ヒトにはどんな性差があるのか?

自然科学は、人間の知的活動の中ではもっとも、そのようなゆがみを正す有効な手段を備えた活動だと思っている。それは、科学が、実験や観察による検証という手段によって仮説の修正機構を内包しているからだ。いかに人間が望んでも、天動説を守り続けることは出来ないし、いかに人間が気に入らない実験結果を無視しようと、やがては事実が自らを明らかにする。
歴史的に性差の認識が性差別と密接に関連してきたのは事実だが、差異を認めることと、差別を正当化することとは、論理的に別物である。差別を恐れて差異を認めようとしないのでは、科学的に誠実ではない。

ヒトにはどんな性差があるのか?長谷川眞理子 UP,2011,3