できそこない博物館

アシモフはアイデアの発生に関して「異質なものを結びつけよ」と書いている。必ずしもそればかりとは限らないが、ひとつの原理であることはたしかといえる。

いやしくも文章で生活するとなると、ある水準以上のものを書かなかればならない。どうすればいいか。その原則も単純である。自分でこれはどうもという作品は、渡さないことである。

 この映画(スター・ウォーズのこと)、非常に良く出来ている。誰も指摘しないので書いておくが、もっと見たいなというシーンをさっと切り上げ、観客に欲求不満を起こさせる。だから、何回も見る人が出るのだ。変な宇宙人ばかりの集まるバー、大艦隊の出撃の場面、いずれも時間にして、甚だしく短い。これが小説だったら、そこを読み返す。劇画だったら、じっくり眺める。テレビならビデオにもとれる。音楽なら聞き直すことも出来る。というわけで、映画ならではの手法を使っているのである。その点を意識し、効果的に活用していたのには、つくづく感心させられた。

できそこない博物館 (新潮文庫)

できそこない博物館 (新潮文庫)