☆☆☆

資本主義と闘った男

// リンク 稲田は大阪大学を定年退官してまもないころに雑誌で宇沢と対談した際、出会いの情景を懐かしそうに語っている。ふたりが出会ったのは敗戦から数ヵ月と経たないころで、宇沢は一高に入学したばかりの17歳、稲田は20歳の東大生だった。 〈一高のラグ…

宇宙は何でできているのか

// リンク 太陽光を分析すると太陽の組成がわかる そんなわけですから、人間であれ探査機であれ、宇宙に「行く」のは大変なことです。しかし「見る」だけなら、もっと簡単にできます。こちらから行かなくても、向こうから地球まで届く「光」さえあれば、望遠…

Learn better

// リンク 教育に携わる人(もちろん子育てを含む)は読むべき一冊。エピローグの後にあるツールキットが実践的で素晴らしい。結論だけを知りたい人は、ツールキットから読み始め、本文に読む「価値があるか」を見定めるのも悪くない。 例えば私に都市計画の…

NEVER LOST AGAIN グーグルマップ誕生 (世界を変えた地図)

// リンク 営利目的の企業が次々と誕生した。彼らのビジネスは無料で使えるグーグルマップAPIに依存していた。グーグルは世界最高のベースマップを作るという重労働を肩代わりし、誰もが使えるようにした。そしてそれは、数千万ドル規模のビジネス(時には数…

予測マシンの世紀

// リンク 補完財と代替財の「財」が材木の「材」になっている。経済学者が書いた本の翻訳でこれはさすがにひどい。ちゃんと出版社がチェックするべき。 ウィリアム・ノードハウスは、詳細な分析をもとに、こんにちと同じ量の光を確保するためのコストは18…

ピクサー

// リンク 「でも、ピクサーはバンドや俳優と違います。会社です。アニメーション部門にこれから千人採用しても、この契約では、その全員がディズニーの仕事しかしてはならないことになってしまいます。こんなふうに会社全体を縛る契約、ありなんですか?」 …

その問題、数理モデルが解決します

// リンク 数学を用いて観察される現象を分析する方法を一般に(数理)科学といい、科学は大きく自然現象を分析する自然科学(物理学など)と社会現象を分析する社会科学(経済学など)に分けることができる。中学や高校の物理学では数学が用いられ、自然科…

天才数学者、ラスベガスとウォール街を制す

// リンク 「お金持ちになる方法」はあるだろうか?標準的な経済学に従えば、大きく3つあるのだろう。1つ目はインサイダー取引を行うこと、2つ目はねずみ講を組成するなど、詐欺を働くこと。言うまでもないことだが、確実に儲かるがゆえに、これら2つは…

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

// リンク ストーリー自体は知っていたので、世界有数のグローバル企業の創業者()にどれくらい忖度したプロットになっているか(どのくらいレイを悪く描くか)が個人的な関心でした。一言でいうとバランスよくできていたように思います。 スティーブ・ジョ…

その問題、経済学で解決できます。

// リンク 歴史的に見て、経済学は理論中心の学問だった。大きな進歩といえばまず、ありえないほど頭のいい人たちが難しい数理モデルを書き上げ、世界の仕組みに関する抽象的な定理をそこから導き出す。でも、コンピュータの計算能力が爆発的に高まり、膨大…

SHOE DOG

// リンク あるトラック運転手が、大胆にもバウワーマンの山の平穏を乱していた。猛スピードで道路を曲がるために何度もバウワーマン家の郵便受けをひっくり返していた。バウワーマンは運転手を叱って鼻にパンチをお見舞いするぞ、などと脅したが運転手はど…

超越の棋士 羽生善治との対話

// リンク 「ソフトに影響されて将棋が変わってきたことの一つに、あまり手損を気にしなくなっている傾向があるんです。というのは、ソフトは時系列でものごとを考えないんですね。時系列で考えなければ、手損という概念自体がなくなるんですよ。そのときご…

経済数学入門の入門

// リンク 数式に頼らずに推論を行う方法の一つが作図です。経済学において、あえて数式を用いずにグラフを描いてみることは、経済現象を内側から身体で理解するための大切な作業なのです。 通常の数学では、ある関数のグラフを描くときには、インプットの変…

ミクロ経済学入門の入門

// リンク 経済学は社会科学の諸学問のなかでは、数学を最もよく活用する。そうなった理由は単純で、経済学が扱う対象には、財の量、価格、費用など、数字で表されるものが多いからだ。これがたとえば政治哲学のように、社会のあり方を根本から模索したり、…

エンリコ・フェルミ 原子のエネルギーを解き放つ

エンリコ・フェルミ―原子のエネルギーを解き放つ (オックスフォード科学の肖像) 作者: ダンクーパー,オーウェンギンガリッチ,Dan Cooper,Owen Gingerich,梨本治男 出版社/メーカー: 大月書店 発売日: 2007/07/01 メディア: 単行本 クリック: 2回 この商品を…

経済学は悲しみを分かち合うために――私の原点

経済学は悲しみを分かち合うために――私の原点 作者: 神野直彦 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/06/28 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 私は社会科学では、研究者は茫漠としてではあれ、自己の人間観なり、社会観なりを…

評伝小室直樹

評伝 小室直樹(上):学問と酒と猫を愛した過激な天才 作者: 村上篤直 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房 発売日: 2018/09/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 理科の基礎教養があった上で、芸術家になり、政治家になり、官吏にならなけれ…

知られざる天才 ニコラ・テスラ

新書765知られざる天才 ニコラ・テスラ (平凡社新書) 作者: 新戸雅章 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2015/02/13 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る 帰郷したテスラが電気の研究に進みたいと伝えると、息子に聖職を継がせたいと考えていた…

スタートアップ

投資家に転じた当初、こんなにもひどいアイデアしか思いつかない人たちばかりだとは想像もしていなかった。だからやる気を失ったのだ。 「すべての問題が偏頭痛級ではないということ。スタートアップで成功したいならどうすべきか。顧客にとって本当に深刻な…

フラッシュ・ボーイズ

あらゆる上場株を買えるダークプールと公設の取引所が、合計六十近くもあり、その大半がニュージャージーに存在しているのはなぜなのか?名前も聞いたことがなかったゲッコーという会社は、どうやって株式市場の出来高の10%も占める取引を行っているのか…

幸福の「資本」論

幸福の条件 自由 自己実現 共同体=絆 3つのインフラに対応 金融資産 人的資本 社会資本 地方のマイルドヤンキーたちは友達を社会資本にしていること 日本社会は(おそらく)人類史上はじめて、若い女性が体を売りたくても売れない時代を迎えたのです。 金…

競争社会の歩き方 - 自分の「強み」を見つけるには

競争のそれほど激しくないアマチュアレベルなら、一人の強者が全てにおいてトップを独占することができる。しかし、プロレベルの熾烈な競争のもとでは、自分のもっとも得意なものに特化し集中しないかぎりトップを取ることはできない。 競争の促進は、それぞ…

天才たちの日課

この本に登場する人々のほとんどはその中間ー日々仕事に励みながら、その進み具合に途切れるのではないかと、つねに不安に思っている。そして、誰もが時間をやりくりして仕事をやり遂げている。 W・H・オーデン その日のうちにやりたいこと、やらねばならな…

ウォーレン・バフェット成功の名語録

秘訣は、次の二つにまとめられるだろう。 原則を立て、それを貫く 自分に投資し、自分を貫く 「本当の投資家であれば、自分が群衆とはまったく逆の売買をしていると考えることに充足感を覚えるものなのである」とは、ベン·グレアムの言葉だ。賢明なる投資家…

ルービンシュタイン ゲーム理論の力

感想 題名や著者のバックグラウンドから予想される内容とは異なり(現代はEconomic Fablesなので、邦題がミスリーディングなだけのようにも思える:神取先生のミクロ経済学の力との対比なのかもしれないが、ベクトルが違いすぎる)、ルービンシュタイン独特…

熊とワルツを

勝つためにいちいち賭けをしていると、負けた時にとても許容できない重大な影響が出るかもしれない。 ソフトウェア・プロジェクトでは概して、勝つために特別なことをするより、負けの程度を抑えるほうが大事なのだ。 部下に向かって、精一杯力を尽くして(…

不道徳な見えざる手

花嫁の生涯でもっとも重要な一日のための準備においては、予算や価格は検討事項としては二の次にしか思えない。 2010年のアメリカの勤労年齢世帯は、現金や当座預金や貯蓄預金や普通預金に1カ月の所得分すら保有していないという。さらに驚くことではないが…

求道心

升田さんがGHQに出向いたとき、出された洋酒のナポレオン (ブランデー) に「こんな冬が来ると負けるようなものが飲めるか」とケチをつけ、当時の将棋界における第一人者である木村義雄さんの話が出ると「木村さんは海軍学校などで講演をしていた。だから日本…

ケンブリッジ式 経済学ユーザーズガイド: 経済学の95%はただの常識にすぎない

>第四章の『経済学の百家争鳴』はコンパクトに上手くまとまっている経済学説史。第二部は標準的な経済学の本で学んでもいいように思うので(もちろんこの本の方が新古典派に対して圧倒的に批判的ではあるが)、筆者の政治哲学にあまり同調できない場合(新…

スタートアップ・バブル 愚かな投資家と幼稚な起業家

人生という旅の半ばでふと気づくと、正しい道を見失い、暗い森の中にいた。ダンテ・アリギエーリ オフィスを遊び場のようにするトレンドはグーグルが最初だが、今では感染症のようにIT業界に広がっている。ただ仕事をするだけじゃダメ、仕事は楽しくなくちゃ…