完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯

ボビー・フィッシャーの問題は社会性にあった。幼い頃から自分のリズムにこだわりがあって、それが他の子供達の成長とは相容れない場合が多かったのである。・・・自分がやりたいことをやり、それをやる時間、場所、方法を、自分で選びたがったのだ。・・・フィッシャーが興味のない物事を暗記するのを嫌っていて、九九の暗記もその部類に入っていたのは明らかだ。フィッシャーが整数論素数素数が無限に存在することは理解できても単純な掛け算が出来ないという話は、アインシュタインが自分の所得税を計算できなかったという伝説に似ている。

結局、かつて詩人のロバート・フロストが、成功する教育を端的に表現したこの言葉に尽きるのかもしれない。「なにかをつかむまでは、あちこちぶらつくことだ

完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯 (文春文庫)

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