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SUPER BOSS (スーパーボス)【前半】

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 それぞれの業界で一流と呼ばれる50人の内15~20人ほどは、一人かせいぜい2,3人の同じ才能養成者のもとで働いたか、教えを受けたことがあるのだ。こうした才能養成者を、本書ではスーパーボスと呼ぶ。また、人材だけでなく各業界のイノベーションにも、スーパーボスが関わっている。

スーパーボスは並々ならない情熱を持っており、寝ても覚めても自分のビジネスのことを考えていて、周りの人間もその行動をまねしたくなる。裕右脳な人財を求めて普通では考えられない場所にも目を向け、いざ見つけたら多彩な方法で面接をする。仕事のハードルをありえないほど高いところに設定し、部下に限界を超えさせようとする。教育指導法は一見すると気まぐれで法則性がなく、周囲の人間にはなかなか理解できない。リスクを恐れることなく経験の浅い部下にも責任ある仕事を与える。そして時期が来れば、特に優秀な部下には独立を進めることさえ少なくない。独立した元部下は、スーパーボスが業界にはりめぐらせた戦略的なネットワークの一部となる

マネジャーで最悪なのは、部下の成功を横取りし、悪いうわさを流し、中傷するなど、理想とはほど遠い行いをして士気を下げ、成長を遅らせ、能力をうまく発揮できなくさせるタイプ・・・性格は穏やかで控えめな場合もあれば猛烈で好戦的な場合もあるが、心に響く教え方が実に上手いのだ。・・・ボス然としたボスは自分本位の成功をおさめることはあるが、砂上の楼閣のようなもので一度崩れるとすべてが失われる。それに対してスーパーボスの成功は長続きし、次世代を担う人材を育てもする。

労働者のほとんどは仕事に愛着も満足も感じていない。・・・スーパーボスの行動を見習えば、後進を育成することも、有望な人材を無尽蔵に惹きつけることもできるようになる。

ブラックロック社の創業CEO、ラリー・フィンクは、自分のキャリアで何が一番心に残るかと問われて、こう答えた。「私がいなくなった時に会社を運営することになる、人的レガシーです。」

部下を指導する立場なら、スーパーボスをロールモデルにすることで自分も有能な人材を見つけ、オールスターのチームをつくり育てることができる。超一流の従業員を絶えず獲得したいと考えている取締役なら、組織にいるスーパーボスを探して重用し、まわりに見習わせるようにするとよい。社会人になって間もない場合は、スーパーボスのもとで働くチャンスを逃さないようにしよう。投資家なら、スーパーボスの事業から目を離さないようにしたい 。

私が「因習打破主義者」と呼ぶこのタイプは、手取り足取り教えなくても関わっているうちに情熱が伝わって直感的に教育でき、しかもそれが自分の成功に寄与すると信じて疑わない 。芸術家肌のスーパーボスで、創造的天才とみなされやすい。私が研究した中では、アリス・ウォータース、ジョージ・ルーカス、ローン・マイケルズ、ラルフ・ローレン、ヨルマ・バヌラ、ロバート・ノイスが因習打破主義者の性質を強く備えている。

マイルス・デイヴィス「私は変わらなければならない。これは呪いのようなものだ。・・・偉大なミュージシャンであり続けるには、新しいものやその時起きていることにいつもオープンでなければならない。だから、成長を続けて自分の音楽を続けたいなら、そういうことを吸収できるようにしておく必要がある。」

ふたつ目のタイプは、人を育てることよりも何が何でも勝つことを目指す「栄誉あるろくでなし」である。勝利こそが至上命題であり、部下を連日深夜まで働かせたり、失敗を容赦なく咎めたりすることもある。・・・このタイプが「栄誉ある」上司になれる秘密は、勝利のためには最高の人材とチームが必要だと理解していることにある。・・・部下個人の成長には全く興味が無いが、驚くべきことに利己的な関心だけで一流の人材を育ててしまう。・・・オラクル社を創業したラリー・エリソンはその最たる例である。・・・「エリソンは他人の負けを喜ぶんです。それこそ病気みたいなものです。そういう人なんですよ。」・・・「エリソンは会社の戦略や自分の目標を説いて社員を鼓舞するのがとてもうまかった。しかし、恐怖心や欲望を利用してやる気を引き出すことも多かった。」 

因習打破主義者や栄誉あるろくでなしと違って部下の成功を心の底から気にかけ、自分の育成能力を誇りに思っているような善意のスーパーボスである。この3番めのタイプを「養育者」と呼ぶ。・・・養育者はいつでも部下を指導・教育できるところにいて、高いレベルを達成させるために積極的に関わろうとする、いわば「活動家肌のボス」である。・・ノーマン・ブリンカーは次の言葉を残している。「私は人を育てた。長年の間に140万人も雇い、その成長を見てきた。厨房で働いていた従業員がマネジャーに鳴り、ストアマネジャー、さらには役員に昇進したこともあった。・・・社員に辞められるのは寂しいものだが、リスクを取って成功したと聞くとワクワクする。」

 スーパーボスが必ず持っている要素の一つ目は、計画やアイデアを実行に移すときに見せる「恐れ知らずなほどの自信」である。「問題などありはしない、あるのは解決策だけだ」・・・ふたつ目は「旺盛な競争心」である。・・・「マイケル・ミルケンほど負けん気の強い人は見たことがありません。共同のアパートメントで皿洗いをすると、かかった時間をいつも計って、自分はもっと早く出来るっていうんです」。・・・3つ目の要素は、イノベーションの源泉となる「たくましい想像力」だ。スーパーボスは空想家であり、夢を実現するためにはどうすればいいかを真剣に考える。・・・4つ目は価値観や自意識などの「軸がぶれない」ことである。スーパーボスは一部のリーダーがするようなごまかしはしない。ボス然としたボスと違って、自分のエゴを満たすことに気を取られることもない。いつでも自分自身や信条や価値観に対して誠実なのだ。・・・指揮者のチャールズ・プリンスは、恩師のヨルマ・パヌラについてこう言った。「客足のことは気にしない人です。興味があるのは、音楽をできるだけ最高のものにすることだけで、指揮者についてまわる雑事は見向きもしません。ただ芸術と作品のことのみを考えているんですよ。見ていて感心するほどです」。

最後の5つ目は、ぶれない軸から自然と生まれる「裏表のなさ」である。・・・その気ままな性格から、スーパーボスはユニーク、独特、さらには「謎」とみなされ強烈に印象に残る。

スーパーボスに話を聞くと、それとは反対の意見ばかりが出てくる。もちろん高い学歴などの公式な資格を持つ人材は歓迎するし、一般的な採用テストや心理テストを使わないわけではないが、スーパーボスはそうした機会的なツール以外に、よりクリエイティブな「才能探し」をする。すでに同じ仕事をしている人材を探すという考えは、決して持たない。実際のところ、従来の採用基準に治まってしまうような特性を持っていても、スーパーボスの注意はまず引けないだろう。・・・スーパーボスが雇うのは平凡な人材ではなく、やる気と聡明さと創造性を兼ね備えた、次代を担うスーパースターの原石である。 

 ほとんどの企業の経営陣、特に人材担当者は、才能があって賢くてリーダーの素質があり、全般的に優秀な人材を求めていると口をそろえる。しかし、スーパーボスが求めるのはこんなレベルではない。才能があって賢いのではなく、人並み外れた才能があっておどろくほど賢い人材、普通のリーダーではなく、変化の推進者。成功の可能性が高いタイプではなく、成功の定義そのものを変えてしまうような人材である。

ラリー・エリソンは、プロジェクトに人を雇う際には技術的な議論をしたあとで候補者が「持っている」と感じるかどうかを判断の基準にするという。・・・具体的にはなんだろうか?ほぼすべてのスーパーボスが求めているのは、ずば抜けた知性だ。

ローマン・マイケルズには、常に繰り返し言っている次のようなルール・・・「部屋を見回して自分よりも賢い人物がいないなら、そこにいるべきではない。見回してみて『すごい人達だ』と思うような部屋が、いるべき場所だ。」

特別な何かの二つ目は、創造力だ。スーパーボスは自分と同じような考えを持った従業員は求めておらず、自分同様に、独創的で人と違うやり方で問題に取り組める人材を探している。さらに言えば、独創的なやり方で実際に解決し、知識をクリエイティブに活用できる人材だ。・・・候補者と話すときに何よりも期待しているのは、その人物の考え方だ。・・・就職希望者の話をよく聞くことで知られていたのは、ここに理由がある。自分が新しいことを学ぼうとしていたのだ。

3つ目の何かは高い柔軟性・・・特殊な専門分野を持つ人材を雇うことはスーパーボスもよくあるが、ひとつのことしか出来ない専門家に通常は興味がなく、多種多様な問題に対処できる能力を求める。・・・ノーマン・ブリンカーの考え・・・「言うなれば、一塁を守る選手を雇うことは嫌いで、いい野球選手を雇いたいという考えだったんです。」・・・不動産王のウィリアム・サンダース「誰かを雇いたいと思ったら、必ずすごい人材にせよ。さもなければ誰も雇うな」。ラリー・エリソンは、就職希望者に「あなたは知り合いの誰よりも賢いですか?」と聞くよう採用担当者に指示していた。答えが「イエス」なら、先の面接に進める可能性が高くなる.「ノー」であれば、「では誰が一番賢いですか?」と聞かれる。その希望者は選考過程から除外され、採用担当者は名前が挙がった人物にコンタクトしたという。

 ラリー・エリソン「採用の時に求める適性は数学と物理と音楽(数学と深い関係がある)だが、自分の時間を何に投資するか決められる能力も必要だ」。

有能な部下を雇いたいと口では言っても、ほとんどのマネジャーは実際にそういう部下ができることをよく思わない。仕事の内容とそれに必要なものを自分よりしっかりと理解している部下を監督することに居心地悪く感じ、自分より活躍されるのではないかと不安になるのだ。・・・ほとんどのマネジャーはレッテル張りと対処がしやすい二流の部下を選んでしまう。・・・自意識過剰で横柄な「ボス然としたボス」はこの極端な例だ。このタイプは、自分を凌ぐスキルや適性を備えた人物をなんとしても認めようとしない。・・・ドナルド・トランプ・・・人気をさらう可能性のある人間と日常的に関わることは、耐えられないのだ。・・・スーパーボスはそれぞれの分野で極めて有能だと自覚し、安心しきっている。その地位は虚栄の上に成り立っているわけではないからだ。スーパーボスは自己意識が強いので、どれほどレベルの高い能力を見せられてもぐらつくことがない。そればかりか、新人からの挑戦を楽しみさえする。その挑戦が優れた洞察に裏付けられている場合は特にそうで、自分の理解が深まり、能力が上がり、より良い解決策が浮かぶきっかけになれば、有り難いと考える。

ジョン・グリフィンによれば、ロバートソンは「食虫植物のハエトリソウが餌をよこせ!と叫んでいる」かのように新しいアイデアを求めていたという。ロバートソンが喜んで雇ったのは、「人とは違う自由で新しい物の見方」をし、「ドン・キホーテのように風車に立ち向かうことも厭わない」人材だった。ラリー・エリソンも自身が「内なる楽隊に鼓舞される」と表現する従業員を特に自慢にしていた。その理由は、「私の知恵にいつも疑問を持ち、私に挑戦することを少しも恥じることがなく、私のミスを防いでくれると期待できる」からだ。・・・ウィリアム・サンダースは「私より4倍の賢い人を今までに何人も雇った」という話をするのが好きだったという。

スーパーボスの自信は、有能な新人を活用するために組織を変えることにもつながる。・・・ジョージ・ルーカスのスタジオ、インダストリアル・ライト&マジック(ILM)の従業員には、決まった業務というものがなかった。必要な能力と従業員の空き状況に応じて、幾つものプロジェクトで作業を割り当てられたのだ。・・・人材を最大限利用するには極めて高い柔軟性と、ある程度の監督権を進んで手放すことが必要になる。

 才能の磁石になることの利点は、逸材がより大きなチャンスに向けて巣立っていってしまっても(そしておそらくは巣立つからこそ)、次の人材が常に集まってきてチームと組織で才能を再生産できることだ。それも、普通の人材ではなく、とびきりの逸材だ。結局のところ才能の磁石に引き付けられるのは、向上心とやる気にあふれていてスキルと適性が申し分のない人材であることが多い。スーパーボスは個人の成長に繋がる最高の道を用意してくれる。だから誰もがスーパーボスのもとで働きたいと思うのだ。

スーパーボスが求める成果は、ただ素晴らしいだけでなく、ずば抜けて素晴らしいものだ。・・・エリソンの大きな強みは「優秀な人材に不可能なことをさせる」ことだった。そのやり方の一つに、不可能な目標をはっきりと設定することがある。・・・ドナルド・サッター「サンダースから教わったことの一つに、こういうものがあります。サービス業に参入するつもりなら、あるいはクライアントや投資家と付き合うなら、ただいいだけでは不十分だ。完璧でなければならない」。

スーパーボスは前年の数値や、ある地位にいる従業員の「平均的な業績」にはこだわらない。従業員本人が当たり前と感じている限界にさえこだわらず、どこまで行けるかを見ようとする。 スーパーボスは部下をオリンピック選手のように扱い、限界のその先を目指すよう背中を押す。・・・「ラルフ・ローレンは、自分がどこまで出来るのか把握していないような部下に、チャンスを与えるのが見事だった。」・・・マイケル・ミルケン、「おそらく学校や日常生活では目標を低く設定しすぎている。私達は過去の実績よりもはるかに高いレベルを達成できるものだ。困難に直面すれば、なんでも出来る。自分に十分な困難を与えていないのが現状だろう。」・・・いつもいい意味で飢えていた。ローレンは周りの全員に対して、緊張感を保って上を目指すよう求める。他の誰かに追い越されないように、そして自分自身を追い越せるようにするためだ。・・・ミルケン「仕事に精を出して非難される筋合いはない。バスケットボールが好きな人がいれば、ゴルフが好きな人もいる。私は精一杯仕事をするのが好きなのだ。」

 スーパーボスの部下は時間も忘れて仕事に打ち込むのだ。しかも富や名声や栄光のためではなく、スーパーボスビジョンを共有していて、それが魅力的だからだ。

マーケットシェアや利益が上がるからという理由だけで部下の能力を引き出してはならないということだ。能力を引き出していよいのは、部下都市名について本気で情熱を感じる場合だけなのだ。・・・「ローレンを特別な存在にしているのは、目的へのひたむきさだ。・・・彼はトレンドに乗らなかった。ローレンについて一番重要なのはなにかといえば、これに尽きる」。・・・ローレンが部下に促したのは、素晴らしい仕事をすることだけではなかった。業界で誰もやっていないことをして、ファッションに新しい地平を切り拓くよう教えていた。そのために創造的な仕事のやり方をし、リスクを取り、自らの才能と知見を作品に込めることも求めた。

 R2-D2というキャラクターはピコピコ言うだけで英語を話しませんが、言ってることが分かるようにしないといけません。脚本に台詞は書いてなくて、電子音だけだったんですけどね。・・・初めのうちは多くの音が、「有機的」響きが足りないという理由で却下された。・・・「ジョージ・ルーカスは思ったことしか言ってくれないんですよ。詳しいことはあまり言わずに、『よくないね、ほかになんとかならないかな?』って。なれますけどね。」・・・ルーカスはスタッフが自分なりの巧みな「半ば完成した」アイデアを出すよう期待した。「自由が与えられていたので、アイデアを考えてルーカスに提案できました。それを彼が吟味して気に入らないのを外し、刺激を受けたら自分のアイデアを加えます。私のアイデアを具体化してうまくいくか確かめるチャンスがありました。」

スーパーボスは部下のしていることに嬉しい驚きを感じたいと思っている。だから新しい可能性を探すよう促し、必要とあれば直感的に方針転換もする。部下から新しいアイデアを絶えず引き出し、その過程でビジネスを成功に近づけられるのは、こうした振れないビジョンと変化への柔軟性を両立するという、一見すると不可能なスタンスなのだ。・・・たいていの会社では、新しいアイデアは全く受け付けてもらえない。環境への適応とイノベーションが必要だと口で入っている上司でも実際には、ルールと指示に従い、出過ぎたこともせず、言い訳もせず、目標に邁進するという、自分が教えられた通りの働き方を求めている。日常業務にイノベーションを組み込むこと無く、専任のタスクフォース、委員会、プロジェクトチームを作って変化への対応を考える部署を限ってしまうのだ。・・・スーパーボスがこんなふうにならないのは、これまで紹介したように、本人が根っからのイノベーターだからだ。・・・部下を雇う際には、自分のビジョンに賛同して確信する部下を暗に求めている。その一方で、ビジョンづくりに役立つ柔軟性と革新性を重視するマインドセットも、身に付けるよう求める。そうして、誰もが自分と同じように先見性を持てという。

多くの会社では、「戦略」に注力する上級役員と「実行」に専念するその他のマネジャーとの間に、明確な境界線が引かれている。・・・組織のあらゆるレベルで誰もが考えるよう求める。

「ウォータースが得意なのは『編集』なんです。厨房で誰かが困っていると、いつもそばに寄っていました。そして必ず作業台を見下ろして、何が問題なのか、あるいはただ『抜けて』いるのかを見定めます。で、自分としてはこうしてほしいとか、もう少し難しいことを言うんですが、それで方向が修正されるんです」・・・「いい演奏家を揃えて、やる気を引き出さないといけません。でも、演奏するのはあくまでも彼らなんです」・・・何を変えて何を保つべきか?どこで線引したらいいのか?・・・組織の目的は守りつつも、手段はあらゆる面で絶えず改良するという心構えでいればいいのだ。

スーパーボスが柔軟性とイノベーションを部下に身につけさせるためにとっている行動は。3つある。

 スーパーボスの部下は時間も忘れて仕事に打ち込むのだ。しかも富や名声や栄光のためではなく、スーパーボスとビジョン共有していて、それが魅力的だからだ。

一つは、常にリスクを取ってルールを破れと奨励することだ。・・・ノーマン・ブリンカー「そこから何が出来ると思う?うまくいっているのはなぜだ?さあ、試すんだ。」・・・スーパーボスに取ってはただリスクを取るだけでは不十分で、従業員がリスクを「積極的に」取るのが理想だ。アイデアが浮かんだらすぐにイニシアチブを取るよう上司から言われても、部下の多くは事前に承認を得ようとする。上司が口で言うほど心が広いとは限らないので、予防線を張りたいからだ。・・・実行すると褒められ、実際になんでも出来ました。改善のアイデアをジェイ・シャイアットに提案すれば、かならず『さっそくやってみてくれ』と言われました。

ふたつ目は、新しい挑戦をはばむ恐怖心を取り除くことだ。・・・失敗はチャンスが姿を変えたものだと捉え直す。本能的に失敗を恐れず、成功までに通らなければならないステップだとみなすのだ。・・・ジョージ・ルーカスマイルス・デイビスの両方と仕事をしたことがあるスコット・ロス「2人共恐いもの知らずでした。私が見た限りでは20歳みたいでしたよ。戦場に飛び込んで撃たれる覚悟はいつでも出来ていたようです」。・・・ノーマン・ブリンカー・・・「失敗やミスを認めようとしないということは一度もありませんでした。そのおかげで周りの人間は随分安心できましたよ」

ジェイ・シャイアットの広告代理店は「創造性と個人の自由が感じられる、人生でいちばんユニークな仕事場」だった・・・一挙手一投足に口出ししてくる上司がいなければ、部下は果敢に挑戦して、仕事で表現する許可を暗に受けたと感じる。スーパーボスは部下を信頼している。だからこそ雇っているのだ。それに比べて現在の職場の多くでは、「自分で決断する自信がない」せいで従業員は四六時中、Eメールを同僚に送っている。・・・ロバートソンのオフィスは他社と違って、新しい考え方と実験が行われる安全地帯となった。

3つ目は、過去の栄光にしがみつかせないということだ。・・・シャイアットのミドルネームは『イノベーション』でした。リスクを冒すのは一向にかまわないという独特のビジョンを持っていて、安全策を取るなんてあり得なかったんです。・・・恐れるものがあるとすれば、それはイノベーションのために無茶をすることではなく、イノベーションをやめて現状に満足してしまうことだ。・・・スーパーボスは部下に対して、既存のものを受け入れ、さらに数歩先を強迫観念に駆られたように目指す勇気を持てと教える。

スーパーボスはまず、普通よりも知性に恵まれていて「何かある」と思わせる有能な人材を雇うことから始める。次に、ビジョンで感化し、やる気を引き出し、限界まで駆りたててレベルアップする自信をつけさせ、その才能を解放させる。しかし、それでは不十分の場合は、決定的な一押しをする。部下に向かって「よし、これからは何もかもを見直さないといけない。世界を変えてこい!」と喝を入れるのだ。

スーパーボスは普通のいいボスよりも部下の成長に対して個人的な責任を大きく取る。部下の方もスーパーボスからの注目と指示を多く期待する。・・・どんな弟子もそうであるように、スーパーボスの部下も同僚と交流したりノウハウを習得したりする時間が必要だ。また、一人で復習や自分なりのやり方を編み出す時間も無くてはならない。

マイルズは「歩きまわるマネジャー」で、全社の人間と知り合うために時間を掛けたという。・・・師弟方式で最も基本で重要なのは、単純に部下のそばに居て知り合いになり、引き込むことだ。・・・多くの会社が顧客との距離を縮めようとしている現代にあって、スーパーボスは部下やチームのメンバーとの距離を縮めることに腐心する。

スーパーボスは現場に驚くほど深入りして部下とともに働き、行動の手本を示すと同時に部下を導くのだ。スーパーボスがこれを出来る理由は、第一に自身がその道に精通していて部下に伝える教訓を豊富にもっていることにある。

普通のボスは、官僚主義を口では批判しても、実際には社内連絡表、長々としたミーティング、公式の肩書きといった形式を捨てられない。無くなったら組織に不確実性がまして混乱が生じるのではないかと恐れているからだ。・・・スーパーボスの会社も完全にフラットではない。最終的にはスーパーボスが組織のトップとして決定権を持っている。しかし、形式張らない関係によってイノベーション、創造力、ダイナミズムが生まれるなら、秩序を多少犠牲にする価値があるとスーパーボスは考えるのだ。・・・スーパーボスの究極の目的は、単に部下に対する上司になることではなく、弟子のことを熟知して目を配り、信頼される師匠になることなのだ。

スーパーボスの指導が強く印象に残る理由は、一つにはくつろいだ場において変わったやり方で伝えられるということがある。・・・「小さなヒント」を、一緒に夕食をしている時にくれた・・・デイビスとレコーディングをしていると、ハンコックは左手を尻の下に入れて右手だけで演奏するよう言われた。・・・ハンコックが音をより繊細にコントロールできるようにするための、デイビスなりの教え方だった。

俳優のジャック・ニコルソン「コーマンと一緒にいると基礎が学べる。いい基礎もきつい基礎も。忘れることは決してない。」

トリー・バーチは、「商品からマーケティングや店の外観に至るまで、会社の完全なビジョンを持つことの重要性」をラルフ・ローレンから教わった。・・・アリス・ウォータースから学んだのは、レストラン経営のあらゆる側面において「詳細に注意し完璧を求める」ことだった。

スーパーボスなら、才能ある人材の重要性を教えるのではないかと思った方は、正解だ。スーパーボはただ「うまく雇う」よう教えるだけでなく、ずば抜けて優秀な人材を雇い、その才能を最大限引き出して限界を超えさせることが重要だと部下に伝える。

・・・「人生訓」・・・例えば仕事を完璧なものにし、価値観、信条、ビジョンに正直であろうと努力することの大切さ、つまり自制心である。・・・エサ=ペッカ・サロネンは、ヨルマ・パヌラについてこう言っている。「彼からのメッセージで一番大事なのは、文化や社会のあらゆる基本原則を疑い、ひたすら誠実さを追求することです。」・・・確信を持てない投資案件にぶつかった時のことをこう語る。「ロバートソンの声を聞くようにします。『やめておけ、よく考えろ、1週間待ってからもう一度検討するんだ』と。」

スーパーボスなら、部下は教えを肝に銘じて自分のものにする。ッそしてキャリアを通じてその教えを繰り返し利用する。・・・デビッド・マーフィーは次のように言っている。「シャイアットが亡くなってから気づいたことですが、私が役員として経験が浅かった頃は彼に大きな影響を受けていました。リスクをとっても構わない、質問をしてもいい、重要なのは今やっている仕事の結果だから真剣に取り組む、といったことです。」

SUPER BOSS (スーパーボス)

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