量子革命 アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突

  •  笑わないで!煉獄には量子論の教授たちのための特別部門があって、そこで彼らは毎日十時間、古典物理学の講義を受けなければならないとか
  • アインシュタインコペンハーゲン解釈に関して)この理論のことを考えていると、素晴らしく頭のいい偏執症患者が、支離滅裂な考えを寄せ集めて作った妄想体系のように思われるのです
  • 量子論にはじめて出会ってショックを受けなかった者に、量子論を理解できた可能性はない。ニールス・ボーア
  • 量子は理論化の得意とする巧妙な工夫の一つであって、正しい答えを得るための数学的テクニックにすぎず、物理的な意味などありはしないと誰もが考えていたのだ
  • 事態は悪化している。我々は量子論と折り合いをつけるしかあるまい。しかも、量子論は間違いなく、今後さらに勢力を増していくだろう。
  • 彼をわれわれと隔てていたのは、数学の技量ではなく、自然の仕組みを深く見通す、気味が悪いほどの洞察力だった。
  • どんな文章でも、自分の言いたいことが言えたと納得がいくまで、何度でも書き直しをしないと気がすまないという彼の性分は、ほとんど神経症だった。
  • ボーアの口頭試問は史上最短の90分で終わった。
  • ケンブリッジではあらゆることがきわめて興味深かったが、何のやくにも立たなかった。ボーア
  • 理論物理学者が図に乗っているから、我々実験物理学者が、やつらの鼻っ柱をへし折ってやらにゃならん、とな。ラザフォード
  • 何を一番に褒め称えるべきだろうか。諸概念の発展に対する心理学的な理解か、数学的推論の確かさか、物理的洞察の深さか、明晰で系統的に提示する力量か、文献の知識か、主題のあらゆる側面を取り上げていることか、はたまた批判的に評価する眼力の確かさか: アインシュタインがパウリの相対性理論に寄せた評価
  • 物理学を深く理解し、何が問題なのかも分かり過ぎるほどわかっていた彼(パウリ)は、創造性をのびのびと発揮できないということがしばしば起こった
  • パウリ「君の頭の回転がどれほど遅くても構わないが、考えるより早く論文を発表するのはやめたまえ
  • 慎重に表現されたひとつひとつの言葉から、その背景には長い思策があるのだということ、それらの言葉は哲学的な考察の連鎖の結果なのだということが、明示的にではなくとも、おぼろげに伝わってくるのだった。ハイゼンベルクのボーア評
  • 行列は、数学では確立された分野だったが、ハイゼンベルクの世代の理論物理学者にとっては、ほとんど未知の領域だった。
  • 物理学が出会うほとんどすべての問題で、シュレーディンガー波動力学のほうが容易に答えを与えてくれた。しかしそれ以外の側面、例えばスピンが関係する問題では、ハイゼンベルクの行列のアプローチのほうが役に立つことが示されたのだ。・・・その背後にある物理的世界は大きく異なっていた
  • シュレーディンガーの波はなめらかで連続的なのに対し、ハイゼンベルクの粒子は飛び飛びで不連続なのだ。
  • 一個の電子の波動関数には、三次元の電子の波に関して知るべきことが全て符号化されている。しかし、ヘリウム電子には、電子が二個含まれており、それらを表す波動関数は、普通の三次元空間の2つの波ではなく、奇妙な6次元空間に生息する一つの波になってしまうのだ。・・・周期表の三番目の元素であるリチウムの波動関数は9次元空間を必要とし、ウラン波動関数ともなれば276次元もの空間に生息することになるのである。
  • ハイゼンベルクは⊿pと⊿qを、運動量と位置について得られる値の「あいまいさ」とすると、⊿pと⊿qの積はつねにh/2π以上になることを示すことが出来た。(hはプランク定数)これが不確定性原理、すなわち、位置と運動量の「同時測定に関する不正確さ」の数学的表現である。
  • ナチスの教育相は、ゲッティンゲンで最も尊敬されている数学者ダーフィト・ヒルベルトに、「君の研究所は、ユダヤ人やその友人達が去ったことで非常に苦労している」というのは事実かと尋ねた、ヒルベルトはこう答えた。「苦労?いいえ、苦労などありませんよ、大臣閣下。研究所はもはや存在していないのですから」
  • アインシュタインは1950年に書いた量子力学についての文章の中で、「問題の核心は、因果律にあるのではなく、実在論にあるのです」と述べた。「実在を描き出すという望みを捨てることなく、量子のパズルを解くことは出来る」と、彼はずっと思っていたのだ。
  • ニュートン運動方程式は、じつは(線形近似をしない限り)複雑な非線形方程式なのであって、その豊穣な非線形の世界を探れるようになったのは、二十世紀も半ばにコンピューターが誕生してからのことなのだ。
量子革命―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突

量子革命―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突