の4時とか4時半にプールに向かうときや、あまりにも練習が辛いときは、『ここまでする価値があるのか?』なんて考えが、頭をよぎったこともありました・・・水泳が大好きだったから。競争は胸が躍るし、トレーニングの成果が現れたときも、調子がいいときも、レースで勝ったときも、最高の気分になる。遠征も好きだし、仲間たちにも会える。だから練習は嫌いだったけど、やっぱり水泳は大好きだったんです。・・・マッズ・ラスムッセン・・・努力あるのみ。楽しくなかろうが、とにかくやるべきことをやるんだ。だって結果を出したときは、信じられないほどうれしいんだから。・・・自分のスキルを上回る目標を設定しては、それをクリアする「練習」を何年のも続ける。それによって挑戦すべき課題に十分見合ったスキルを身に着けた結果として、フローを体験すると考えれば、エリート選手が見事なパフォーマンスを軽々とこなしているようにみえるのもうなずける。見えるだけでなく、ある意味では実際にそうなのだ。

 「知的能力に関する考え方」

  • 知的能力は人の基本的な性質であり、ほとんど変えることは出来ない。
  • 新しいことを学ぶことは出来るが、知的能力自体を向上させることはできない。
  • もともとの知的能力のレベルにかかわらず、かなり向上させることが出来る。
  • 知的能力は常に大きく向上させることが出来る。

 ドウェックによれば、最初の二つのコメントに賛成し、跡の二つのコメントに反対した場合、あなたの考え方は「固定思考」と考えられる。それとは逆だった場合は、あなたの考え方は「成長思考」と考えられる。

「成長思考」・・・人間は買え割れる、成長できる、と信じている人たちは、チャンスと周囲のサポートに恵まれ、「やればできる」と信じて一生懸命努力すれば、自分の能力をもっと伸ばすことは可能だと考えられる。それに対し、人はスキル(自転車に乗る、セールストークを覚えるなど)を習得することは出来るが、好きを習得するための能力、すなわち「才能」は、鍛えて伸ばせるものではないと考える人達もいる。・・・固定思考・・・挫折の経験を、自分には能力がない証拠だと解釈してしまうのだ。それに対し、「成長思考」の人は、努力すればきっとうまくできると信じている。

脳の神経回路には可塑性がある・・・あなたなら逆境を乗り越えられる、と言われるだけじゃダメなんだ。脳の神経回路の再配線が起こるには、下位の抑制領域と同時に、制御回路が活性化する必要がある。それは実際に逆境を経験して、それを乗り越えたときに起こることなんだ。・・・『自分がこうすれば、きっとこうなるはずだ』と思えるようにならないといけない

愛情ゆえの厳しさの根底にあるのは、無私無欲の思いです。それが一番重要だと思います。本当は親の身勝手なのに、お前のために厳しくするのだと言っても、子供はちゃんと嗅ぎつけますよ。私の両親は、ありとあらゆる方法で伝えてくれました。『お前が自分の道で成功するのを、楽しみにしているよ。自分たちのことなど二の次だ』と

課外活動を積極的に行っている子どもたちのほうが、課外活動をあまり行っていない子どもたちよりも、学校の成績が良く、自尊心も高く、問題を起こすことも少ないなど、様々な点で優れていることを示す研究は、枚挙にいとまがない。

ダニエル・チャンブリス・・・「偉大な競泳選手になるには、偉大なチームに入るしかないんです」・・・チーム特有の文化と選手との間には、互恵的な効果が生じる・・・人格形成の対応原則・・・たとえば私自身は、あまり自分に厳しい方じゃない。しかし周りのみんなが論文を書いたり、講演を行ったり、いつも猛烈に仕事をしているから、こちらも自然とそうなる。やはり、人は周りのやり方に合わせるようにできているんです。・・・やり抜く力を身につけるにも、大変な方法と楽な方法があるということでしょう。大変な方法は独力でがんばること。楽な方法は同調性を利用するんです。集団に溶け込もうとする人間の基本的な欲求をね。やり抜く力の強い人達に囲まれていると、自分も自然とそうなるんです

 まとめ

私たちが人生のマラソンで何を成し遂げられるかは、まさに「やり抜く力」―長期的な目標に向けた情熱と粘り強さ―にかかっているからだ。やたらと才能にこだわっていると、この単純な真実を見失ってしまう。・・・・自分自身で内側から伸ばす・・・興味を掘り下げる、自分のスキルを上回る目標を設定してはそれをクリアする練習を習慣化する、自分の取り組んでいることが、自分よりも大きな目的とつながっていることを意識する、絶望的な状況でも希望を持つことを学ぶ・・・外側から伸ばす・・・親、コーチ、教師、上司、メンター、友人など、周りの人々が、個人のやり抜く力を伸ばすために重要な役目を果たす。

始めたことは何でもかんでも最後まで続けようとすると、もっと自分に合っていることを始める機会を見失ってしまう可能性が高い。なにかをやめて、もっと簡単なことを始める場合もあるかもしれないが、自分にとってもっとも重要なことにだけは、しっかりと関心を持ち続けるようにしたい。

人は誰でも限界に直面する―才能だけでなく、機会の面でもだ。しかし実際には、私達が思っている以上に、自分で勝手に無理だと思いこんでいる場合が多い。何かをやって失敗すると、これが自分の能力の限界なのだと思ってしまう。

  • 一歩ずつでも前に進む
  • 興味のある重要な目標に、粘り強く取り組む
  • 厳しい練習を毎日、何年間も続ける
  • 七回転んだら八回起き上がる

わかりますよ。ぼくもこの仕事が大好きですから。でも僕の知り合いでも、40代になっても仕事に打ち込んでいない人があまりに多くて驚きますよ。人生にどれだけ大きなものが欠けているか、きっとわかっていないんでしょうね。 

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

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