ヴァイオリニストの領分

 ソリストとは

  1. たぐいまれなる音楽の詩を感じ、それを舞台の上で性格に表現できる人。
  2. どんなコンディションにおいてもそれが出来る。ということは、練習、演奏会、旅における心身ともに健全さを保つことが出来る人。
  3. 常に音楽の中に夢を見出すことが出来る人。

ソリスト中のソリストハイフェッツの言葉を思い出した。

  1. 闘牛士のような勇気があること。
  2. バレリーナのような繊細さがあること。
  3. 夜のバーを経営するマダムのような忍耐力を持っていること。

井上ひさしさんが

  • むずかしいことはやさしく
  • やさしいことをふかく
  • ふかいことをおもしろく
  • おもしろいことをまじめに
  • まじめなことをゆかいに

「書く」と言っておられた。音楽もまさにそのとおりだと思う。

 

天才物理学者(アインシュタイン)とはいえ、ヴァイオリンが好きでもアマチュア。プロ中のプロ、ハイフェッツにかかっては曖昧な音程は許しがたい。かといって「音程が悪いですよ」という訳にはいかない。

Mr Einstein, the intonation is not a relative theory, should be an absolute pitch.

「音程は相対的ではなく、絶対的なのです」と天才が天才にアドバイス

 

往年の名チェリスト、ピアティルゴスキーに生徒が言う。

「先生、どうも気分よく(comfortable)、弾けないんですけど、どうしたらいいですか?」

「comfortableになりたかったら、帰ってベッドで寝るといい」

これも近年の名言

「眠れないんですけど、どうしたらよいでしょう」

「なら、起きてれば」

 

審査員の1人、ボリス・クシュニールの言葉が印象に残っている。「あなたは名教師と言われてさまざまの受賞者を出していますが、どこが秘訣ですか」との問いに、「コンクールを準備するためには200%の準備が必要です。でも、何より大事なことはコンクールを終えた後、とうの生徒が幸せかどうか、そこを導くことなのです」と言っておられた。なかなか出来ないことだが、これからはそういうことも頭に入れて教えようと思う。 

ヴァイオリニストの領分

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