Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール

 スタートアップを起業するのに最も適した年齢があるとするならカルビンたちがそれだった。学部学生よりは多少成熟しているものの、まだ家のローンや子育ての重荷を背負っていない。そういう年齢になってしまうと、給料の良い安定した大企業の職を捨てるのは非常に困難になる。・・・面接に当たったYCのパートナーたちが最も警戒するのは「檻に入れられたハッカー」と言う状況だった。つまりハッカーではない創業者が実験を握っていてハッカーたちを部下扱いするようなチームだ。

「君たちは3人のチームだったな。1万700ドルの投資で株式の7%をもらいたい。」出資の見返りとしてYコンビネータ―がスタートアップに要求する株式の割合はどんな場合でもほぼ同一だが、出資額は多少異なる。基本として全チームが1万100ドルを受け取る。これに二人目以降の創業者ひとり当たり3000ドルが追加される。ただし創業者4人以上の場合、2万ドルが上限だ。

グレアム「スタートアップを始めてもたぶん失敗するだろう。ほとんどのスタートアップは失敗する。それがベンチャー・ビジネスの本質だ。しかし、失敗を受け入れる余裕があるなら、失敗の確率が90%ある事業に取り組んでも判断ミスにはならない。40歳になって養わなければならない家族がある状態での失敗は深刻な事態になる。しかし君たちは22歳だ。しっぱいしてもそれがどうした?22歳で在学中にスタートアップに挑戦して失敗したとしても、23歳の一文無しになるだけだ。そして得難い経験を積み、ずっと賢くなっているだろう。これが我々の呼びかけている学生向けプログラムの概要だ。」

 創業者が最初、良くないアイデアを試み、2度めに得たアイデアで大成功をおさめるというのはよくある現象です。我々自身がそれを経験しています。ビル・ゲイツポール・アレンの場合でさえそうだった。彼らの最初の会社はマイクロソフトではなくトラフォデータという会社で、ほとんど利益を上げることが出来ませんでした。

「ピボット」というのはスタートアップの世界でよく使われる用語で、当初のアイデアや戦略を根本的に見直して新しいものを採用することを言う。スタートアップは頻繁にピボットするものだ。

若すぎる起業家の犯しがちな失敗は、誰も金を払おうとしないようなソーシャルななんとか を作ることだ。君たちには人が少しでも金を払うようなプロダクトを作ろうとしてみることがいい練習になる。企業というのはつらい仕事だ。インターネット版の風俗営業みたいなものだな。しかし決して虚業ではない。

32歳はおそらく25歳より優れたプログラマーだろうが、同時に生活コストが遥かに高くなっている。25歳はスタミナ、貧乏、根無し草性、同僚、無知といった企業に必要なあらゆる利点を備えている。・・・所有物が車1台分くらいしか無いか、あるいはそもそも持っていく価値が無いようなものばかりというのが「根無し草性」だ。

貧乏という鞭を当てられているのでなければスタートアップのストレスに耐える気にはなれないと分かっていたんだ。

われわれ、つまり30歳と29歳のコンビがこういう完璧に馬鹿げたアイデアに真剣に取り組んでいたことを考えれば、20歳を少し過ぎたばかりのハッカーたちが我々のところに来て、絶対にビジネスになるはずがないアイデアを得々と語るのに驚いてはなるまい。

われわれはきみたちをクビにはしない。しかし市場が君たちをクビにする。君たちの仕事がつまらなくても、私は君らの後を追いかけ回して、『こんなつまらん仕事、いい加減にしろ』と叱ったりはしない。

実は過去にはイライラして口うるさくしたことがないではない。しかし何の役にも立たなかった。まずい仕事をする人間はいつまでたってもまずい仕事をし続ける。泳ぎを覚えられるか、それとも溺れるか、だ。・・・これまでに成功したスタートアップは皆一切脇見をしないチームだった。寝る、食う、運動する以外はプログラミングしどうしだった。

ハッカーに占める女性の割合はたしかに少ない。しかしそこまで少ないわけではない。・・・これは成功するスタートアップは創業者同士が以前から親しい友人関係にある場合が多いという事実と関係がある。親友というのはたいていの場合、同性だ。元々女性の割合が少ないところに、さらに女性の親友のグループということなると確率は2乗されてさらに少なくなる。

つまりYCに女性創業者が少ないのは何らかの差別によるわけではなく、純然たる確率の問題なのだ。

パーティで出会った多くのコンサルタントたちが、ほとんど弁解するようにして、自分たちの仕事を説明するのを見て不思議な気持ちがした。我々が起業家になるという決心を說明してきたときと同様、彼らは、なぜ今コンサルタントをするのがよいのか様々に正当化していた彼らは起業家に対して引け目を感じているようだった。それを見るのはシュールな経験だった。私の経験から言って、イギリスでは、大学を出たらすぐに起業すると言えば変わり者として多少なりと仲間はずれにされるおそれがある。私は、すぐに起業することが自分自身への最高の投資なのだと何度も主張しなければならなかった。ここでは逆だ。皆が企業こそ普通の生き方だと考えている。そのことになれるのに少々時間がかかった。

<個人的な経験として、アカデミアも同様の傾向があるように思う。知り合いの研究者の多くは、テニュアをまだ取得していない博士課程の学生やポスドクに対して、極めて保守的でほとんどオリジナリティのない研究を薦める傾向がある。曰く、好きな(そして、オリジナリティのある)研究は博士号やテニュアを取ってから好きなだけやればいいという論理だ。しかし、僕が見る限りそう言っている研究者は博士号やテニュアを取得しているにも関わらず、好きでもなければオリジナリティもまるで感じられない研究を依然として続けているようにみえる。逆にオリジナリティを感じる研究を好きにやっている研究者は、残念ながら若いときから好きな研究をやっているのだ。彼らの脳機能が停止しているのは一向にかまわないのだが(納税者としてもの申したい気持ちが無いわけでもないが)、邪悪な病原菌を振りまくのはぜひとも止めていただきたいものだ。※もちろんこれは僕の勝手な意見で、本の内容とは何の関係もない。

 グレアム「いいか、アイデアを生み出すための3か条だ。

  1. 創業者自身が使いたいサービスであること
  2. 創業者以外が作り上げるのが難しいサービスであること
  3. 巨大に成長する可能性を秘めていることに人が気づいていないこと」

 <アカデミックイシューに落とし込めば、自分が好奇心のある分野で、自分以外が分析するのが難しく、巨大に成長する可能性のある分野の研究をしろ、ということだ。間違っても、自分の興味が無く、巨大なリテラチャーが既にあり(自分以外の人も分析可能)、すでに巨大に育っている分野の研究ではない。こう書いてみると、前述した脳機能停止状態の研究者が勧めてくる戦術は、アカデミアにおける大企業病と考えてもいいのかもしれない。

誰かが自分のためにスタートアップを作ってくれるとしたらどんなのがいいか自問してみる。次に、自分以外の誰かにとってどんな困った問題がありうるか考えてみるのも良い。・・・仕事をしていて、ここのところを誰かうまく解決してくれたらなあと思うようなことはなかったのかい?・・・いま解決されていない問題が、後になればニーズなんだ。私のマックブック・エアは起動するのに1分もかかる。・・・グレアムは優れたアイデアというのはいくらでもそのあたりに転がっていて、誰かが拾い上げるのを待っているのだと說明した。「そういう話はいくらでもあるんだ」と彼は締めくくった。

ベンチャーファンドの名門、セコイア・キャピタルがスタートアップの持ち込むアイデアを評価するのに使っているシステムだ。「彼らのシステムでは、『需要の緊急性』を重要な要素のひとつとしている。これはつまり新しいアイデアを見たら、まずその時点で他のグループがそのアイデアを追求しているかどうか調べるということなんだ。セコイアは『そのアイデアで、どんなつまらないソリューションでもいいから、今現に誰かが提供していないか?将来のユーザーを奪い合う事になりそうなライバルはいないのか?』と創業者に尋ねる。『いえ、誰もいません』というのが一番いい答えだと思うだろう?しかしそうではないんだ。それはそのアイデアにそれほど差し迫った需要がないことを意味する。」

間違っていても何らかの決断をするほうが、ずるずると決断を引き伸ばすよりずっといいんだ。自分が興味を持てることをやるのが重要なのははっきりしている。しかし、失敗のコストが最小であるようなアイデアを選ぶようにしなけりゃいけない。この場合のコストというのは君らがそれにかける時間だ

ポール・グレアムシリコンバレーで広く引用される格言が好きだー「数字で測れるものを作れ」数字で測ることは、プロダクトのパフォーマンスのある側面を注意深く観察することにつながる。それがプロダクトの改善をもたらす。・・・ある週に目標達成に失敗したら、次の週は二度と失敗しないようにする方法を考え続けろ。目標設定が効果があるのは、集中力が養われるからだ。スタートアップではやるべきことは毎日無数にある。・・・しかし毎週成長目標を決めたら、その目標を達成するのにどうしても必要な仕事はどれとどれなのか、適切な時間の使い方を必死で考え抜く必要がある。・・・数字で測れるものを作るということなのだ。

YCの3ヶ月を無駄にしてしまうやり方で一番よく見るのは、何もしないことだ。毎週なにか新しいことをやり遂げていかないのなら失敗は確実だ。そんなことがあるわけ無いと思うだろう?・・・ビールを飲んでプレイステーションで遊んで過ごしたりはしない。そういう意味で何もしないと言うんでは人だ。そうではなくて忙しく間違ったことをして過ごす人間が多いんだ。・・・新しいユーザーを獲得すると言ったほんとうに重要な目標を達成する役には立たないんだ。・・・君たちがなにか新しいことをやる。するとユーザーから『これは好きだ、これは嫌いだ』と反応が帰ってくる。それで君たちは次に何をやればよいのか、新たな情報を得ることになる。要するに新しいものを作り出さないことは何もしないということなんだ。そこに気をつけないといけない。

グレアムは「ハッカー向け投資ガイド」という記事の中で「真のリスクテイカー」として個人の「エンジェル投資家」を讃えた。・・・グーグルがクライナー・パーキンスとセコイアから投資を受けたことは誰でも知っている。しかし多くの人々はこのベンチャーキャピタリストの投資が非常に遅い段階で行われたことを知らない。・・・ベンチャーキャピタリストは「いち早く尻馬に乗る人種だ」・・・「多くのベンチャーキャピタリストは誰が勝つかあえて予想しようとはしない。彼らは誰かが勝ち始めればいち早く気づく。しかしエンジェル投資家は誰が勝ちそうか予想しなければならない」・・・セコイア・キャピタルから調達・・・YCは最初期のスタートアップに少額を投資するという点ではエンジェル投資家である一方、外部から集めた資金を投資するという点ではベンチャーキャピタリストでもあるような存在となった。

デビッド・リー・・・ 私が投資すべきかどうか判断する際に一番注目するのは創業者です。『私はこの創業者の下で働きたいと思うだろうか』と自問することにしています。・・・「創業者は私にその下で働いてみたいと思わせるような潜在能力を持つ必要があります。もちろんはじめからそんな能力がなくてもかまいません。・・・偉大さというのは最初からはっきり目に見えるものではないのです。だから私は優れたエンジニアである創業者たちが好きです。彼らは最初のアイデアがうまく行かなかったときに方向転換してやり直し、窮地から脱出することができるからです」

 グレアム「常に成長率に目を光らせ、なんとしても設定した目標成長率を達成しなくてはならない。ゲームだと思え。どうしても目標を達成しようと努力しているうちに何をしなければいけないのかが自然にわかってくる。集中が答えを与えてくれる。成長率は羅針盤だ。この次に成長率を聞かれたら即座に数字が答えられるようにしておくんだ。」

グーグルだ!IPOだ!シリコンバレーでは何もかもすごい!・・・キャンベルは、スタートアップライフに対するこの甘い認識に遭遇すると、声を大にしてこう言いたくなる。 「そうじゃない。君たちが自分で手を動かして仕事を終わらせなきゃならないんだ。あのレベルに行くためには、山ほどのきつい仕事や単調でうんざりする作業をする必要がある。自分たちがやらなきゃ、誰もやらない」。年配の応募者たちがスタートアップに必要な仕事について悲しいほど無知なのを見て、キャンベルは対象を最近の大卒に絞った。

ヴィドヤードみたいになるんだ。セールスアニマルに。もしきみたちがセールスアニマルでないなら、そうなるように自分を矯正するんだ。たとえそれがどんなに不快だったとしても。 

最高の人たちは自分のやっているビジネスが好きで好きで仕方がない。愛していると言ってもいい。そうだろう?だからもし君たちがこのNFCを愛しているなら、大きなビジネスになると信じているなら、わたしは真実の愛を求める君たちの邪魔をしたくないんだ。

一緒にブレーンストーミングをして、愚かな決断を辞めさせ、うまくいかないときには元気づけてくれる仲間が必要だ

創業者は必ず二人以上必要だが、多すぎてもいけない。・・・スタートアップを国連のようにはしたくないはずだ。あれは最小の物事を成し遂げるための一種の民主的プロセスだ。

我々は、世界征服計画をでっち上げる練習を何度も繰り返す・・・私達がどうやって勝つのかって?写真を預かるサービスは山ほどあります。そんなにたくさんあるということは、まだ勝てる余地があるという兆候です!まだ誰も正解に至ってないという意味なのです。・・・何をお考えなのかわかっています。なぜ私達なのか?ですね。・・・なぜ君たちなのかを説明することだ。

テクノロジーのハブを作るには2種類の人間さえいればよい。金持ちとハッカーだ。・・・スタートアップという存在を可能にするにはこれらの人々が必要だ。スタートアップが生まれる時にその場にいる必要があるの箱の2種類の人間だけだ。他の人間はどこにいてもよい。

失敗のリスクが許容できる人生の段階にいるなら、スタートアップで成功できるかどうかを知る唯一の方法は実際にやってみることだ

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